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平均寿命90歳時代、崩れゆく社会保障と暮らし −人生後半戦の収支決算、徹底シミュレーション【1】
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140212-00011894-president-bus_all
プレジデント 2月12日(水)11時45分配信
日本の財政を家計にたとえたら
年金3割減に消費税30%。家計を襲う最悪のシナリオは、そこまで迫っている。それだけでない。ニートの子供、長生きな親……老後の生活設計を狂わせる「7つの大敵」の攻略法を検証する。
■最も割を食うのは今の40歳前後
「老後の人生設計、“落とし穴”に落ちないための備えとは? 」
本取材はそんなテーマから始まった。しかし、専門家の話をつぶさに聞くうちに、大きな勘違いをしていることに気づいた。
落とし穴は、もはや不注意でうっかり落ちる大きさではない。用心深く進んでも、このままでは多くの人が確実に転落する。不安を煽るつもりはないが、日本が抱える落とし穴はそれほど巨大で、底が深い。
読者諸兄が今、人生の後半を楽観視できない最大の理由は「リタイアするまでにいくらあれば、死ぬまでお金に困らずにすむのか」が不透明だということだろう。
一橋大学経済研究所准教授の小黒一正氏はこう断言する。
「本当に苦労せずに生涯を過ごすには、リタイアした時点での貯蓄が5000万円は必要でしょう」
厚生労働省の調査によると、60代で3000万円以上の貯蓄がある世帯は14.1%しかいない。ファイナンシャル・プランナーの畠中雅子氏は忠告する。
「自分の分を貯めるだけではダメです。親に十分な貯蓄がなければ、当然、医療費や介護費の不足分が子世帯に回ってくることになります。自分の家庭だけでなく、親や自分自身の子供の将来まで考え、マネープランを立てなければなりません」
言うまでもなく、借金まみれの国に全国民を守るほど余裕はない。
現在、国の歳入に対する歳出は約2倍。このほとんどを国債などでまかなっている。いわば月収40万円の家庭が38万円のローン返済を抱えているような状況だ(図参照)。
「日本は世界一の借金大国です。しかし、国は信用力と将来の課税権を担保にさらにお金を借り、ツケを先送りしています」(小黒氏)
2050年、日本は人類未踏の超少子高齢化社会へ
さらに、借金返済に追われる日本に追い打ちをかけるのが世界に類をみない超少子高齢化だ。ニッセイ基礎研究所がまとめた『20年後の日本』によれば、2030年には男性の平均寿命は86歳に、女性は91歳になる。図は50年の人口構成予測だが、日本の高齢化が突出していることは一目瞭然である。
このような社会が訪れたとき、当然、今の公的年金制度や健康保険などの社会保障は維持できなくなる。小黒氏によると、現在は高齢者1人を勤労者約3人で支えているが、50年には高齢者1人を勤労者1人が支える計算になる。
2年後からの消費税増税が決まっているが、小黒氏やニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次氏は口を揃えて、「焼け石に水」だと言う。日本の社会保障の改善は望めないどころか、このままではさらに悪化する。その結果、「もっとも厳しい老後に直面するのは今の30代後半から40代前半。私も30代後半なので他人事ではありません」と小黒氏は厳しい表情で語る。
なぜ、40歳前後の世代がもっとも厳しいのか。これは子の教育費や親の介護費など、彼らの支出のピーク期に、団塊世代が後期高齢者へ向かっていくことに起因する。国の社会保障負担はますます増え、「抜本的な社会保障改革を行わない限り、最悪、破綻のシナリオも十分ありうる」(小黒氏)。子育てや住宅ローンが終わりかけている50代以上や仮に財政破綻をしてもマネープランを再構築できる20代に比べ、前途は暗い。小黒氏は言う。
「結局、最悪のシナリオを想定して人生をつくっていくしかない、というのが結論です」
社会保障のシナリオだけでなく、これから家計に降りかかるあらゆる想定をしておくことが重要だ。親が予想より長生きしたら……、子供が就職できずに一生ニートになったら……、がんになって休職せざるをえなくなったら……。次回からは、これらを一つずつ点検し、最悪のシナリオへの備えを考える。
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公的年金:68歳支給&3割カットで最大4000万減 −人生後半戦の収支決算、徹底シミュレーション【2】
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140214-00011895-president-bus_all
プレジデント 2月14日(金)15時15分配信
年金3割減に消費税30%。家計を襲う最悪のシナリオは、そこまで迫っている。それだけでない。ニートの子供、長生きな親……老後の生活設計を狂わせる「7つの大敵」の攻略法を検証する。
■専業主婦世帯は今すぐ「妻活用」せよ
老後マネープランの大黒柱である公的年金。最大の不安要素は、「いつからもらえるか」だろう。
厚生労働省は2011年、支給開始年齢を68歳に引き上げる案を検討していたが、12年中の法案提出を断念。だが、一橋大学経済研究所准教授・小黒一正氏は、「ふたたび引き上げが検討される可能性は極めて高い」と言う。
小黒氏によると、OECD加盟国33カ国のうち、支給開始年齢(引き上げ予定を含む)が日本と同じ65歳の国は16カ国。日本よりも高い国は、67歳開始のアメリカ、ドイツ、68歳開始のイギリス、アイルランドなど13カ国。しかし、どの国の平均寿命も日本より短い。さらに、日本の高齢化は今後、加速度を増す。
「平均寿命から支給開始年齢を引いた年金の受給期間は、OECD加盟国のうちフランス、ルクセンブルクに次いで3番目に長い。開始年齢を引き上げる余地はまだ残っていると言えます」(小黒氏)
では、何歳まで引き上げられる可能性があるのか。年金相談サービス代表を務める社会保険労務士の井戸美枝氏はこう語る。
「70歳に引き上げるべきだという議論もありますが、あまり現実的ではありません。なぜなら年金は雇用とセットだからです」
厚生年金の支給開始年齢の引き上げが決まってから、企業は65歳まで働ける体制づくりを進めてきた。さらなる引き上げは、企業の負担をますます重くしてしまう。
「68歳までの引き上げが限度だと思います。そこからは、むしろ支給額をカットする可能性のほうが高いでしょう」(井戸氏)
もし3割カットになり、夫婦とも90歳まで生きたらいくら減るか(※井戸美枝氏監修)
井戸氏が想定する最悪のシナリオは「支給額3割減&支給開始68歳」。もしそうなったとき、われわれの家計はどうなるのか。
妻の就労内容別にシミュレーションした図を見てほしい。妻が正社員の場合、この設定では夫婦で受け取る年金の月額が約34万円から24万円へと激減する。大打撃だが、実は、「共働き世帯はまだ安泰」と井戸氏は言う。
深刻なのは、妻がパートや専業主婦の世帯だ。シミュレーションではモデル世帯の年収を高めに設定しているが、厚生労働省が試算する平均的な専業主婦世帯の年金受給額は現行制度で月額23万3000円。3割減なら約16万円となり、現役時代の生活水準を維持することは到底、不可能だ。
「専業主婦はしばしば“不良債権”などと揶揄されますが、今後はさらにその傾向が顕著となり、家計の足を引っ張る存在になってしまいかねません。妻がパート先で厚生年金に加入している場合は、いくらかましでしょう。しかし、もともとの給料が低いため、年金額はそれほど増えません」(井戸氏)
老後の自己防衛に「妻の活用」は欠かせない。可能なら、正社員として働いてもらおう。渋る妻には先のシミュレーションを見せ、圧力をかけるしかない。
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小黒一正
一橋大学経済研究所世代間問題研究機構准教授。大蔵省(現財務省)入省後、財務総合政策研究所主任研究官などを経て2010年より現職。著書に『2020年、日本が破綻する日』など。
井戸美枝
社労士法人年金相談サービス代表。社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー、キャリアカウンセラー。著書に『世界一やさしい年金の本』など。
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大塚常好=文
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