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収入格差は大きいが…/(C)日刊ゲンダイ
農薬混入男は年収200万円…それでも地方で暮らせるワケ
http://gendai.net/articles/view/life/147711
2014年2月4日 日刊ゲンダイ
東京のサラリーマンは平均635万円
銀座や新橋の街角ではほろ酔いのサラリーマンたちが賃金アップの話題に花を咲かせていた。だが、円安や株高の恩恵を受けられるのは、都会の大企業で働く正社員のみ。地方雇用のサラリーマン、非正規労働者は差が広まるばかりだ。
■2000万円の自宅に100万円バイク
群馬県大泉町の私鉄の駅から歩くこと約15分。水を抜いた田んぼが広がる先に、農薬混入で逮捕されたアクリフーズ契約社員の阿部利樹容疑者(49)の自宅がある。
阿部は、この築20年ほどの家で妻と20代半ばの息子と3人暮らしをしていた。息子が小学生の頃、思い切って約2000万円のローンを組んで購入した一軒家だ。
「待遇や賃金に不満があった」
動機については、阿部はこうほのめかしている。不満だったという月給は14万円ほど。年収は、ボーナスを含めても200万円を少し超える程度だったという。
一方、東京のサラリーマンは、平均年収635万円(従業員30人以上の企業)。都会の人の感覚では、地方の低賃金は想像しにくい。
「でも、こっちでは皆、そんなもんですよ」
地元のタクシー運転手が苦笑いして言う。ハローワークで大泉町の求人票を見ると、「運送業A社」(トラック運転手=基本月給は12万5000円〜)、「製造業B社」(一般事務=基本月給14万4000円〜)などが並ぶ。群馬県の最低賃金707円に限りなく近い金額だが、これでも正社員の求人だ。
だが、こんな低賃金でも生活ができているから不思議だ。阿部も、趣味のバイクに改造費込みで100万円ほどかけていた。物価や住居費は都市に比べて確かに安いだろうが、相当に切り詰めての生活に違いない。
「こっちでは、家族全員が働いていますから」
駅前のモスバーガーで、居合わせた客がタネ明かしをしてくれた。東京都や大阪府の共働き率は半分を切るが、地方の共働きは7割に近い。
厚労省「国民生活基礎調査」(10年)で全国の1世帯当たりの平均所得金額は年約549万円。1人当たりの平均所得金額は約207万円で、やはり阿部の年収に近い。しかし、阿部家では妻と息子も働いていたため、世帯所得は600万円を超えていたと推測できる。東京のサラリーマンとほぼ一緒だ。
地方では、支出の方も少ない。例えば、自治体ごとに料金が変わる水道・下水道料金は、東京に比べて月1000円は安い。
「スナックに行っても、飲み放題、歌い放題で3000円。週末の草野球やサッカーのグラウンド代も、土地が余っているので500円」(地元の男性)
都会の人は「地方の暮らしよりマシ」と思っていたが、生活レベルにさほどの差はない。ということは、都会でもこういった事件が……。
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