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http://mainichi.jp/shimen/news/20140208dde018040020000c.html
毎日新聞 2014年02月08日 東京夕刊
携帯電話などの電池の原料となるリチウムを、海水からエネルギーを使わず、簡単に低コストで取り出す新技術を開発したと、日本原子力研究開発機構の研究チームが7日、発表した。海水を特殊な膜に通すだけという方法で、従来の方法よりも短時間・高純度でリチウムを採取できる。実用化されれば、100%輸入に頼るリチウムを国内で生産できる画期的な手法になる可能性がある。
研究チームは、海水と薄い塩酸を用意し、その間に海水に溶けたリチウムだけを通すセラミックスを使った薄膜(5センチ四方)と電極板を浸した。海水側と塩酸側の電極板を導線でつなぐと導線に電流が流れ、30日間で海水25リットルから約2ミリグラムの高純度リチウムを塩酸側に採取できた。また、0・56ボルトの発電にも成功した。
リチウムを使ったリチウムイオン電池は、パソコンや携帯電話のほか、電気自動車などに使途が広がっている。この方法では、使用済みリチウムイオン電池からリチウムを取り出すことも可能なため、リサイクル促進にもつながりそうだ。
レアメタル(希少金属)のリチウムは、南米で主に生産されているが、塩湖の水を1年以上かけて蒸発させて採取するため、時間と広大な敷地が必要だ。海水中には約2300億トンと膨大なリチウムがあるとされるが、従来の抽出法は不純物が多く含まれ、電力も必要だった。
今後は膜を拡大し、採取量を増やすことなどが課題という。同機構の星野毅・研究副主幹は「早期の工業化を目指し、企業にも協力を求めたい」と話した。【斎藤有香】
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