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イラン、外資誘致急ぐ
ロウハニ政権半年、経済再建めざす 企業は再進出に意欲
【ドバイ=久門武史】イランのロウハニ大統領が3日、就任半年を迎える。核開発問題で米欧との対話にカジを切り、1月20日に核開発の縮小を開始。米欧は見返りとして、経済制裁の一部を緩和した。ロウハニ政権は疲弊した経済の早期再建へ外資誘致を急ぐ。仏自動車大手ルノーなど欧州企業を中心に、制裁下で取引を控えた外資がイラン再進出を探り始めた。
「イランに来て投資できる幅広い分野を確認してほしい」。ロウハニ師は1月23日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で、外資誘致に熱弁を振るった。エネルギー大手の英BP、仏トタル、イタリア炭化水素公社(ENI)などにトップセールスも展開。経済制裁を招いた強硬派アハマディネジャド前大統領の8年間からの変化は鮮明だ。
ロウハニ政権は昨年8月の発足後、米ロなど国連安全保障理事会の5常任理事国にドイツを加えた6カ国との核協議を精力的に進め、同年11月、暫定合意に達した。合意に従いイランは、核兵器転用の恐れがある濃縮度20%のウラン製造を停止。これを受け欧州連合(EU)は石油化学製品や貴金属の禁輸を、米国は自動車産業への制裁を一時停止した。
今回の制裁緩和はあくまで限定的だが、イランを有力市場としていた欧州企業は復帰に前のめりだ。欧米メディアによると、ルノーのカルロス・ゴーン最高経営責任者(CEO)は再進出の意欲を表明。ルノーやプジョーシトロエングループ(PSA)、航空機大手のエアバスなどの仏企業団が2日からイランを訪問する。
英国からはこのほどストロー元外相が率いる国会議員団がテヘランを訪問。イタリアはENIのスカローニCEOがイランのザンギャネ石油相と会い、資源開発に意欲を示した。隣国トルコはエルドアン首相がロウハニ師と経済関係強化を確認。さながら制裁解除をにらんだ「イラン詣で」ラッシュの様相が続く。
日本企業では、一部商社がイランで組み立て生産する日本車の部品を月内にも発注する調整に入った。自動車部品など輸送機械は日本の対イラン輸出(11年)の35%を占める。昨年7月に米国がイラン自動車産業への部品輸出を禁じたため、日産自動車やマツダが輸出を凍結していた。
今回の制裁緩和は人道的分野の貿易拡大に言及しており、医薬品や医療機器を扱う日本企業にも商機が出てくる。ただ金融機関がイラン向けの新規案件になお慎重で、代金決済がネックとの指摘がある。日系進出企業からは「欧州勢に比べ出遅れ感がある」との声も漏れる。
イランは埋蔵量で天然ガスが世界1位、原油は4位の資源大国だ。人口約7700万人と中東屈指の市場でもある。ロウハニ政権は、まず収入の柱である石油・天然ガス輸出の回復へ、技術と資金を持つ国際石油資本の誘致を狙う。外資参入が相次げば外交交渉のテコになるとの思惑がある。
しかし肝心の原油輸出、金融取引への制裁はまだ続く。米国は「イランが開かれる日が来るかもしれないが、今ではない」(コーエン財務次官)と外国企業の殺到を強くけん制している。
[日経新聞2月2日朝刊P.5]
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