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「経済危機」はアメリカから新興国へ(プレジデント)
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/522.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 2 月 07 日 15:21:00: igsppGRN/E9PQ
 

          図 BRICsとインドネシアにおける為替相場の推移


「経済危機」はアメリカから新興国へ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140207-00011819-president-bus_all
プレジデント 2月7日(金)15時15分配信


■経済成長率が急速に減速し始めた理由

 経済のグローバル化の進展に伴って、おカネが世界中を移動して回るのと同じように、経済危機もグローバルに波及するようになってきた。2007年から08年にかけてアメリカで発生したサブプライム・ローン危機は、リーマン・ブラザーズなどのアメリカの金融機関のみならず、欧州の金融機関をも巻き込んで世界金融危機に発展した。その後、ギリシャの財政統計の改竄がトリガーを引いて、ユーロ圏で財政危機が発生。さらに、世界金融危機およびユーロ圏の財政危機に対処するために採用された欧米の金融政策、すなわち、超低金利の下での量的緩和によって、BRICsなどの新興市場国においてバブル経済の様相を呈したが、のちに述べるように、今、これらの国々の経済成長率は急速に減速し始めている。

 00年代に入って、世界経済は、アメリカの経常収支赤字を中心とするグローバル・インバランス(世界的な経常収支不均衡)に直面した。そのなかで、アメリカの経常収支赤字の持続可能性が疑問視されながらも、米ドルを基軸通貨とする国際通貨体制の下でその経常収支赤字が拡大してきた。一方、00年代半ばの経常収支赤字は、国内貯蓄不足のなかでの過剰な住宅投資を原因としていた。アメリカの財政赤字・経常収支赤字をファイナンスしたアジアの過剰な貯蓄が問題であると、バーナンキによって指摘されたものの、住宅投資の資金は、国内貯蓄はもとよりアジアの貯蓄にも頼ることができなかった。それは、石油輸出国から欧州の金融機関を通じて調達され、アメリカの住宅投資を下支えした。

 アメリカにおいて、住宅バブルのなか住宅価格上昇期待に基づいて、本来、信用リスクが極めて高いために住宅貸し出しの対象となり難い低所得者層向けにサブプライム・ローンという形で住宅貸し出しが行われた。その信用リスクを他に移転することを目的としてサブプライム・ローンを担保とした証券化商品がアメリカの金融機関から欧州の金融機関に売り渡された。これは同時に、アメリカ国内で不足する貯蓄を補うための資金調達手段としての役割を果たした。その資金源は、中近東諸国やロシアなどの石油輸出国の経常収支黒字を、欧州の金融機関によって国際的に金融仲介する形でアメリカへと流れていった。その意味では、欧州の金融機関は、石油輸出国の経常収支黒字とアメリカの経常収支赤字との間の国際金融仲介を担った。

 しかし、アメリカで住宅バブルの崩壊によって住宅価格が下落し始めると、住宅価格上昇期待に隠されていたサブプライム・ローンの高い信用リスクが顕在化した。住宅バブルの崩壊とともに、サブプライム・ローンが不良債権化し、サブプライム・ローン証券化商品も回収不能となった。これらのサブプライム・ローン証券化商品を多く保有していた欧州の金融機関もアメリカの金融機関と同様の影響を受けた。

■米ドル買い人民元売りの為替介入

 世界金融危機によって世界経済が同時に縮小する局面に至り、世界金融危機の影響を直接に受けたG7(サブプライム・ローン証券化商品に積極的に資金運用を行っていなかった日本を除く)諸国は、BRICsの新興市場国を招いて、08年12月にG20を開催した。そのG20において、世界同時不況に対して景気回復を目的とした財政刺激政策の国際協調に合意した。この合意を受けて、各国は大規模な財政出動を行った。同時に、世界金融危機の直接的な影響を受けて、バランスシートを毀損した金融機関へ資本注入を行うことによって、各国の財政赤字がさらに増大した。

 このような全般的な財政悪化の状況に加えて、09年10月におけるギリシャの政権交代によって、旧政権による財政赤字に関する統計の改竄が暴露され、財政赤字の規模が大きく上方に修正された。財政統計の改竄は、財政当局に対する信認をも失墜させ、財政危機に至った。ギリシャで財政危機が発生すると、一般政府債務残高や財政赤字が大きいポルトガル等の他のユーロ圏諸国にも財政危機が飛び火した。このようにしてユーロ圏の財政危機が深刻化したために、欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)と国際通貨基金(IMF)とのトロイカ体制がギリシャに引き続いて、アイルランドやポルトガルに対しても金融支援を行うこととなったものの、金融機関に対するセーフティネットとしての欧州安定メカニズム(ESM)の設立に12年まで時間を要したこともあって、ユーロ圏の財政危機が深刻化し、さらには金融危機に発展しかねない状況になった。

 このように、00年代より「失われた10年+α」を経験してきた日本に加えて、世界金融危機の震源地であるアメリカ、そして、世界金融危機の直接的影響を受け、さらには一部の国々で財政危機に陥ったユーロ圏において、それぞれの中央銀行である日本銀行と連邦準備制度理事会(FRB)とECBは、同時に、超低金利水準に政策金利を引き下げながら、量的緩和の金融政策を実施することとなった。この大量に供給された資金は、世界金融危機およびユーロ圏の財政危機によってこれらの国内経済において景気後退と低迷のなか、国内投資の期待収益率が低下してしまったこれらの国々の内に留まらなかった。金融のグローバル化のなか、これらの国々よりも高い期待収益率を望めると思われたBRICsなどの新興市場国へと資金は移動していった。日米欧で量的緩和を強めれば強めるほど、その傾向が高まり、新興市場国への資金流入が増大した。

 さらに、一部のBRICsにおいて、とりわけ中国においては、05年7月に通貨バスケットを参照とした管理フロート為替相場制度に移行すると政府が発表したものの、世界金融危機が発生すると、米ドルに対して人民元を固定させる通貨政策を採用した。すなわち、人民元の価値がファンダメンタルで見てもっと高いにもかかわらず、通貨当局が外国為替市場に介入することによって、人民元を米ドルに対して低く抑制していた。このような米ドル買い人民元売りの為替介入によって、中国国内に一層の人民元が供給されることとなり、過剰流動性を引き起こすこととなった。

 新興市場国あるいは発展途上国が、自国通貨建てで海外から資金を調達することは、海外の投資家が当該国通貨のダウンサイド・リスクを警戒して、極めて難しい状況にある。そのため、これらの国々は、米ドル等の国際通貨建てで海外から資金を借り入れなければならない状況にある。新興市場国においては、対外債務の通貨構成において米ドル建て等の国際通貨建てが多くなる原因にはこのようなことがある。そのため、新興市場国の政府は、対外債務の実質負担が安定して、大きくならないようにするために、自国通貨を米ドルに固定させようという傾向が多く見られる。このような状況は、「変動為替相場の恐怖(fear of floating)」と呼ばれる。一方、中国のように、人民元を過小評価させて、経常収支黒字を生み出し、将来の通貨暴落の通貨危機に備えて外貨準備を蓄積しておこうという意図で、自国通貨を変動させること、特に増価させることを嫌う新興市場国もある。

■中国版シャドー・バンキングの危険性

 ここにきて、まずはアメリカから量的緩和の出口政策に関する議論が始まるようになると、これまでの新興市場国への大量の資金流入が縮小し始めるとともに、アメリカにおける超低金利から通常の水準への金利上昇、すなわち、新興市場国との間の金利差縮小、さらには金利差の逆転が、新興市場国への資金流入の突然のストップ、さらには新興市場国からの資金逆流を引き起こす状況になりつつある。

 かつて1994年に発生したメキシコ通貨危機の原因の一つに、隣国アメリカの不況から好況への景気変動の中での金融政策による金利変更があると指摘されている。不況時にあった92年12月に3%を下回っていたフェデラル・ファンド(FF)金利をFRBは景気回復とともに94年12月には5%台まで急上昇させた。そのため、92年から94年にかけてアメリカからメキシコに流入した大量の資金は、94年以降、メキシコからアメリカに逆流することとなった。そのため、メキシコは、アメリカからの資金流入に伴う、米ドル建て短期国債(テソボノスと呼ばれた)のバブルと、アメリカへの資金逆流に伴う、そのバブル崩壊を数年の短い期間に経験した。そして、その結果としてメキシコ・ペソが暴落するという通貨危機が発生した。

 BRICsなどの新興市場国において、日欧米における超低金利での量的緩和金融政策の下で資金が流入し、経済が過熱気味であったものの、今後、出口政策への金融政策変更によって日欧米で金利が上昇し始めることで、資金の逆流が始まっている国々が見られる。そして、その資金の逆流は、バブル崩壊さらには通貨危機に発展しかねない。実際問題、資金の逆流が起こっている、つい最近まで高い経済成長率を享受していたブラジルやインドネシアのような新興市場国においては、資金の逆流に対抗して、通貨価値の暴落を抑えるために、国内金利を引き上げ始めている。当然、国内金利の引き上げは、経済成長率を減速させることとなり、バブル崩壊につながっていく可能性が高まる。さらに、中国では、高まる金融リスク要因として理財商品の急増とその不良債権化の可能性が、いわゆる中国版シャドー・バンキングの問題として指摘されている。中国においても同様に資金の逆流が起こると、中国国内の金融危機を発生させる危険性もはらんでいる。

 歴史上、経済危機はバブル発生と、その後のバブル崩壊とに深く関係していた。そして、金融のグローバル化のなかにあっては、バブルは急激な資金流入を原因として発生し、その後、その資金が逆流することによってバブルが崩壊した。このことから得られる教訓は、経済危機を予防するためには、急激な資金流入を抑制し、資金流入の変化に注視しながら、国際的な資金移動を誘発する金利差の行き過ぎた変動を抑制することにある。さらには、資本流入それ自体に対して規制をかけるべきだという議論も登場している。

一橋大学大学院商学研究科教授 小川英治=文 平良 徹=図版作成


 

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コメント
 
01. 2014年2月07日 17:11:04 : nJF6kGWndY

危機になると生産力や金融の実力がはっきりする

>教訓は、経済危機を予防するためには、急激な資金流入を抑制し、資金流入の変化に注視しながら、国際的な資金移動を誘発する金利差の行き過ぎた変動を抑制することにある。さらには、資本流入それ自体に対して規制をかけるべき

今、まさに、それが進んでいるというわけだ


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