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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 法人税引き下げは正しいか
http://wjn.jp/article/detail/6003951/
週刊実話 2014年2月20日 特大号
安倍総理が法人税の税率引き下げの検討を指示した。それに呼応する形で、経団連次期会長の榊原氏は、法人税の実効税率を25%に引き下げるよう求めた。日本の法人税率が欧州やアジア諸国と比べると高く、国際競争力を確保するためというのが理由だ。
確かに表面的にみると、日本の法人税率は、地方税を含む実効税率で復興増税廃止後でも、35.64%と、30%以下の国が多いアジア近隣諸国や欧州と比べて高くなっている。しかし、例えば米国(ニューヨーク州)の税率は45.67%と、日本よりも10%も高い。それが理由で米国が競争力を失っているという証拠は一切ない。
また、日本の法人税にはさまざまな優遇措置があり、額面通りに支払われていないのだ。ちなみにOECD(経済協力開発機構)の統計で、'09年時点の社会保険料を含む税収全体に占める法人税の比率をみると、日本は11.8%で、米国9.4%、イギリス8.6%と似たような水準だ。しかも、日本の法人税率は、この時点より1割以上引き下げられているから、すでに英米と同水準とみて間違いないのだ。
それでも法人税率をもっと下げたいというのは、単に財界が税金を払いたくないというわがままを言っているだけに過ぎないのではないか。そして、そのわがままは、社会に弊害を及ぼすまでに至っている。
典型的な影響が復興予算だ。東日本大震災の復興経費は、復興特会と呼ばれる特別会計から支出されている。復興特会の財源は、復興債と一般会計からの繰り入れ、そして復興特別税の収入だ。簡単に言うと、復興のための国債を発行して、当面かかる巨額の復興経費を捻出し、借金は復興増税で少しずつ返していきましょうという仕組みだ。
ところが、企業にかけられる復興特別法人税は2013年度までで、前倒しで廃止されることになった。個人の所得にかけられる復興特別所得税は、当初予定のまま25年間続いていくのに、政府は、法人の負担だけなくしたのだ。'14年度から復興財源が制約されるのだから、復興のための支出も抑制されることになる。
実際、復興特会の予算をみると、'14年度の復興予算は、3兆6464億円となっている。'13年度予算が4兆3840億円だったから、差し引き7376億円も復興予算が減っているのだ。
しかも、'13年度は補正予算で5638億円、復興予算が増額されているから、補正後の予算と比べると、来年度の復興予算は1兆3014億円もの減額になっているのだ。
もちろん、このことがすべて復興特別法人税廃止の影響であるとは言えない。実際、'13年度の復興特別法人税は9145億円だったから、この分が予算からはげ落ちたというほうが正確かもしれない。
ただ、震災復興は国全体で支えなければならない事業であることは、間違いのない事実だ。それなのに企業だけが負担を免れるという強欲は、けっして許されるべきではないだろう。
企業を優遇し続けてきた結果が、いまや250兆円にもおよぶ内部留保を企業にもたらしているのだ。米国でさえ内部留保の総額は170兆円だ。そろそろ財界も分をわきまえないと、社会がおかしくなってしまうのではないだろうか。
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