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安倍総理の「日本は買いだ」に投資家が踊らない3つの理由
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140213-00032613/
2014年2月13日 11時27分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
安倍総理が、また「日本は買いだ!」なんて言っています。もっとも、今回は、国会で質問されたからそう答えただけだという面もあるのですが‥
いずれにしても、先ず安倍総理の今回の発言を振り返ってみます。
生活の党の鈴木幹事長:
「日経平均株価は、先日の底値で年初からおよそ2000円の下落幅になり、乱高下が続いている状況だ。安倍総理大臣は、今も『日本は買いだ』という認識でよいか」
総理:
「ニューヨーク証券取引所での講演で『日本は、三本の矢で間違いなく成長していくので投資していくべきだ』という話をした。日本の指導者が、日本を『売りだ』と言ったらおしまいで、我々はしっかりと成長戦略を進めていくので、当然『日本は買いだ』ということは重ねて申し上げたい」
如何でしょうか? 私は、Buy my abenomics なんて言い方も同時にしていたので、日本は買いだというのは、アベノミクスを信頼して欲しいという意味なのかと思っていたのですが、こうしてみると、日本企業の株式を買うことを内外の投資家に勧めているようにも見えるのです。
確かに、「日本は売りだ」と日本のリーダーが言ったらおしまいかもしれませんが、しかし、だからと言って、日本の株を買ったら得するから買うべきだなんて、総理ともあろう人が言うべきものかと。
はっきりといって品がない。私はそう思うのです。
いずれにしても、質問にもあるとおりに、今年に入ってから株価の動きはイマイチ精彩を欠くのです。ソロス氏がアベノミクスを見限っているなんて噂もありますし、海外の投資家は最近日本株を売り越しているとも言われています。
何故、海外の投資家はアベノミクスに踊らなくなったのでしょうか?
どう思います?
私は、それには3つの大きな理由があると思うのです。
第一は、アベノミクスの成長戦略に中身がない、と。
売り手が「これはお買い得ですよ」と言い、そして、買い手もそう思うならば、売買が成立するでしょう。そして、そのように思う買い手が増えれば増えるほど価格は上がる、と。
最初は、海外の投資家も少しは期待してみようかと思った可能性があると思うのです。仮に投資家自身がそうは思わなくても、当時のアベノミクスの勢いを見て、自分は信じていなくても他の投資家はアベノミクスを信じる可能性が高いからと思ってアベノミクスに賭けた、と。
では、何故アベノミクスがもっともらしく見えたのか?
第一の矢である金融政策と、第二の矢である財政政策に魅力を感じたから?
そういうこともない訳ではないでしょうが、しかし、金融政策や財政政策は、本来、一時的なカンフル剤にはなり得ても、日本経済の成長率を真に高める要因にはなり得ないのです。
そのことは、金融政策によって景気を浮揚することに腐心している世界中の中央銀行関係者が一番よく承知をしていることなのです。彼らは、金融政策の有効性を強く語ることがしばしばですが、でも、本心としては金融政策の限界も十分に感じているのです。
ということで、投資家たちが真に期待したのは第三の矢である成長戦略であったのです。
しかし、ご承知のように成長戦略と言っても殆ど見るべきものがない、と。待てど暮らせど、言うことは威勢がいものの、中身が伴わない、と。
総理はドリルの歯になって岩盤を突き崩すというのですが‥ネットによる医薬品の販売解禁にしても、結局、例外を認めざるを得なかった訳ですから。
タクシーの営業規制の緩和に関しては、むしろ規制を復活させているのが現実。
発電と送電の分離にしても、仮に遠い将来実現できても、既得権益を保護する形でしか実現することはできないでしょう。
そのように成長戦略に中身が伴わないものだから、とうとう自民党は、上場企業の行動基準を独自に策定して、それを成長戦略に盛り込むと言いだす始末。
そんな法的効力のない企業の行動基準を策定したところで、それが何の役に立つのでしょうか?
要するに、投資家からみて、成長戦略に具体性がないので、今後日本経済の潜在成長力が大きく伸びることを期待することができないのです。
第二の理由は、日本政府が今後も円安政策を続けそうであることです。
何故、今後も円安が続くならば、海外の投資家にとっては都合が悪いのか?
いいでしょうか?
日本は買いだというのであれば、買い手は、買ったモノの価格が上がると期待するから買う訳です。例えば、日本の株を買うのは、今後その株が上がるであろうと予想するから買う。日本の国債を買うのは、国債の価格が上がると予想するから買う。そして、円を買うのは円が上がると思うから買う。
しかし、その円が、今後も上がることがないと思えば、通常であれば、買いの対象にはならないのです。そして、海外の投資家が円を買わないから、円安圧力がかかる、と。
そのようにして円安が続くことを、安倍総理を始め日本の政治家は歓迎しているのですが、その一方で、海外の投資家からすれば、円の価値が下がるのであれば、日本の株や国債などの円資産は怖くて買うことはできなくなるのです。
でも、現に日本の株や国債を買う外国人の投資家がいるではないか、と言いたそうですね?
そのような投資家は、長期的な観点で投資しているのではなく、短期的な視点で売り買いを繰り返しているだけだから、できるのです。
第三の理由は、これはもう本能的なものなのですが、売り手のセールストークに対する信頼性の問題です。
自分を含めて、本当に価値のあるものを発見したときに、或いは確実な儲け話があるときに、誰がそれを易々と他人に教えることがあるか、と。
日本の株が、本当に近い初来もっと値上がりすると思えば、他人に購入を勧めるのではなく、自分が可能な限りお金を集めて、値上がりしそうな株を買い占めるでしょう。
そうでしょう?
つまり、この株は買いだなどと言われて、ああ、そうですかなんていう人は、素人なのです。しかし、海外の投資家は海千山千であって、そんな甘い営業トークに乗る訳がない、と。
その上に、日本は買いだと言って盛んに買いを勧める人が、本当のことを言うのが少ないことを皆知っているのです。
安倍総理は、東京にオリンピックを誘致するために次のように世界に向けて言いました。
・私が安全を保証します。状況はコントロールされています。
・汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされています。
他にも沢山あります。私が紹介するまでもないでしょう。
そのようなことを言う人のセールストークを誰が真に受けることができるか、と。
いずれにしても、外国人投資家による日本買いが安倍総理の期待どおりに進めば、確かに株高という好ましい現象を一時的にはもたらすものの‥しかし、結局、外国人が日本の株や国債の保有者になるということで、一般の人々からすれば、全然嬉しくない結果になってしまうのです。
そうでしょう? だって、日本の大企業の真の保有者は外国人になってしまう訳ですから。何と寂しいことか、と。
そして、そのような海外の投資家は、日本が危ないとみるや即座に投げ売りをするので、日本は新興国のような悲惨な目に遭うことになるでしょう。
以上
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