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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140202/dms1402020741002-n1.htm
2014.02.02 「日本」の解き方
ベン・バーナンキFRB(米国連邦準備制度理事会)議長が1月末で2期8年の任期満了で退任する。彼は任期中にどんなことに取り組み、米国や世界経済にどのような影響をもたらしたのだろうか。
一言でまとめれば、2013年6月6日のフィナンシャル・タイムズ紙のマーチン・ウルフ氏による記事の見出し「米国経済はバーナンキ議長に大いに助けられた」がそのものずばりだ。ついでにいうと、彼の行動で日本経済も大いに助けられた。
もし、08年9月のリーマン・ショックの後に、FRBが前例のない強力な金融緩和を行っていなければ、米国経済は2度目の大恐慌に苦しんでいたというウルフ氏の記事は正しい。その当時、「量的緩和は効かない」とか「副作用が多すぎる」とか言われたが、結果が示している。リーマン・ショック後に失業率は10%程度になったが、その後、徐々に低下し、今では6・7%になっている。
金融緩和すると失業率が低下するメカニズムは、本コラムの読者にはおなじみであるが、要するに景気が良くなるからだ。実際、マネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)の動きから1年先の失業率はかなり予測できる。それで昨年の段階で1年後に6・5%になる見込みだったので、初めて出口(テーパリング)の動きに踏み出したというわけだ。
筆者は1998年にプリンストン大で学んだが、当時の経済学部長がバーナンキ氏だった。公私ともによく知っていたので、リーマン・ショック後に彼が行った金融緩和は当たり前だと思っていたが、ほとんどの人が批判したものだ。彼は大恐慌研究の世界的な権威であり、大恐慌を丹念にデータ分析して、当時のFRBが大きな間違いをしたこと(金融緩和しなかった)を理解していた。
そのため彼は、FRBの大きな間違いを最初に指摘したミルトン・フリードマン氏の90歳の誕生パーティーにおいて「FRBは二度と同じ過ちは繰り返しません」と誓ったくらいだ。
日本も助けられたというのは、彼が米国で金融緩和を実践してくれたので、日本でも安心して、安倍晋三政権になってから実行できたという意味だ。12年1月にFRBがインフレ目標を導入したことも大きかった。先進国で導入していないのは日本だけとなり、安倍政権発足後の13年1月に日銀もようやくインフレ目標を実施した。
インフレ目標は、彼の持論である。筆者は彼がFRB議長に就任したとき、必ずインフレ目標を導入すると断言していたが、彼はしっかりと期待に応えてくれた。彼の説明では、インフレ目標とは、わかりにくい金融政策をわかりやすく対外的に説明し、それを通じて中央銀行と市場がコミュニケーションを取る手段だという。妙な言葉でごまかさずに、データ分析をモットーとする彼らしい話だ。
彼の任期の前半はリーマン・ショックの対応で金融政策の正しい対応を行い、任期後半で基礎固めのためのインフレ目標を導入するという、2つの偉業を成し遂げた。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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