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シャドーバンキング問題は、中国工商銀行にも波及した (ロイター)
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140206/frn1402060735001-n1.htm
2014.02.06
★(3)
1月28日、中国の信託会社「中誠信託」が発行した高利回り信託商品が「デフォルト(債務不履行)」寸前に至り、際どいタイミングで破綻を回避するという事件が発生した。中誠信託の高利回り信託商品は、いわゆるシャドーバンキングの一種で、金額は30億元(約510億円)、償還期限は1月31日であった。
中誠信託がシャドーバンキングで集めた30億元は、山西省の石炭会社に投資されていた。投資先の会社の経営が悪化し、資金返済のめどが立たない状況になり、500億円を超える投資商品が債務不履行寸前に陥ったのだ。
また、上記信託商品は、主に中国工商銀行が、中国国内の富裕層に販売していた。お金の流れは、「中国の富裕層→中国工商銀行→中誠信託→山西省の石炭会社」という流れだったわけだ。
中国のマスコミ報道によると、中誠信託の高利回り信託商品を購入していた投資家たちは、元本は回収できるものの、当初、約束されていた利息は支払われないとのことである(これもデフォルトの一種だと思うのだが)。また、投資家の救済コストは半分を山西省政府が負担し、中国工商銀行と中誠信託が、それぞれ25%分を拠出する見通しと報じられている。
中国の金融システムはいまだに十分に整備されておらず、投資家は銀行以外の金融サービスを通じて資金を投じる。すなわち、融資平台(資金調達とデベロッパーの機能を兼ね備えた投資会社)に代表されるシャドーバンキングだ。2009年のデフレ化を受け、中国の地方政府は融資平台経由で資金を調達し、各種の公共事業や不動産開発にお金を投じていった。特に、不動産への投資規模は「異常」と言っても過言ではない水準に達し、各地に巨大な「ゴーストタウン」が頻出している。
当たり前の話だが、不動産を開発したとしても、そこから収益を上げることができなければ、投じられた資金は返済、利払いがなされない債権と化す。すなわち、不良債権だ。
中国の社会科学院は、13年10月にシャドーバンキングの規模について、20・5兆元(約328兆円)と、驚くべき数字を公表した(これ以外にも、通常の銀行経由の融資も巨額だ)ゴールドマン・サックスは、13年8月5日に、中国のバブルが崩壊した際に、貸倒損失が最大18・6兆元(約297兆円)に達するとの見通しを発表した。
まさに「人類史上空前の不良債権」だ。今回は何とかデフォルトを回避したものの、今後の中国では「本命」の不動産向け融資の不良債権化が本格化し、共産党政府は綱渡りを強いられることになるだろう。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は株式会社「三橋貴明」事務所社長。著書に「日本大復活の真相」(あさ出版)、「いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由」(ワック)、「学校では絶対に教えてくれない 僕たちの国家」(TAC出版)など多数。
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