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経常収支が赤字になる意味を正確に考える その1
2013年通年の経常収支の黒字が3兆3061億円と、比較可能な昭和60年以降の最少となりました。経常収支とは貿易収支・サービス収支・所得収支・経常移転収支の合計で、投資活動を除いた対外的な経済活動の結果、日本の資産が増えたのか(豊かになったか)減ったのか(貧しくなったか)を表します。
経常収支の黒字のピークはリーマンショック前年・2007年の24兆9341億円で、2010年も17兆8879億円ありました。ところがそこから2011年は9兆5507億円、2010年は4兆8237億円、そして2013年は3兆3061億円と急減しています(数字は全て速報値)。
2013年の経常収支は年後半(7〜12月)だけでみると70億円の赤字に転落しており、さらに第4四半期(10〜12月)では1兆3593億円もの赤字となっています。
つまり日本は、すでに足元では経常収支の赤字国に転落しているのです。
経常収支の赤字国に転落することは、そんなに大問題なのでしょうか? 報道ではあまり深刻に考えられていませんが、少し詳しく考えてみます。
2013年の経常収支の内訳は、貿易収支が10兆6399億円の赤字、サービス収支が1兆5950億円の赤字、所得収支が16兆5318億円の黒字、経常移転収支が9908億円の赤字です。
サービス収支と経常移転収支は恒常的に赤字なので、貿易収支と所得収支をみてみます。
日本は近年までずっと貿易黒字国でした。年間の貿易黒字額は、ピークが1992年の15兆7764億円で(年間平均為替が1ドル=126.65円、以下同じ)、その後もリーマンショック前で世界経済が加熱していた2007年が12兆3223億円(117.75円)、円高となった2010年でも7兆9789億円(87.78円)と高水準を維持していました。
ところが東日本大震災のあった2011年に貿易収支が赤字に転落し、年間の赤字額は2011年の1兆6165億円(79.80円)が、2012年に5兆8141億円(79.79円)、2013年には10兆6399億円(97.59円)と急増しています。
最近の貿易赤字拡大の理由として、輸出企業の海外生産の増加や円安・エネルギー価格の上昇による輸入額拡大といわれていますが、そんな一時的なものではありません。
つまり日本経済は、2011年に長く続いた貿易黒字国から赤字国に転落し、さらに2013年後半には経常黒字国から赤字国に転落していることになります。
一方で所得収支は円安の影響で2013年は史上最高額となったのですが、急激に増えたり減ったりするものではないため、急増する貿易赤字を補えずに経常収支が赤字になりました。
日本は「成熟化した債権国」といわれていますが、それは2011年〜2013年前半までの状況で、現在は単なる経常赤字国です。
繰り返しですが日本は対外的な経済活動で、今までの「豊かになっている」から「貧しくなっている」に変化してしまっているのです。
ここで「別に経常収支が赤字になっても海外から投資資金が流入すれば何の問題もない」あるいは「米国は毎年が巨額の経常収支なのに何の問題もない」と考えられると思います。
ここからは海外からの資本流入と海外への資本流出の差額である「資本収支」についてです。正確には対外債務の増大を示す資本流入と対外債権の増大を示す資本流出の差額で、流入超を黒字、流出を赤字といいます。
2013年の資本収支は4兆6090億円の黒字(つまり流入超)でした。普通は経常収支の黒字幅が大きくなると資本収支の赤字(流出)も大きくなり、実際に2007年の資本収支は22兆5383億円の赤字、2010年も17兆6971億円の赤字でした。
2011年の資本収支は1兆1722億円の黒字(流入)となったのですが、これは東日本大震災の影響で本邦投資家が対外資産の処分を進めた結果でもあり、実際に円高が進みました。
そこから2012年の資本収支は8兆1878億円の赤字となり、2013年は4兆6090億円の黒字です。
続きます。
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闇株新聞 2014年02月12日
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