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経常収支が赤字になる意味を正確に考える その2
昨日の続きですが、まず日本がすでに経常収支の赤字国に転落しているとの認識が大変に希薄なようです。
2013年10〜12月は1兆3593億円の経常赤字だったことは昨日も書いたのですが、これは決して一時的な現象ではありません。実は本年1月上中旬の貿易統計(国際収支統計とは少し違います)がすでに発表されており、何と2兆150億円の巨額赤字となっています。
例年1月は正月休みで貿易収支が悪化するのですが、昨年の同時期は1兆1763億円の赤字だったので「さらに急激に悪化している」ことになります。所得収支が黒字だとしても、1月だけで2兆円近い経常赤字になるかもしれません。
2013年4〜12月の経常収支は累計で1兆7217億円の黒字でしかないため、2013年度(2014年3月まで)の経常収支が赤字となる可能性が強くなりました。
経常収支が年間で(年度集計ですが)赤字になってしまうと、まず外国人の日本経済に対する評価が悪化し、当然に日本株に対する評価も悪化することになります。経常収支の赤字とは、経済活動を通じて富が海外に流出していることだからです。
最近の新興国経済で「特に問題がある」といわれる5ヶ国は、すべて巨額の経常赤字国です。その5ヶ国とはインド(2012年の経常赤字が882億ドル、以下同じ)、ブラジル(552億ドル)、トルコ(447億ドル)、インドネシア(240億ドル)、南アフリカ(240億ドル)で、昨年から通貨の下落が続き利上げを余儀なくされています。
もちろん日本の状況がこれら新興国に近づくというつもりは全くありませんが、少なくとも時期的に日本株に対するイメージが悪化することは考えられます。
2013年の日本の資本収支は4兆4090億円の黒字(流入)でした。もちろん外国人投資家が日本株を15兆1196億円も買い越したからですが、この買い越し額は2012年が2兆8264億円、2011年は1兆9724億円しかありませんでした。
もし本年(2014年)の外国人投資家の日本株買い越し額が2011年、2012年並みとなると、資本収支が赤字になります。
資本収支の赤字とは、本邦投資家の対外資産の取得が海外投資家の本邦資産の取得よりも大きい状態であり、経常収支の赤字とは違い「好ましい」ことです。
ところが経常収支と資本収支がともに赤字になると、それだけ日本が海外に支払う資金(外貨)が膨らみ、日本全体では資金(外貨)繰りが窮屈になることを意味します。とりあえずは、昨年末に1兆2668億ドルある外貨準備を取り崩す必要が出てきます。
そう書くと「日本は資金(円)が有り余っているのだから、外為市場で円を外貨(主にドル)に交換していくらでも海外に支払えばよいではないか?」となるのですが、そのためには円が外貨(主にドル)並みの信用力を維持しなければなりません。
例えば韓国は3000億ドル以上の外貨準備を持ち、日本よりも多い600億ドル(2013年予想)の経常黒字を稼ぎ出しているのですが、それでも時々外貨不安が囁かれています。外貨(主にドル)不安とは、決して日本に無関係な話ではなくなるかもしれません。そのような意味でも経常収支の赤字転落は「大変に由々しき事態」なのです。
実はもう1つ不安に思っていることがあります。
2013年の国際収支統計では、経常収支が3兆3061億円の黒字、資本収支が4兆6090億円の黒字(流入)でした。つまり合計で7兆9151億円の資金(外貨)が流入していたのですが、国際収支統計は合計がゼロになるように作られます。
2013年はその流入した外貨のうち3兆8504億円を外貨準備が吸収しています。為替介入がなかったので、これは米国債の利払いなどをそのまま外貨準備に組み込んだ結果です。
それでは残る4兆648億円はどこに消えたのでしょう?
実はわからないのです。国際収支統計では誤差脱漏として同額が計上されていますが、要するに把握できない資金(外貨)が日本から海外に流出しているのです。少なくとも2012年まではみられなかった傾向です。
要するに本年は、経常収支も資本収支も不明の項目(誤差脱漏)も、揃って猛烈な資金(外貨)流出となる可能性があり、その影響は予測不能なのです。
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闇株新聞 2014年02月13日
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