03. 2014年2月04日 12:17:44
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株価下落の本当の原因 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト 2014年2月4日 11時20分
株価が下げています。
世界中の市場関係者が少々浮き足だっているようでもあります。 先ずは、先週の発言ですが‥南アフリカ準備銀行総裁が次のように述べたのだとか。 「米金融緩和の縮小が始まり、新興国市場は乱気流に巻き込まれている」 もっとも、肝心のFRBの関係者はと言えば‥ダラス連銀のフィッシャー総裁が「FRBが世界の中央銀行であり、そのように政策を遂行すべきだと考える向きもあるが、(これは正しい考えではなく)われわれは米国の中央銀行だ」と述べたのだとか。 私もその発言を知る前日に、同じような趣旨の記事を書いたことを憶えている人もいると思います。 では、日本の関係者はどのように見ているのか? 私はこのブログで昨日、「米国の金融緩和策縮小についてコメントしない安倍・麻生コンビ」というタイトルで記事を書いたばかりですが、麻生副総理が本日、次のように語ったのだ、とか。 「(世界的に株価が下落していることに)基本的にコメントすることはない」、「こういうところで一般的にどうかと言って失敗したNHKの会長もいたので、一般的なことを言うこともない」 麻生さんらしいコメントですね。 確かにNHK会長が不用意な発言でひっかかたのは事実。でも、麻生副総理は、経済に関しては一家言ある人であり、普通は何か自分からでも喋りたがる傾向がある人です。その麻生副総理が、敢えて口を閉ざしているのは、やはり米国の金融緩和の縮小をどのように評価していいものやらと、悩んでいるのが最大の理由ではないのでしょうか。 マスコミなどが言うように、米国は金融緩和の規模縮小に慎重であるべきなのか? つまり、新興国に影響を与えるという理由で、金融緩和の規模縮小を延期すべきなのか? しかし、そうなっても、円高に振れそうで、適当とは思われない、と。 それに、日本は異次元の緩和策を続ける一方で、米国が緩和策の規模を縮小するならば、本来であれば円安が進み、日本経済にとってはプラスになる筈‥それがアベノミクス流の考えであるのです。 違いますか? でも、そのシナリオどおりにことが進まないから、どうなっているのだ、と。 次は、甘利大臣の発言。 「(昨日及び本日のマーケットの動きに関して)過剰に反応しすぎだ」、「米国の状況にリニアに反応する必要はない。日本の景況感は極めていい方向に向かっていると認識する必要がある」 リニアに反応する? リニアプログラミングなんて言葉もありますが、甘利さんはどのような意味を込めているのでしょうか? 新聞記者は、「直接」反応しなくてもいい、という風に受け取っているようですが‥いずれにしても、これまた甘利さんらしい。 ただ、「過剰に反応し過ぎだ」という言い方に関しては、都合の悪いことが起きているという意味が込められていると思います。まあ、それはそうでしょう。何故これほどまでにマーケットが荒れる必要があるのか、と。 甘利大臣の言いたいことも分からないではありません。常識的にはそのような気もします。 しかし、そもそも株式市場なんてそんなところなのです。 大体東京市場なんて言うから錯覚してしまうのですが、東京市場で積極的に売ったり買ったりしている投資家の多くは外国人なのですから。そして、そのような外国人投資家は思惑で動くことが多いから、態度がコロッと変わることも多い、と。 だから、投資家が過剰に反応しているという見方もできるのですが‥彼らは元々そういうものなのです。政治家などは「株価の上昇=善」、「株価の下落=悪」という単純なモノの見方しかしませんが、投資家の多くは、「儲かること=善」、「損すること=悪」であるので、儲かりさえすれば株価が上がろうと下がろうと関係はないのです。 それに一本調子で株価がずっと上がり続けることなどあり得ないのですから、上がったり下がったりを前提として彼らは作戦を練るのです。だから、下がるときには下がってもらった方が、また儲かるチャンスもできる訳です。 従って、そのようなことが分かった上で、麻生副総理が敢えてコメントしないと言っているのなら、それはそれで一つの見識というものでしょう。 いずれにしても、株式市場や為替市場が、こうも乱高下を繰り返す。 アベノミクスが巧く行っていたと思われていたときには、日銀の金融政策の内容次第でマーケットはある程度操作可能であると考えていた人が結構いたのではないのか? 株式市場の方はそれほどではないにしても、少なくても為替に関しては、日銀がお札を大量に市場に放出することによって幾らでも円安を演出できると考えていたのではないのか? では、何故今、若干ではあるものの円高に軌道修正されようとしているのか? リフレ派の人々が何と言おうと、マーケット関係者にとっては、そんなことはそれほどの意味を持たないのです。もちろん、だからといってマーケット関係者が必ずしもアベノミクスを否定する訳ではありません。時には、アベノミクスを持ち上げることもあった。 しかし、彼らは、それほど一貫した考えなど持っている訳ではないのです。否、一貫した考えなどに固執していると、相場の波の飲み込まれる危険性があるのです。だから、理屈よりも流れを重んじ、現実の流れを説明する理論であれば、どんなものにも跳びつくのです。 つまり、アベノミクスが画期的な経済政策だと思えば、そうも思えるが‥しかし、少し時間が経って経済が思い通りに動かないと、何だアベノミクスは、ということになるのです。 経済は気からだ、と麻生さんがよく言っていました。確かにそういう要素も大きいのです。でも、だからこそアベノミクスに対する信頼が厚い時には、人々の気持ちも明るくなるものの、反対にアベノミクスに対する信頼が揺らいだときには、必要以上に気持ちが沈んでしまうものなのです。 アベノミスは何故もてはやされたのか? それは株価を引き上げたからです。 だとすれば、株価を引き上げないアベノミクスとは、何の魅力もないことになってしまうのです。 以上 |