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賃上げ要請は、間違った政策の証明
なぜ賃上げ要請をしなければならなくなったのか。それは供給サイドへの莫大な資金のばらまきが原因である。
今の政権(だけとは言えないが今までの政権も含め)が猿の惑星のような遠回りの政策をしているからだ。地球の裏側に行けばよいだけだったのに、はるか地球の果てまでいって地球の裏側を目指しているのである。
デフレ下では、実体市場(金融市場を除いた実際の取引現場)全体の資金を増やし、消費額を増やす政策を取ればよいだけである。
たったそれだけで、実体市場は、拡大再生産を始め、自律的に成長する。
にもかかわらず、実体市場の生産量を増やす政策や金融市場の資金を増やす政策ばかり取っているのが現状である。
生産量を増やす政策として、各種の補助金、低金利で企業の投資を促す政策、企業の設備投資減税、法人税減税、さらに莫大な公共投資を行っている。
デフレ下では生産量を増やす政策を取れば所得が減少する、公共投資を増やせば、所得の増加以上に借金の方がどんどん増える。
これは、消費額が一定で増えない条件のもとで、生産量が漸次増えると単位当たりの付加価値が減少するからである。
生産量単位当たりの付加価値の減少が国民負担の割合を高め、消費額が少なくなり、売上減から所得が減少する。
このような市場の労働曲線は右下がりで描かれ、労働量が増えるにつれ所得が減っていく事が示唆されている。
そのため生産業者への補助金による補助や、援助は、投下金額に比べ所得の増大が少なく、借金の方が増えてしまう悪循環になる。それが再び増税や、国民負担の増大を招き、ますます消費額が少なくなって行く。
アベノミクスの投下する資金の方向は、すべてが宇宙の果てを目指したものであり、地球の裏側に到達するまでには、借金がかさみ、投下燃料が尽きるのが関の山である。あるいは到達した時には、地球は悲惨な変貌を遂げた姿をさらしているだろう。
地球の裏側へは直接、消費額を増やす政策を取ればすぐにいけるだろうに。しかるに、子供手当は削る、生活保護費も、年金も削る。保険料は増やす、医療費も増やす、消費税は増税する。全く逆方向だ。
デフレの根本は、生産能力に比べて、購買能力が著しく劣っているところに有る。それが縮小循環を形成して、名目GDPが縮小しているのである。
しかるに日本が取っている政策は、生産能力の増強や生産量の増大、公共投資によるインフラの増加に特化した物のみである。それ故、実質GDPは伸びるが、肝腎の消費額がほとんど増えないため、名目GDPは常に実質GDPの後塵を拝することになる。
日本はこの25年間というもの、低金利や、法人税減税などの生産能力の刺激による生産量の増大や、公共投資という社会資本の拡張による生産量の増加など、供給サイドの強化、充実に片寄った政策を取り続けたのである。
この蕩々たるお金のばらまきが一部の製造業者の内部留保や運転資金となり、消費に回らない預貯金になっている。(企業の預貯金はあくまでも投資資金であり、消費者の消費にたやすく回る預貯金ではない。預貯金という名で銀行に置いてあるだけである。)
これまでどれだけのおびただしい金額が公共投資や、生産量増大に使われただろうか。ゼネコンと言われる大手の建築業者などは、バブル初期の大借金は既に返し終え、お金が有り余っている。
一部の製造業者や、いつもインフラ整備のおこぼれをもらえるゼネコンなどは、大借金をとうの昔に返している。有力な大手企業の多くも、内部留保溜め込んでいる。
政府の無駄なばらまきが、企業への不必要な富の片寄りをもたらしたのだ。このような政策をいくら続けても、消費者側に恩恵がない。デフレ下での供給サイドの強化は、付加価値を減らす政策であり、所得が減少するからである。
これは、日本のこの25年間の統計データを見れば明らかであり、統計が間違っていたり、一時的な現象ではない。この間に、派遣労働者が増え、多くが非正規従業員になった。さらに外国人労働者が増えた。
企業が確実に労働費用を削減したことは明らかだ。
この事実は、生産量を増大すれば所得が増大するという固定観念を捨てねばならないことを意味している。普通に統計の実体をみる人ならたやすく理解できるだろう。
デフレの労働曲線は右下がりであり、働けば働くほど賃金が下がって行くのである。
デフレ下では、必要な投資先は、消費者側にあり,彼らの購買額を増やす政策こそ正しいお金の使い方である。それが拡大再生産を興し、所得が需要の増大に伴う供給増により増えるのである。
政府の供給サイド側へのばらまきがますます国内の内需を減じるため、投資先のない資金や運転資金が、内部留保として溜まるのである。
企業が内部留保するのが悪い分けではない。日本国内に有力な投資先や、事業が見当たらない事が問題なのだ。政府の政策に、内需を引き起こす政策がないからなのである。
この蕩々たるばらまきが、運転資金や内部留保を積み上がらさせ、資金一部の有力企業に片寄らせたのである。
政府は、このような企業の内部に積み上げられた資金に目をつけ、消費者側に回らないことに業を煮やして、企業に賃上げ要請をせざる負えなくなったのである。
これは経済の流れに逆らうものであり、もはや政策と言えない。お願い、あるいは軽い強制による賃金引き上げである。
賃金引き上げの要請は、今の政策では絶対に消費が増えないことを、政府自身が示したのである。
莫大なばらまきが、行き場のないお金を積み上げたのである。必要な需要サイドへ流れないのである。
ここにきてさらに消費税増という、購買力を大幅に下げる政策を取り、その増えた税収を生産増に回す算段である。
消費税の増税による需要サイドの資金の減少と成長戦略という名の生産刺激策による生産量の増大は、ますます資金を企業にシフトするであろう。税収が増えることはないだろう。
再びお金が無駄に生産業者に溜まり、賃上げ要請をすることになる。もう何度繰り返したであろうか。まだ何度でも繰り返しそうである。
今回、消費税3%アップと、それに対する5兆円規模の主に生産増を促す経済対策は、絵に書いたようなデフレ促進策である。これが現在日本の経済に対する知見なのである。(25年たった今でも何の進歩も反省もないのである。)
デフレ下では、無駄な投資、ばらまきは、供給サイド側に行うことである。正しい投資は、消費者サイドに行う物である。
思えば、供給サイドの強化策は、小泉政権下の竹中アメリカ物まね政策から特にひどくなった。
デフレ下の規制緩和や自由化は、より早く経済の縮小を進め、デフレ循環の効率をよくする。
その結果何が起こっているだろうか、どのような結果になったであろうか。
新興国からの低下価格品が市場にあふれ、多くの内需関連の中小零細企業が淘汰され、全国各地の地場産業が崩壊の危機に瀕している。
金融自由化は、アメリカの豊富な資金が日本の金融市場に流れ込み、多くの企業がアメリカ資本の傘下に入っている。金融の自由化が日本の内需になんら貢献していないのは明らかなことだろう。
農産物の自由化は、国内の産地を疲弊させ、デフレによる低価格競争が、スーパーや産直業者の競争を激化させ、中小の食品小売企業を淘汰し、その結果仲買商の減少と卸市場の淘汰につながっている。
それとは対照的に、一部の公共投資に潤う業者や、輸出業者にお金がだぶついているのである。デフレ下では、企業にお金をだぶつかせても消費が増える分けではない。企業資金は投資資金であり、有力な投資先が国内にない限り使わない代物である。
政府はこの有り余った企業資金を賃上げに回すよう要請しているのである。自らの失敗を認めず、なおかつ企業の正当な企業行動が悪いかのような言動が見えかくれする。
デフレ下で、企業は、低金利、異常な金融緩和、生産刺激のための多くの補助金、支援策、インフラへの公共投資に対して極めて正常な経済行動を取っている。
デフレという縮小循環の中で企業は必死に生き延びてきたのである。しかしこの政策を取ったのは主に自民党政府であり、失敗は政策担当者にある。
25年間の政策の失敗は莫大な費用、1千兆円を越える借金を作り、なおかつ経済を縮小させたのである。賃上げ要請は自らの政策の失敗を公言しているのである。
一言主
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog-sonet.ne.jp/siawaseninarou/
しかしここにきての消費税引き上げ、私の語彙の容量では表現できない。私は経営者のはしくれですが、これ以上消費税が上がると、労働者を雇うだけの利益が
出なくなります。これは他の事業者も同じで、利益が上がらず、当然税収が減少するだろう。消費税は付加価値を減らすものであり、産業基盤を破壊するデフレ政策です。
早く気が付いてほしい。特にバブル崩壊後この25年
新聞紙上やメディアで取り上げられている人達の顔触は変わっていない。現実離れした意見を蕩々と論じ、企業にせっせとお金を積み上げているのだ。
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