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2014.1.28
朝倉 慶
●中小企業を救う<徳政令>とは?
画期的な中小企業の救済計画が進んでいます。日本全国で景気低迷、ビジネス環境の悪化から借金返済に苦しむ中小企業は膨大な数に上ると思われますが、これら借入金に苦しむ日本の中小企業に夢のような<徳政令>が執行されようとしているのです。
日本政府は昨年12月、業績が悪化した中小企業が転業したり再び起業したりしやすくするために、会社清算や再建に取り組める新指針を発表したのです。そしてその方針は中小企業に対しての驚くべき大盤振る舞いであり、日本の今までの制度や方針が劇的に変わるほどのインパクトを持つ、画期的な方針が打ち出されたのです。この新方針は今年4月から実質的に施行されることになるでしょう。まさに日本の中小企業の倒産など遥か彼方に消えそうな借金は返済不要という驚くべき新政策が幕を開けるのです。
昨年12月に発表された新指針によれば、政府は早期に事業再生を決断した中小企業経営者を全面的に支援するというのです。如何に支援するかというと、今までの借金を場合によっては無効とし、返済する必要はないというのです。しかも会社の清算を決断すれば、まずは借入を行っていた銀行に自らの正確な資産状況を開示すること、そのうえで一定の生活費は残していいということ、これは500万円程度の額になると思われます。500万円程度の額がないと暮らすのにも新しい事業を起こすのにも事欠くからです。しかも仮に自宅が借入金の担保となっていた場合でも、その自宅が銀行に没収されることはありません。借金が払えなくても担保となっていた自宅は、いわゆる華美でなければ没収されることなく、残して利用し続けていいわけです。新指針によれば銀行は借金を返してくれない中小企業経営者の自宅を担保として没収することはできません。そしてその上に経営者の交代も求めることもないのです。
それだけではありません。中小企業経営者が借金を払わず、会社を清算しても、この借金を払わなかったという事実を信用機関に登録することもしないというのです。
いわば、今回の新指針では、中小企業の経営者が行き詰まって、会社清算をしなければならない場合に、その事実を銀行に正直に話して、自らの資産を正直に開示しさえすれば、500万円までは残してくれて、そのうえ、自宅は取られず、責任も取る必要がなく、借金を払わなかった事実が信用機関に登録されることもないのです。まさに驚くべき新指針が消費税増税後に施行されるのです。
リーマンショック後、日本は深刻な不況に陥りました。当時、中小企業の時限的な救済措置として<中小企業金融円滑化法>が制定、施行されたのです。
これによって銀行は中小企業経営者の借入金の返済猶予、金利減免、返済期間の延長など、あらゆる借金の返済措置の緩和策がなされてきました。結果的に日本全国で420万社ある中小企業は銀行からきつい取り立てを迫られることがなくなり、借金の返済に追い立てられることもなくなったのです。
まさにリーマンショックという世界的な経済波乱の影響から日本経済の落下を防ぐための緊急的な救済措置だったのです。この中小企業金融円滑化法は多くの中小企業経営者から喜ばれました。
それはそうです。今までは取り立てが厳しかった銀行が法律と行政指導によって実質、返済猶予に応じてくれる形です。全国420万社の中小企業のうち、40万社から50万社はこの中小企業金融円滑化法を何度も何度も利用して生きながらえてきました。
金融庁の行政指導は強烈で「貸し渋りがあれば金融庁に報告してほしい」という通達の下、銀行は中小企業から借金の取り立てを厳しく行うこともできませんでした。
仮に金融庁の方針に逆らって借金を厳しく取り立てようものなら、金融庁の逆襲は強烈で、銀行など金融検査で大変な目にあってしまいます。このため銀行は、金融庁の意向には逆らえません。お上が大盤振る舞いで資金を貸し出せと言うのですから従うのも当然だったのです。
●「中小企業金融円滑化法」廃止後も・・・
ところがこんな大盤振る舞いが永遠に続くわけもないのです。銀行から借金しても返す必要もなく、返済期限は延ばし延ばしで構わないというモラルハザードの状態が永遠に続けられるとも思いません。日本政府は昨年3月、この中小企業金融円滑化法を廃止しました。当然銀行は中小企業に対して通常通り借金の返済を要求し、金融の正常化に乗り出すものと思われました。時は昨年の3月でしたから、参議院選挙の前であり、この時点では国民ウケしない取り立てを行い始めるわけにもいきません。
円滑化法を廃止して金融を正常化して銀行が正常に取り立てを開始するのは参議院選挙後、とみられました。
ところが金融庁の強力な行政指導は続いたのです。中小企業にとっては居心地のいい、銀行に責められない時間が続いてきたのです。昨年3月に金融円滑化法が廃止されてから、中小企業が銀行に金利減免や返済猶予や返済期間の延長など求めた場合、その申請に対しての実行率は何と98.8%、円滑化法廃止前よりも実行率が上昇したのです。恐ろしいほどの強烈な金融庁の行政指導だったのです。
こうして、金融円滑化法の際限のない利用によって日本全国、中小企業の金融のモラルハザードが広がっていったのです。このような状態になっていった日本のいびつな金融情勢をどの時点かで正常化する必要性は叫ばれていたのです。また、円滑化法によって延命された中小企業の中にはとても再生できるとは思えないところも多く、このままでは単に効率の悪い経営を許していくだけで、経済の新陳代謝が起こらず、返って経済が活性化しないという指摘もでてきました。
しかしそれ以上の問題は、あまりに長い間に渡って金利の減免や返済猶予を認めてきたために、表面には出てこない膿がたまり、仮に正常化を目指して銀行が従来のように中小企業に対して普通の取り立てを行った場合、あまりに多くの膿が一気に出てくる可能性が強く、中小企業の倒産ラッシュに発展し、ひいては日本経済の大混乱を引き起こす可能性があるということでした。ぬるま湯につかりきった円滑化法に慣れきってしまった膨大な数の日本の中小企業を昔の通常な金融行政に戻すのは、もう遅すぎたのです。
こうして着地点がないままに、今年4月の消費税の引き上げを迎えようとしていました。今のところ、景気は極めて順調です。
これは全国的な傾向でもありますが、これも4月に消費税の増税を控えた駆け込み需要が殺到しているため、景気がいつになく良い状態なのです。ところが4月になると増税となりますので、駆け込み需要の大きな反動が訪れます。ここでは全国的に景気の良かった状態が嘘のように一気に多くの中小企業が苦境に陥ってしまうことでしょう。
金融円滑化法は廃止されてから1年、金融庁の強力な行政指導で円滑化法の実質的な延長が行われてきましたが、消費税増税の後も永遠に続けるというわけにもいかないのです。
何処かで区切りをつけなくてはなりません。しかし行政を転換して正常化しようとすれば、消費税増税後の不況と相まって再び倒産ラッシュが訪れることは必至で、そのような大混乱を招くわけにはいきません。
というのも安倍内閣の命題は経済の再生であり、この後もさらなる消費税増税に向けて景気の失速は許されず、一時的に景気が落ちてもまた一気に復活を遂げなくてはなりません。その意味では安倍内閣は何でもあり、で手段を選ばずに景気回復にまい進しようとするはずなのです。
そしてそのためにどういう方針をとるかというと、最初に紹介した、劇的な新指針の導入なのです。
多くの日本の中小企業は金融円滑化法に浸りきって抜け出すことはできません。かと言って銀行が手のひらを返したようにいきなり強引に取り立てに入るわけにもいきません。しかも倒産ラッシュのような大混乱は経済を極端に失速させることは必至なので、金融の正常化を即座に実行することなど論外なのです。そこで画期的な徳政令の出番となったわけです。
もはや中小企業円滑化法で数回金利減免を繰り返したような中小企業を混乱なく、倒産させることなく、その経営者が納得して会社を清算させるためには無条件の徳政令しかないのです。
「そんなバカな」と思うかもしれませんが、すでに政府は新指針を発表、後は実行を待つばかりなのです。また円滑化に慣れきった減免を繰り返した中小企業を混乱なく清算してペナルティーもなく社会復帰させるにはこれしか道はなかったかもしれません。
こうして4月の消費税導入後、日本中では新指針の下、大々的に徳政令の執行が始まることでしょう。先行きが見えず、多大な借金にまみれてきた多くの数の中小企業が銀行と相談の下、私的整理という道を選択することとなるでしょう。
私的整理とは実質倒産ということですが、対外的には倒産ではありません。銀行と一部の中小企業がお互いの合意の下に、借金の棒引きを行い、その中小企業は企業再生の名の下に新しく生まれ変わるのです。自宅も健在、手元資金も500万円はあるし、信用情報に傷もつきません。こうして長く借金返済に苦しんできた一部の中小企業は綺麗な財務体質となり新しい目標に向かって動き始めるのです。これこそ悲惨な倒産ではなく、ハッピー倒産です。このハッピー倒産は瞬く間に全国に広がっていくに違いありません。
こうして新たに発行される徳政令によって日本はチャレンジ社会に生まれ変わります。
米国では事業に失敗しても個人財産までは奪われませんし、何度失敗しても再チャレンジが可能です。ですから多くの起業が生まれ、消え、また生まれるのです。日本社会も変わります。起業して失敗しても再チャレンジができる社会が実現されることでしょう。こうして新しい制度の下、借金の呪縛から多くの中小企業が解放されるのです。
長い間、保証人制度が普及し、借金を払えない債務者に代わってその借金を連帯保証人が肩代わりするという制度も利用されてきました、これも今回の民法改正で廃止されます。
もう現在は保証人から借金を取り立てることなどできず、実質連帯保証人制度は機能していないのです。銀行は金融庁の指導により連帯保証人から金銭を取ることはできなくなりました。こうして社会的な倒産は激減、経営者の自殺やもっと悲惨な保証人の自殺などという悲劇は過去のものになったのです。
こうなるとすべてはハッピーなのでしょうか? 多くの中小企業の借金が返さなくていいという制度には、それを社会として誰かが肩代わりしていくという一面もあるのです。
それが国であり、国もお金がないですから結局は国債発行によって実質その資金を国民全体で負担することになるのです。
日本国自体が天文学的な借金にまみれています。そしてここで中小企業にも徳政令が発行されるのです。こうして日本国全体が膨大な借金によって支えられるのです。これまでも国債によって支えられ、これからも同じく国債によって更に大きく支えられるのです。こうして国も中小企業も年金も医療もすべて国債発行によって問題解決を図っていくわけです。この先に何があるのでしょうか? 国も中小企業もすべて借金は棒引きになっていくしかないでしょう。こうして日本の景気は誰を傷つけることもなく更に拡大基調を強めていくことでしょう。
すべては国債という借金、日銀が輪転機を回して円紙幣を印刷することで解決されます。みんながハッピーになり、円の価値はますます減価し、やがて円安は止まらなくなり、マネーの大量発行で潤う日本経済は無理やりに作られたインフレによって復活するのです。しかしいいことばかりではありません、魔法のようなマネーの印刷はやがて円の価値を劇的に減価して多くの日本人を苦しめることになるのです。多くの中小企業の人達が復権するのは喜ばしいですが、マジックは永遠には続きません。やがて止まらないインフレが到来することを忘れてはならないのです。
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