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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140206/dms1402060735006-n1.htm
2014.02.06 「日本」の解き方
米連邦準備制度理事会(FRB)が量的金融緩和の縮小を決定したのは昨年12月18日のことだ。その方法は、市場から購入する債券の金額を徐々に減らしていくもので、緩和のスピードをダウンさせるが、緩和傾向であることに変わりない。
金融市場関係者の間で「テーパリング(tapering)」といわれていたことだ。この言葉は、バーナンキ前議長が語った言葉で、量を減らすこと、つまり、量的緩和の縮小である。
この動きに、市場関係者が右往左往している。そもそも、これまでの量的緩和すら、きちんと理解できていない人たちなので、その縮小の意味がわからないのだ。
市場関係者は、バーナンキ氏の言葉を自分に都合よく解釈している。というか、バーナンキ氏のモットーであるデータ分析が理解できないから言葉だけで判断するのだろう。
FRBは、量的緩和について、以前から「6・5%の失業率と2%のインフレ率」という明確な条件を示している。
本コラムの読者なら、金融政策の効果には遅れ(ラグ)があることをご存じだろう。マネタリーベース(中央銀行が供給する資金)を拡大しても、予想インフレ率の上昇、実質金利(名目金利から予想インフレ率を引いたもの)の低下にもラグがある。これを受けた消費、投資、純輸出の増加など実物経済の変化にも、その後のインフレ率上昇や失業率低下にもラグがある。
米経済の場合、リーマン・ショック後のマネタリーベースと失業率の関係には1年程度のラグがあることが分かっている。
この関係を使うと、ほぼ1年後の失業率を予測することができる。今のマネタリーベースの増加では、年末の失業率は6・5%程度である。ここあたりで、緩和スピードをダウンさせない場合、失業率が6・5%を大きく下回り、その代わりにインフレ率が高くなる可能性が出てきていた。だから、テーパリングとなったわけだ。
しばしば、金融緩和政策に否定的なデフレ論者は「バーナンキ氏は量的緩和が予想インフレ率に効果を持つことを否定している」と主張する。ところが、実際の2012年12月12日の会見録をみると、これは「量的緩和が財政ファイナンスになるのでは」という質問への反論でなされている言葉だ。だから、バーナンキ氏としてはそれを否定した文脈で使っただけだ。決して量的緩和の効果を否定したものでない。
ちなみに、ニューヨーク連銀のダドリー総裁は、「量的緩和が予想インフレ率に効果がある」と断言している。
いずれにしても、市場関係者の量的緩和への基本的な無理解に乗じて、新興国通貨への投機が行われているというのが、筆者の見立てである。
もし、多くの人が量的緩和と失業率の関係を理解していれば、13年12月のテーパリングを予測できたはず。そうであれば予定通りの行動として、新興国通貨の大きな変動もなかっただろう。
新興国経済が急変したわけでなく、市場関係者が右往左往し、それに乗じた動きが原因だろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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