05. 2014年2月10日 23:59:47
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今回の景気回復局面が去年の12月で終了していた可能性は指摘されていたし新興国危機も重なった さらに米経済の回復が期待ほどでなかったとしたら、 今回の通貨安と財政刺激主導の日本経済の回復が終了してもおかしくはない http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39899 揺らぐ世界経済:景気回復はどれほど脆弱なのか? 2014年02月10日(Mon) The Economist (英エコノミスト誌 2014年2月8日号)
世界経済にとって、2014年は浮き沈みの激しい年になるだろう。だが、現時点ではまだ、回復が危険にさらされているわけではない。 2013年のほとんどの期間、世界の主要株式市場には、どこか魔法のような雰囲気があった。金融刺激策と世界の経済成長への楽観論の広がりに支えられ、株価はうなぎのぼりに上昇した。米国のS&P500株価指数は昨年1年間で30%、日本の日経平均株価は57%上昇した。 この1カ月で、その魔法が突然消え失せてしまった。1月初めから、全世界で株式時価総額が3兆ドル以上も吹き飛んだ。S&P500はほぼ5%、日経平均は14%、MSCI新興国株価指数は9%近く下落している。 昨年のような著しい急騰の後では、投資家が利益の一部を確定したとしても、何ら驚くには当たらない。特に米国株は、割高に過ぎる様相を見せ始めていた。2013年末のS&P500の10年平均利益による株価収益率(CAPEレシオ)は25倍で、長期平均の16倍を大きく上回った。最近発表された一握りの思わしくない経済ニュースは到底、パニックの理由にならない。 例えば、米国の製造業について予想外に悪い報告が1つあったことで日本の日経平均が1日で4%以上も下がる理由について、経済的に説得力のある説明をするのは難しい。こうした市場の動揺は、必然的な調整過程であると説明する方がずっと納得がいく。 見通しはそこまで悪くない 株価は常に乱高下するものだが、結局のところは、基盤となる経済の状況によって決まる。ここで過度に楽観的になるのは間違いだろう。エコノミストや経済学者は、世界の経済成長における突然の転換点を予測するのが下手なことで有名だ。 資産価格の下落は、たとえこれ以上落ち込まないとしても、今年の成長見通しに悪影響を与えている。それが特に顕著なのが、信用条件が厳しくなり、外国資本がこれまでのように豊富ではなくなってきた新興国だ。多くを物語るのがコモディティー(商品)価格の下落だ。鉄鉱石の価格は、1月に8%以上下落した。 だが、すべての事実を考慮したうえで本誌(英エコノミスト)の評価を下すなら、投資家たちの悲観的な見方は行き過ぎている。期待外れの数字がいくつか出たからといって、米国の回復基調が失速しているわけではない。中国経済は減速しているが、突然停止する可能性は依然として低い。それ以外の新興国については、確かに2014年の成長は鈍くなるだろうが、全面的な破綻に向かっているわけではない。 そして、欧州と日本では、金融緩和がさらに進む可能性が高まっている。世界の経済成長はまだ2013年の3%(購買力平価ベース)というペースを恐らく上回るだろう。現時点では、これは転倒というよりは、ふらつきのように見える。 「天候」でほぼ説明がつく米国経済の足元の弱さ この見方の最も重要な根拠となるのが、米国経済の見通しだ。米国は世界経済の回復を牽引しているため、米国経済が弱いままだと、世界経済の展望も暗いものになる。だが、その心配はなさそうだ。1月に相次いだ弱々しい数字(製造業受注や自動車販売の不振など)の一部は、「天候のせい」で説明がつく。 今年の米国の冬は例年になく厳しく、過酷な降雪と凍えるような寒さが続いている。それが経済活動を乱している。従って、本誌が印刷に回された後の2月7日に発表される極めて重要な雇用統計をはじめ、1月に関するすべての統計値は、その点をかなり差し引いて考えるべきだろう。 そのうえ、消費支出の突然の急落を予測する根拠もない。米国の世帯のバランスシートは強固だ。株式市場の下落が消費者信頼感を押し下げているものの、投資家がリスクを回避していることから、米国債の利回りが下がり、それが住宅ローン金利を下げるはずだ。2013年と比べると、財政政策の足かせは随分と小さくなっている。 そうした点を考えれば、2014年の成長率はやはり、トレンドを上回る3%前後という堅調な数字になるものと見込まれる。投資家はこの見通しに必ずしも興奮しないだろうが、その一因は、この数字がもはや成長の加速を示すものではないことにある。 米国経済は、2013年末に年率換算3.2%という成長率で猛進した。2014年の年平均成長率が昨年の1.9%を上回る公算は依然として大きいとはいえ、2014年の最初の数カ月は、2013年末よりは成長が鈍るだろう。 一方、中国経済は、明らかに減速している。最新の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、工場の活動が6カ月ぶりの低水準となったことを示している。問題は、その減速がどれくらいのペースで、どこまで進むのかという点だ。 中国のハードランディングへの懸念も行き過ぎ 投資家の多くは「ハードランディング」を恐れている。その不安の根拠になっているのが、借り入れを原動力とする投資主導の中国の成長モデルは既に限界に達していて、その種の成長は単に減速するだけでなく、最終的には金融破綻に陥るはずだ、という考え方だ。それゆえに、中国のシャドーバンク(影の銀行)の金融商品が救済を余儀なくされたというニュースに市場は不安感を抱いたのだ。 だが、現時点ではまだ、中国の成長は、つまずいているというよりは、鈍化している状態だろう。中国政府には、総崩れを防ぐ力がある。そして、先の救済は、中国政府にその力を使う意志があることを示している。 中国のハードランディングを巡る懸念が大げさであるのなら、新興国全体の崩壊を巡る心配も同様だろう。というのも、中国の成長ペースが、新興国経済全体に直接的かつ大きな影響を及ぼしているからだ。 中国の経済成長に関する予測は、ほかの新興国から手を引きたいという外国人投資家の心情にも大きな影響を与え、ひいてはそうした国々で金融環境がどれほどタイト化するかにも影響を及ぼす。金利を2倍以上に引き上げたトルコの場合、ほぼ4%だった2013年の成長率に対して、2014年は2%の成長率を維持できれば幸運と言えるだろう。 だが、ほとんどの国・地域では、金利を上げてもトルコほど厳しいものではなく、成長の加速に対する期待がしぼむだけで、全面的な崩壊を誘発することはない。 楽観的な見方を裏づける最後の根拠は、逆説的ではあるが、市場の不安感のおかげで、欧州と日本でより大胆な金融政策が取られる可能性が高まっていることだ。 ユーロ圏のインフレ率が0.8%という懸念すべき水準にあることから、欧州中央銀行(ECB)は、金融緩和政策をさらに進める必要がある(本誌が印刷に回された後の2月6日に会合が開かれることになっていた)。金融市場が弱腰になっている時には、銀行融資債権の購入などの、非常に大胆な措置が取られる公算が大きくなる。 その論理がさらに強く働くのが、日本だ。日本の株式市場は世界で最も大きく下落しているうえに、4月1日の大幅な消費税引き上げにより、経済が打撃を受けるものと見られている。従って、さらなる金融緩和が実施される可能性が高い。 それでもまだ支えが必要 この分析が正しければ、現在の市場の悲観論は一時的なものにとどまるだろう。世界経済の底が抜けているわけではないと分かれば、投資家たちは落ち着きを取り戻すはずだ。 本誌の予想は、現在の市場で懸念されている結末よりもずっと明るい。だが、それほど気持ちの踊るものでもない。世界経済の回復は、健全とはほど遠い。米国への依存度が大き過ぎるうえに、依然として中国のリスクがあり、金融緩和政策という支えに頼っている状況だ。言い換えると、依然としてひどく不安定だということだ。 http://blogos.com/article/77479/
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