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2014.02.16 「日本」の解き方
日銀の岩田規久男副総裁は6日に記者会見を開いた。インフレ目標や量的緩和によるデフレ脱却を目指す「リフレ派」の論客だった岩田氏は、学習院大教授から副総裁に就任後、公の場で金融政策について語ることは少なくなっていたが、金融緩和やインフレ目標の現状をどう見ているのか、会見での発言から読み解いてみたい。
最近、長期国債の買い入れ額が7兆円を下回っていることが市場の話題になっているが、岩田副総裁の答えは明快だった。マネタリーベース(日銀が供給する通貨)を増加させる手段の一つとして長期国債の買い入れがあるが、日銀の保有している国債の償還分を含めるグロスベースよりもネットベースが重要だとした。
そしてグロスベースの数字で買い入れ額が変化することで、「誤解を生むとまでは当時考えませんでした」と述べた。ここまでネットベースとグロスベースを正直に説明したことは従来の日銀ではなかったので、岩田副総裁の持ち味が出ている。
予想インフレ率を可視化する指標の一つであるブレーク・イーブン・インフレ率についても、記者の「16回債と17回債で動きが違う」という質問に対して、「5年物と10年物との違い」と即座に反応している。日頃からデータをきちんと分析している専門家ならではである。
しかし、政策判断に係る分野では、岩田副総裁の率直さが、かえって裏目に出る恐れもないとはいえない。
消費税増税後の追加緩和については、初めは「今の政策を続けていくのが基本です。ただ、経済では将来いろいろなことが起こり得ますので、上下双方のリスクに対しては適切な政策をとっていく姿勢に変わりがないということです」と基本通りの優等生答弁をしていた。
冒頭のあいさつで、増税によって可処分所得が減る可能性を強調したのではないか、との質問についても「下振れリスクが小さい」と反論した。
これは追加緩和を考えていないと示唆するものだが、特に筆者が注目したのは、消費税率を8%から10%に予定通り引き上げるべきかという質問に対する岩田副総裁の答えだ。「もともと昨年4月4日に現在の政策を導入したときは、消費税の増税が2段階で行われることは織り込み済みです」と言い切った。
これは正直な岩田副総裁の人柄そのものが出すぎてはいないか。無難に答えるなら「それは政府が検討していることなので、コメントしない」という言い方がある。
昨年4月の量的緩和の時にも、日銀は消費増税は織り込み済みとは明言せずに、後になって事実上認めた。織り込み済みといえなかったのは、昨年10月に消費税増税を安倍晋三首相が決断するので、その先取りはできないという政治判断があったからであろう。
今回の岩田副総裁の発言は率直だが、政治的にはフライング気味である。「今年の末に、安倍政権で8%から10%への増税を見送った場合、金融引き締めをするのか」と指摘されると厳しい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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