01. 2014年2月12日 12:36:41
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日経平均3日続伸、米株高や円下落で主力株に買い 2014年 02月 12日 11:55 JST [東京 12日 ロイター] - 前場の東京株式市場で日経平均は3日続伸した。イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言や米議会による債務上限引き上げ合意などを背景に前日の米国株が上昇。円相場も対ドルで下落し、東京市場では主力株を中心に買いが広がった。良好な中国貿易収支を好感し日経平均が一段高となる場面もあったが、投資家は依然慎重といい、上値は限定された。 イエレンFRB議長は11日の下院金融委員会での証言で、緩和縮小を継続していくと述べ、政策の大幅な変更は視野に入れていないことを明らかにした。特別な内容ではなかったが、政策維持が確認されたことで、これまでの過度なリスクオフの動きの反動が出たという。米下院で、連邦債務上限を2015年3月までの1年間無条件で引き上げる法案を僅差で可決したことも安心感を誘った。 午前11時に発表された1月の中国貿易収支が318.6億ドルの黒字と予想(236.5億ドルの黒字)を上回り、日経平均が上げ幅を拡大する場面もあった。東洋証券ストラテジストの檜和田浩昭氏は季節的な要因など内容の精査は必要と前置きしたうえで、「これまで悪い中国の経済指標が目立っていたなかで、久しぶりの好材料となり、目先的なポジティブ要因」になったと指摘した。 もっとも前日のシカゴ日経平均先物3月限(円建て)の1万4885円に届かず、上値は限られた。朝方発表された12月機械受注統計(民需・除く船舶・電力)が予想を大きく下回る15.7%の減少幅となり、過去最大の落ち込みとなったことが株価の重しとして意識されたほか、「年初からの下げ幅に対する3分の1戻しを達成し、リバウンド一巡感が出た」(国内証券)という。ソフトバンク(9984.T)やファーストリテ(9983.T)が買い先行後に下げに転じたことも指数を押し下げた。 野村証券チーフ・ストラテジストの田村浩道氏は「ここから一段の下値はみていないが、これでリスクオンに傾くかというと、まだ慎重にみるべき。目先は手掛かり材料も乏しくなるため、ボックス相場に移行するのではないか。しばらくは企業決算を受けて個別銘柄間で格差が出てくる」とみていた。 個別銘柄では、2014年3月期業績予想の上方修正を発表した日産車体(7222.T)や東和薬品(4553.T)が上昇。配当予想を増額したサンリオ(8136.T)も買われた。 半面、今期最終損益の赤字拡大見通しが嫌気され、ラウンドワン(4680.T)は急反落。前場で東証1部値下がり率トップとなった。 東証1部の騰落数は、値上がり1504銘柄に対し、値下がりが201銘柄、変わらずが75銘柄だった。 (杉山容俊) 日経平均.N225 前場終値 14856.53 +138.19 寄り付き 14821.73 安値/高値 14780.07─14874.79 東証出来高(万株) 113054 東証売買代金(億円) 11543.96 中国の1月貿易統計、輸出・輸入ともに予想大きく上回る 2014年 02月 12日 11:44 JST [北京 12日 ロイター] -中国税関当局が12日発表した1月の貿易統計では、輸出が前年同月比10.6%増、輸入は同10.0%増となり、市場予想を大きく上回る伸びを示した。 予想は輸出が2.0%増、輸入は3.0%増だった。 1月の貿易収支は319億ドルの黒字。予想は236億5000万ドルの黒字だった。 税関当局が公表した1月の主要貿易相手別貿易総額を見ると、対日貿易総額は前年同月比7.8%増の1700億5000万元、対欧州連合(EU)は同14.6%増の3411億9000万元、対米は同8.8%増の2992億3000万元、対東南アジア諸国連合(ASEAN)は同11.3%増の2590億6000万元。一方、対香港は同20.6%減の1667億3000万元だった。
新興国市場の混乱、一部は国内政策にも責任=米FRB議会報告書 2014年 02月 12日 10:02 JST [ワシントン 11日 ロイター] -米連邦準備理事会(FRB)は11日、議会向け報告書で、FRBの動向が新興国売りの引き金になったとの見方を示した。一方、トルコやブラジル、インドなどの国について、外的な衝撃に特にぜい弱になったのは、これらの国の政策が原因だったとも指摘した。 FRBは報告書で「昨年半ばに生じたストレスは、FRB(と市場)の対話が引き金になった部分が大きいようだ」と指摘。一方、一部の途上国は、大きな影響を受けた理由を評価する際に国内政策についても検証する必要があるとの見方を示した。 FRBのアナリストは、主要新興国15カ国の経済のぜい弱性を評価する指数を構築。最もぜい弱だったのがトルコで、次がブラジル、その後がインド。これにインドネシアと南アフリカも続く。 指数は経常収支、外貨準備の比率など、6つの要素をベースとして算出。指数上位の国で、通貨の下落幅が大きく、借り入れコストも急上昇する傾向にあったという。
コラム:新興国混乱収拾へ、日米欧の「出来レース」=高島修氏 2014年 02月 12日 10:51 JST 高島修 シティグループ証券 チーフFXストラテジスト(2014年2月12日) 先月23日、アルゼンチン中銀が介入を停止し、ペソ相場が急落。急減中の外貨準備への懸念も高まり、不安心理が世界全体に伝播した。このアルゼンチン・ショックを受けて、新興国市場は昨年の春から秋にかけての下げを想起させる混乱となった。 市場で強く意識されているわけではないが、アルゼンチン・ショックと並ぶ、新興国混乱の理由はソチ冬季五輪ではなかろうか。ロシアからの地方分離・独立を目指すイスラム武装勢力「カフカス首長国」がソチ五輪攻撃を予告する声明などを出したこともあり、ロシアルーブルや株式市場は警戒感が高まる中で不安定感を強めた。中国で支払い停止に陥りかねない理財商品が出たことも、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小(テーパリング)開始を受けて脆弱化していた市場心理の悪化を加速させた。 そもそも、今年は「フラジャイルファイブ」、あるいはその頭文字をとって「BIIST」と呼ばれるブラジル、インド、インドネシア、南アフリカ、トルコの新興5カ国に対する懸念が根強かった。経常赤字とインフレの問題に加え、今年はその5カ国全てで国政選挙が行われる。景気引き締め策はとりがたく、経常赤字やインフレに歯止めをかけるのが難しかろうと、市場に見透かされている感もあった。そこに伏兵のごとく現れたアルゼンチン、ロシア、中国が市場混乱の決定打となってしまった。 <伏線はルー米財務長官発言か> 一方、今回、新興国市場などが不安定化した伏線になったのは、先月16日のルー米財務長官の発言だったのではないかと筆者は勘ぐっている。その時、ルー長官は円安に懸念を表明し、日銀の追加緩和を牽制した。 FRBがテーパリングを始め、緩和巻き戻しから、ひいては引き締めに転じていくに当たって、日銀や欧州中央銀行(ECB)が金融緩和で上手く呼応できないと、市場環境は不安定化する時代に突入した。しかるに、先月29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える中で、ルー長官発言によって日銀緩和期待が後退を余儀なくされたのである。 日銀は来週17日、18日に金融政策決定会合を開催するが、4月には消費増税が控えており、それを前にした駆け込み需要が経済指標を押し上げている。次回会合で景気見通しを突然、下方修正し、追加緩和を示唆するようなことは考えがたい。 そうなると、足元でFRBの緩和巻き戻しに対して金融緩和の強化で呼応し、市場を安定化させる役割を担うことができるのはECBだけということになる。実際、今月6日の理事会の際、ECBは緩和措置の導入こそ見送ったものの、ドラギ総裁は「行動の準備がある」と言明した。今月22日、23日にはシドニーで20カ国・地域(G20)蔵相・中銀総裁会合が開催される。恐らく、そこでの議論も踏まえて、来月にも何らかの追加緩和措置に踏み切るつもりだろう。 <日欧のデフレ対策が米出口戦略を可能に> ここでよく受ける質問は、日銀やECBはFRBの出口戦略を支え、新興国を安定化させるために金融緩和するのか、という問いである。筆者が思うに、これは主客逆転した考え方だ。 そもそも日本はデフレに対する嫌悪感が臨界点に達し、アベノミクスを標榜する安倍政権が誕生。しかも今年、来年と消費増税という財政イベントを控え、黒田日銀は徹底した金融緩和を遂行する必要がある。 また、ユーロ圏はソブリン危機発生で統合通貨の構造問題が露呈。その是正と克服のために、昨年までに欧州安定メカニズム(ESM)などで財政同盟にはすでに足を踏み出したが、今年は銀行同盟を進めることになっている。それに伴って資産査定やストレステストが厳格化され、それが銀行のバランスシートを圧縮させ、デフレ圧力が高まりやすい素地にある。こうした中でECBも金融緩和の徹底が求められるようになってきている。日欧で金融緩和が徹底されやすい、それぞれの背景の下で、FRBが緩和巻き戻し、引き締め転換を図ることが許される環境が整ったと考える方が妥当だろう。 <グローバル・インバランス問題の遠因> では、FRBの緩和巻き戻しに伴う新興国の混乱や危機は放置されるのだろうか。確かに、先月29日にFOMCがテーパリング継続を決めた際、FRBは声明文で新興国の苦境には一言も言及しなかった(それが市場の不安心理を増幅させた側面もある)。だが、筆者はそうは思わない。理由は2007年のサブプライム危機とその翌年に起きたリーマン危機だ。 世界的余剰貯蓄論を唱えたFRBのバーナンキ前議長をはじめ、国際金融当局者の間では、この戦後最悪の危機の底流の一つはグローバル・インバランス問題(米経常赤字をファイナンスしたアジアなど新興国の経常黒字拡大)であったとの認識が持たれている。 そして、そのグローバル・インバランス問題の遠因は1997年のアジア通貨危機であり、その際に米国と国際通貨基金(IMF)が十分な支援をしなかったことで、アジアをはじめとした新興国が自己防衛のために、通貨を安め誘導しながら、経常黒字と外貨準備をため込んだことにあると見られている。過去5年間、G20体制下で、世界経済の回復に加え、グローバル・インバランスの是正を強く訴え、新興国通貨高とその内需拡大を求めてきた理由である。昨年以降のように、新興国市場が混乱し、通貨下落とその防止のために実施される引き締め策によって新興国内需が失速することは、米欧日を含めた国際通貨当局者が最も見たくないものであるはずだ。 <市場救済のバトンは米国から日欧へ> したがって、政策当局者たちは今、米緩和巻き戻しと新興国市場の安定をどう両立するかということに腐心しているはずだ。2年ほど前まで、FRBが緩和を続けていた間は、そこから発生するドル安圧力を、新興諸国に自国通貨高として受け入れさせるために、日本は円高を受容することが求められた(日本が円高を受け入れれば、韓国や台湾、中国が通貨高を受け入れやすくなり、新興国通貨全体の上昇が促されやすい)。 だが、FRBが緩和巻き戻しに着手し、新興国市場などが不安定化しやすくなった今、日銀の金融緩和とそれに伴う円安をめぐる国際環境は一変する。大なり小なり、新興国市場(や世界的な株式市場)の安定に貢献するのであれば、日銀の金融緩和は米国を含め世界的にも歓迎され、それに対する円安は黙認されやすくなると考えられる。ECBの金融緩和とそれに伴うであろうユーロ安もまた然りだ。要するに、FRBがFOMC声明で新興国への言及を見送ったことは、新興国を見殺しにするとのメッセージではなく、ECBと日銀に市場救済のバトンを渡した「含意」と捉えるべきだと筆者は思う。 最後に今年のドル円の見通しを言い添えれば、まずはECBの緩和措置を受けて、100円を割り込む前に底入れし、その後、4月頃からは改めて日銀の緩和期待が膨らみ始める中で105円台を突破する上昇となり、実際に日銀の追加緩和が実施されると予想される6―7月頃に108―110円台で天井をつけにいくと見ている。先月のFRBのテーパリング継続と今回の新興国の動揺でこのストーリーの蓋然性はむしろ一段と強まったとさえ考えている。 *高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。 米下院が債務上限引き上げ法案可決、12日にも上院で審議 2014年 02月 12日 08:46 JST [ワシントン 11日 ロイター] -米下院は11日、連邦債務上限を2015年3月までの1年間無条件で引き上げる法案を僅差で可決した。法案は上院に送付され、12日にも審議が始まる可能性がある。 下院での採決結果は賛成221票、反対201票。下院に在籍する共和党の232議員のうち、賛成票を投じたのはわずか28議員。民主党は193議員が賛成票を投じた。 過去3年にわたり、債務上限引き上げを財政協議の材料に使い譲歩を引き出してきた共和党にとり、オバマ大統領が求めていた付帯条件なしの上限引き上げに応じたことは、大きな方針転換となる。 ルー財務長官は、債務上限の引き上げで合意が成立しなければ27日にも借り入れ手段が尽きると警告していた。上院で週内に法案が可決すれば、かなり余裕を持って上限を引き上げることが可能になる。 共和党のベイナー下院議長は当初、退役軍人向け年金の削減見直しを条件にすることを目指していたが、党内で十分な支持が得られなかった。 議長は今回の決定を遺憾としているが、共和党にとっては、11月の議会選を控え、困難かつ意見が対立する問題はいったん棚上げにし、オバマ政権が始動でつまずいた医療保険改革制度(オバマケア)に選挙戦の焦点を絞ることが可能になる。 ベイナー議長は自身を含め、共和党は法案可決に必要な「最低限の支持票」しか投じないとし、民主党が大半の賛成票を確保する必要があると言明した。また、交渉に応じないオバマ大統領をあらためて批判した。 共和党が検討していた退役軍人向け年金の削減見直しをめぐっては、保守派の草の根運動「ティーパーティー(茶会)」系の保守派メンバーの多くが反対し支持が広がらなかった経緯があり、議長が党内の意見をまとめきれていない事情が浮かぶ。 民主党のホイヤー下院院内幹事は記者団に対し、ベイナー議長が提出する法案を支持するとし、少なくとも民主党から180の支持票を確保できるとの見通しを示していた。 *情報を追加しました。 イエレン米FRB議長の議会証言での発言要旨 2014年 02月 12日 09:25 JST [ワシントン 11日 ロイター] -米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は11日、下院金融委員会で、米経済と金融政策に関する議会証言を行った。
証言の要旨は以下の通り。 ◎証言原稿 <労働市場の健全性評価> 労働市場の回復は完全な呼べる状況には程遠い。失業率は依然、持続可能な完全雇用と一致する連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の見通しを大きく上回っている。半年以上の長期失業者が引き続き、異例なほどに失業者の大部分を占めているほか、正社員になることを望みながらもパートタイム職にとどまっている人々の比率も極めて高い。こうした状況は、米労働市場の状況を評価する際、失業率以外の要素も考慮することの重要性を浮き彫りにしている。 <最近の軟調なインフレ> 最近の軟調なインフレは、原油価格や非原油製品の輸入価格の下落といった一時的な要因を一部反映している公算が大きいようにみえる。 <金融市場のボラティリティ> 国際金融市場で見られる最近の変動を注視している。現時点で、こうした動向が米経済見通しに著しいリスクを及ぼすとは認識していない。しかしながら、引き続き状況を監視していく。 <金融政策の戦略> FOMCの金融政策姿勢に強い継続性を想定している。現在の政策戦略を定めた時、私自身はFOMCのメンバーだった。その戦略を強く支持する。 <月当たりの債券買い入れ規模の縮小ペース> 労働市場の状況が改善し、インフレがより長期の目標に再び近づいていくというFOMCの予想が今後の指標でおおむね裏付けられれば、FOMCは今後の会合で、一段と慎重なステップを踏んで資産買い入れペースを落とす公算が大きい。とはいえ、買い入れについてはあらかじめ定めておらず、買い入れペースに関するFOMCの決定は引き続き、予想される効果や費用の評価、労働市場やインフレの見通し次第となる。 <失業率やインフレの数値基準> これらの数値のひとつが基準を突破しても、フェデラルファンド(FF)金利の自動的な引き上げにはつながらず、より広範な経済見通しが利上げを正当化するかについて、FOMCによる検討が適切になったということにすぎない。 <インフレを目標近くに維持> 米経済が完全雇用を回復し、インフレ率が継続的に2%を上回ったり下回ったりすることのないよう支援するという、われわれの2つの責務のいずれの達成にもコミットしている。 ◎質疑応答 <生産性に追い付かない賃金> 賃金は生産性に追い付いていない。過去数年、利益が賃金にではなく、資本分配に回されてきた。原因は完全には分かっていないが、気掛かりなトレンド。生産性が上がっても、労働者の実質賃金はそのペースに追い付いていないということを示しているからだ。生活水準という観点から、かなり気にかかる傾向だ。 <労働市場の緩み> 雇用市場は、労働意欲のある人が職を確保できるほどには十分な状態ではない。労働市場には引き続き多くの緩みが存在している。 <米国債デフォルトの可能性> 財政政策を担う当局は、米国債がデフォルトに陥るようなリスクに米国をさらすべきではない。われわれの経済・金融市場、国際金融市場の観点から極めて有害。債務上限を引き上げなければ、悲惨な状況になる。 <米財務省・FRBの債務上限めぐる緊急策、支払い優先策策定の可能性> 私が知る限り、確定した計画はない。これはあくまでも財務省が判断することで、FRBの権限外だ。(債務上限が引き上げられなかった場合、支払いの優先順位を付ける計画を策定するよう財務省から要請があったとしても)FRBがそのような計画を策定することができるかは不明だ。 <日本の金融政策> 為替や競争力の改善をターゲットとせず、幅広い経済の問題に対処するといった国内の目的達成に向けて金融政策を活用することは容認されるべきだ。 日本政府や日銀が長期にわたるデフレ脱却に向け、一連の金融政策を導入したことは自然かつ、理にかなっている。 金融政策が為替相場に影響を及ぼすことは確かだが、日銀の政策が目指すところを理解している。少なくとも現時点では有益に働いているようで、日本はデフレの領域を脱し、インフレの領域に向かっているようにみえる。 <構造的な失業> FRBは、失業が構造的となる可能性を非常に懸念している。26週間以上の失業に陥っている長期失業者が失業者全体の36%を占めている。これほどまでの長期にわたる失業に陥ると、やる気を失うだけでなく、職探しのための人脈や技能も薄れ、就労を永久にあきらめる状況に追い込まれかねないことは理解できるだろう。雇用者側も、長期失業者を雇うことに消極的な傾向にある。一時的であるはずの問題が恒久的な雇用喪失につながる恐れがあり、これは経済および家計にとり重大な問題となる。 <農地価格、株価の上昇> 株式市場が持ち直し始める前でさえ、(農地)価格はかなりのペースで上昇していた。バリュエーションについて懸念される分野だとの認識があり、(状況を)注視している。 われわれの金融政策が資産価格を押し上げる効果があったと言って妥当だろう。幅広い種類の資産価格が、バブルのような様相を呈しているのかどうか、慎重に検討してきた。総じて、株価にはその兆候はみられない。地価は、かなり過大評価されていると言えるだろう。 <資産価格はバブルの領域か> 現在の米国のように、低金利環境が長期間継続すれば、利回り追求意欲を刺激する可能性があると認識している。われわれは資産バブルの形成、レバレッジの拡大、急速な信用の伸びなど金融安定への脅威が生じるリスクを抱えている。とりわけ米国の金融政策が極めて緩和的な状況下で、われわれはこれらの脅威を特定しようと注力している。 <ドルの重要な役割> ドルは世界経済で重要な役割を果たしている。ドルが健全な通貨であり続け、重要な役割を引き続き果たせるよう、インフレを今後も確実に制御することがFRBの仕事だ。 <「FRB監査」の法整備に対する反対> 同意できず、これまで強く反対してきたのは、金融政策の適切な運営方法に関する判断に影響を及ぼすような政治的圧力が持ち込まれ、金融政策の独立性が損なわれることだ。 われわれが責任を取るべきで、与えられた目標を政策でどう達成していくのかについての説明責任もある。長期的に経済に最大の恩恵をもたらせるよう、議会にとっても厳しい判断を下さなければいけない時もある。 <監査対象外のFRB金融政策> 数十年に渡り、FRBの独立性という観点から中核となっていた例外措置だ。FRBは正当に任務を遂行していると信じている。FRBやわれわれの金融政策決定に対する市場の信頼感が、そのような監査によって向上するとは思わない。 <雇用に関する責務> FRBが担う物価安定と雇用の2つの責務を強く支持する。FRBが雇用と物価安定の双方に注目する2つの責務を担っていることは、米国のためになると強く感じている。われわれは2つの責務を追及することにコミットしている。 <銀行のコモディティ取引に対する監督> これらの分野に関するわれわれの監督体制を徹底的に見直しているところだ。検討しようとするさまざまな課題を浮き彫りにし、この分野で提案される規則の制定に関して、事前に通知したところだ。 意見を慎重に検証することになる。この分野で何らかの変更があるだろう。銀行がコモディティ取引を安全で堅実な方法で実施できる状況を確保することが、FRBの主な目標だ。 <銀行規制の経済への影響> 金融システムの強化につながる規制課題は、経済に長期的かつ重要な恩恵をもたらすものと考える。 <景気を弱めるための利上げ> FRBが景気を弱めるために意図的に利上げを行うとしたら、それはFRBに課せられている責務の達成にとっても、また議会が取り組む赤字削減にとっても有益とはいえない。景気が弱まれば赤字は増える公算が大きいからだ。 <長期的財政赤字の経済への影響> 持続的に増え続けるとみられる長期的な赤字は経済に負の影響を及ぼす。過去数年間で赤字が膨らんだ背景には、経済の弱さも一因としてある。 <緩和縮小の停止を促す条件> FOMCが緩和縮小の停止を検討するには、見通しの著しい変化が必要だ。 われわれは失業率、雇用増加数などを含む、労働市場に関する広範なデータを注視している。これに加え、消費や経済成長などの指標も勘案する。なぜなら労働市場の改善が継続すると見通すにはトレンドを上回るペースでの成長を確認する必要があるからだ。 われわれはインフレ率が目標を大きく下回る水準で推移している点に留意しており、インフレ率が目標水準へ戻ることを確実にしたい。 <資産買い入れ拡大を促す条件> 見通しの著しい悪化だ。労働市場の見通し(の悪化)および、インフレ率が時間の経過とともに目標水準に戻らないとの深刻な懸念が生じだ場合だ。だがFOMCは資産買い入れはあらかじめ決まった軌道にはないと強調しており、証拠を引き続き見極めていく。 <MBSと国債の買い入れ> (住宅部門が減速した場合、FRBは国債の買い入れのみを縮小し、モーゲージ担保証券の買い入れを維持することを検討するかとの質問に対し)それぞれ両方の買い入れが、幅広く金利に影響を及ぼすと考えている。国債の買い入れは住宅ローン金利の低下にもつながる傾向がある。一部の事実からは異なる影響があることが示されているが、別々であると考えることは困難だ。 <軟調だった12月と1月の雇用統計> 12月と1月の雇用創出ベースが自分自身の予想を下回ったことに驚いた。ただ、これらの統計の意味するところを解釈するにあたり、結論を急ぐようなことがあってはならない。天候要因もあった。例年にない寒波に襲われ、雇用市場やその他の市場の経済活動が影響を受けている可能性がある。 次回のFOMCは3月に予定されている。(それまでに)次回の雇用統計を含め、数多くの経済指標が発表される。われわれにとり、これらの意味を時間をかけて検証することが重要になると考えている。 <労働参加率の低下> 労働参加率低下の大部分は構造的なもので、景気循環的な要因によるものではない。ベビーブーマー世代が高齢化しており、労働参加率が大幅に低下している。 人口の高齢化に伴い、労働参加率は今後も低下すると見込んでいる。 労働参加率低下の大部分は構造要因によるとの見方に疑いはない。だが、私自身は証拠を踏まえ、景気循環的な要因も背景にあると信じる傾向にある。 労働参加率の低下に関し、それぞれの原因がどの程度影響しているのかを確実に理解する方策はない。 <議会ができる失業対策> われわれは金融政策を通じて、一段と速い景気回復を促進し全国的に失業率を押し下げるため、できることを行う。 金融政策は万能薬ではない。議会が同じ目標を促進するために、取り得る他の措置を検討することは全く適切だと思う。 私が知るエコノミストはみな、労働力の技能を向上させることが、この問題に対処するために講じるべき重要な措置の1つだと考えている。 <合理的な中銀当局者> 私自身、合理的な(sensible)中銀当局者だと考える。われわれは現在、金融政策が非常に長い間、テイラー・ルールなどの法則が指し示すことを実現できない極めて異例の状況にある。 大平穏期のような比較的正常な時代にはテイラー・ルールなどが合理的なアプローチを提供するが、経済が金融危機による厳しい向かい風に直面し、法則で示されるマイナス圏へのフェデラルファンド(FF)金利引き下げを実際にFRBが実行できない現状では、異なるアプローチが必要だと私は強く信じており、そう主張してきた。 われわれはフォワードガイダンスを通じて可能な限り系統的で予見可能であるよう努めている。 <今後の緩和縮小> 今後の見通しがFRBの想定通りとなり、改善を見込めるほど成長に十分な弾みがついていることを示す労働市場の回復継続が確認され、現在FRBの目標を下回っているインフレ率が時間とともに目標の向かって上昇する兆候が示されれば、慎重なペースで資産買い入れの縮小を継続する公算が大きい。
米FRB議長が緩和縮小継続表明、労働市場は「完全な回復に遠い」 2014年 02月 12日 08:26 JST
2月11日、米FRBのイエレン議長は、米労働市場の回復は「完全と呼べる状況から程遠い」との見解を示した。ワシントンで2013年11月撮影(2014年 ロイター/Joshua Roberts) トップニュース 日経平均3日続伸、米株高や円下落で主力株に買い 中国の1月貿易統計、輸出・輸入ともに予想大きく上回る スロベニアのビットコイン取引所も引き出し停止、サイバー攻撃の可能性 機械受注12月は最大の減少幅、1─3月も減少見通し [ワシントン 11日 ロイター] -米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は11日、下院金融委員会で証言した。米労働市場の回復は「完全と呼べる状況から程遠い」との見解を示す一方で、緩和縮小を継続していくと述べ、政策の大幅な変更は視野に入れていないことを明らかにした。 今回の議会証言は、FRB議長として金融政策や経済情勢に関し公に発言する初めての場となった。 イエレン議長は、長期失業が「異例の高水準」となっていることや、パートタイム職にしか就けない労働者の割合が「極めて大きい」状態とし、FRBが注視していく必要があるとの考えを示した。 そのうえで「いくつかの指標で見れば、われわれの経済や労働市場は正常な状態に戻っていない」と指摘。「労働市場には依然かなりの緩みが存在する」と述べた。 イエレン議長は一部の共和党議員から厳しい質問を浴びつつ、バーナンキ前議長のとった政策アプローチを踏襲していくと強調した。 米失業率は6.6%と、FRBが量的緩和第3弾(QE3)を導入した2012年9月から1.5%ポイント低下している。 ただイエレン議長は、FRBが持続可能な最大雇用と整合するとみなす水準は依然として「大幅に上回っている」との認識を示し、「労働市場の回復は完全と呼べる状況から程遠い」と述べた。 4時間以上という異例の長丁場となった質疑応答では、議長が規制問題に関する厳しい質問に時折、戸惑う様子もうかがえた。銀行の自己勘定取引を制限する「ボルカー・ルール」の詳細については、説明する前に検討が必要と答える場面もあった。 <資産買い入れ縮小のペース> FRBが昨年12月に緩和縮小に着手して以降、雇用の伸びが急激に鈍っている兆しが出ており、一部ではFRBが緩和縮小を停止するのではとの見方も出ていた。 だが議長は、労働市場の改善やインフレ率の上昇に関する当局者の予想が経済指標によって裏付けられれば、「今後の会合で慎重に一段と減速させる公算が大きい」とし、緩和縮小路線を変更しない考えを示した。 そのうえで、資産買い入れはあらかじめ決まった道筋にはないとのFRBの立場をあらためて表明した。 インフレ率は現時点で1.1%にとどまっているが、「最近の弱さは原油価格や非原油輸入物価の下落など、一時的となる公算の大きい要因を反映している」と分析。今後は上昇して、FRBが目標とする2%に再び近づいていくとの見方を強調した。 次回3月18─19日のFOMCで、経済見通しに著しい変化があれば、緩和縮小の停止を検討する考えを示した。労働市場の見通しが「著しく悪化」したり、インフレ率が時間の経過とともに上昇していかなかないといった非常に深刻な懸念が生じた場合にのみ、資産買い入れ拡大の検討を促す条件となるとした。 イエレン議長は、国際金融市場で最近、大きな変動が見られるとしつつ、現時点で「米経済見通しに著しいリスクを及ぼしていない」と述べた。 議会証言を受けて、米長期債利回りは2週間ぶりの水準に上昇する一方、主要株価指数はそろって1%超上昇した。市場を動揺させるような発言をイエレン議長が行わなかった点が好感された。 RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏は「バーナンキ前議長の路線を踏襲していることは明らかだ」と指摘。「FRBが年内、毎回のFOMC会合で100億ドルずつ量的緩和の縮小を継続する見通しだ」と話した。 <労働市場に注目> イエレン議長は、6カ月以上職に就けない失業者の割合が「異例に高い」ほか、フルタイム雇用を望みながらパートタイムで働いている人の数も「非常に多い」と指摘。こうした状況は「労働市場の状況を評価する際に失業率以外の要因も考慮することの重要性を浮き彫りにしている」と述べた。 昨年12月と1月の雇用統計が軟調だったことについては「これらの統計の意味するところを解釈するにあたり、結論を急ぐようなことがあってはならない」と述べ、例年にない寒波の影響が出た可能性もあるとした。 コラム:リスク資産投資の支援にならない米雇用統計 2014年 02月 10日 18:29 JST James Saft [7日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長と同僚のFRB幹部にとって、7日の雇用統計はストレスのたまる結果となったが、金融緩和策の継続を願う株式市場や他のリスク資産の投資家にとっては、さらに悪いものだったかもしれない。 1月の非農業部門の雇用者数は11万3000人増となり、昨年12月分も期待を裏切る7万5000人増で、わずか1000人の上方修正にとどまった。統計結果は、悪くすれば景気が徐々に弱含んでいることを示す、あるいは良く解釈しても急速な回復には程遠いことを示す内容だった。 一方、失業率は5年ぶりの低水準となる6.6%に低下し、FRBが利上げに踏み切る際の大事な一里塚と位置付ける6.5%にあとわずかに迫った。 建設業の雇用者数の伸びにより、例年にない寒波の影響で雇用が伸び悩んだとする議論の前提が幾分崩れることにも留意が必要だ。小売業は実際に打撃を受けたが、それも単に長期的にみて業界が実店舗からオンラインにシフトしていることの一端を示した結果なのかもしれない。 むろん雇用統計前にFRBの利上げ時期が近いと信じていた人はおらず、統計の発表後の今も、利上げに一歩近づいたと考える人がいないのは明白だ。統計の数字が示したのは、景気が落ち込んでいる可能性の高まりだが、それによって実際にFRBが緩和策の規模縮小を一時的に中止したり、逆に規模拡大に転じるなどの行動に出る可能性は同様には高まらなかった。 その認識が浸透すると、新興国市場だけでなく米国株を含むリスク資産に問題を引き起こす。 米連邦公開市場委員会(FOMC)は3月まで開かれないことから、リスク資産に投資する投資家たちはその間、楽観的になるために2つのうち1つを信じなければならない。事態が自分たちが考えるより好転していると信じることが1つ。もう一方はFRBが景気の弱さに対応するために行動する意思について、何らかの発言をすると信じることだ。前者はいつでもすぐに信じられるが、後者については可能性は低いように思える。 FRBは昨年9月、市場予想に反してテーパリング(金融緩和縮小)を先送りし、12月には予想に反してテーパリングの実施を決定した。こうした中で就任したイエレン新議長はいささか厄介な状況に追い込まれた。彼女がここでまた方針転換を検討しているというシグナルを送れば、議長としてまだ積み上げていない信頼感をいきなり失うことになるからだ。 テーパリングの減速や一時停止、ましてや方向転換に動けば、FOMC内で議論が激しく分かれるだろう。FOMCメンバーの一部は量的緩和策のメリットについて懐疑的で、緩和策がもたらすリスクに神経をとがらせているからだ。 <議会証言> イエレン氏が目下直面する大仕事は、以前にハンフリー・ホーキンス証言と呼ばれた年に2回の議会に対する金融政策報告だ。11日にFRB議長として初めて出席する。 シティグループの通貨戦略責任者、スティーブ・イングランダー氏は雇用統計発表後に顧客向けのレターで「イエレン氏はテーパリングを継続すると証言するとみられるが、そのことはFRBが積極的な引き締め策を実施しようとしていることを意味しないという点について、より多くの時間を割いて説明するだろう。テーパリングの動機は、量的緩和には政治的に不健全な面があり、FRBにとっては現在、フォワードガイダンスによって景気に刺激を与える方がやりやすいということだ」と指摘した。 イエレン氏の証言は恐らくこうした内容になろうが、いずれも非常に論争の余地が大きい点だ。 連邦政府の財政収支の改善によってテーパリングの影響が弱まっているとはいえ、新興国市場と高利回り投資からの資金流出量を見るだけでも、金融市場に与えるインパクトの大きさは理解できる。大半の資金の借り手にとって条件は非常に厳しくなっており、今後数カ月間にわたって一段とタイト化する可能性が高い。30年物住宅ローン金利が再び4%に向け緩やかに低下していることで、FRBがリスク資産投資を懸念する理由はまた一つ減った。 フォワードガイダンスに関して言えば、重要な役割を果たすはずの失業率を挙げるだけでも、金融緩和と引き締めを言葉や目標指標に基づいて実施したりコントロールすることが、いかに難しいか分かる。不透明な世界経済の下で、FRBの予測を真に受け、FRBがガイダンスに忠実に従うと信じている人たちは非常に少数派に違いない。 もう一つの大きな疑問は、事態がどれほど悪化すればFRBが実際にテーパリングの方針を転換するかだ。量的緩和(QE)が資産価格を上昇させる効果にはしっかりとした証拠があるが、雇用を促進し大幅な生産活動の伸びに寄与するという主張はさほど強くない。 あとで振り返れば経済は今より改善し、春の訪れに伴い雇用も拡大していたという結果もあり得る。だが、そうならない場合にFRBは、ゼロ金利の壁に阻まれ、政治的に非常にコストが高く不人気な政策手段であるQEと、約束だけが力のすべてであるフォワードガイダンスしか手段を持たない状態が続くことになる。 失業率はFRBの目標水準を「大きく上回っている」とする一方、労働参加率低下の大部分は構造要因で、そのため恒久的とも指摘した。 *情報を追加しました。
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