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ソニー、深まる視界不明瞭と、赤字10年目迎えるテレビ事業の呪縛〜株価低迷の背景とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140202-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 2月2日(日)7時49分配信
今年、パナソニックとソニーの株価は接近し、もしかするとパナソニックが逆転してソニーを抜くかもしれないという観測が広まっている。
1月28日のソニーの株価(終値、以下同)は46円安の1665円、パナソニックは17円高の1205円で、1月16日には昨年末高値の1408円をつけている。ソニーの株価は長期の下降相場の様相をみせており、昨年11月の安値、1641円を割り込むと4月安値の1559円が視野に入る。
●ムーディーズがソニーを投機的等級に格下げ
米系格付け会社、ムーディーズ・ジャパンは1月27日、ソニーの長期債務格付けを「Baa3」(トリプルBマイナス相当)から、投資のリスクが相対的に大きい「投機的」水準の「Ba1」(ダブルBプラス相当)に1段階引き下げた。信用力を投資適格水準にまで短期的に戻すのは困難になったとしている。ムーディーズはソニーのテレビやパソコンといったエレクトロニクス事業の大部分で、収益が大きく下方圧力にさらされていると指摘。ソニーの収益性は脆弱だとした上で、エレクトロニクス事業以外の音楽や映画、デバイスなどではソニー全体を投資適格に維持するのに十分ではないとした。
ムーディーズは12月11日にソニーを「Baa2」から「Baa3」に引き下げ、昨年11月にはさらに引き下げの方向で見直しを始めると発表していた。ちなみに欧米系格付け会社、フィッチ・レーティングスは、昨年すでにソニーの格付けを「投機的」水準に引き下げている。
ムーディーズの今回の格下げで、金利が高くなり社債発行時の条件が不利になるソニーは、「当面の資金は確保されており、資金繰りに問題はない」とコメントしているが、株式市場がソニーを見る目は一段と厳しくなる。
●パナソニックとの明暗
そんなソニーを尻目に、パナソニックは経営改革のスピードを加速させる。
パナソニックは薄型テレビなどデジタルAV家電を、冷蔵庫や洗濯機などを手掛ける白物家電部門に統合する。配置転換は1000人規模に及ぶが、人員の削減は行わない。労働組合に13年12月に組織改変を申し入れ、協議を進めており、4月に実施する予定だ。
津賀一宏社長は昨年秋、「テレビを特別な商品と考えていない。白物家電のひとつとして位置付ける」と体制の変更を示唆していた。テレビに過度の期待をせず、その比重を急激に下げていく。将来は、ネットワークを通じて情報を処理するクラウド技術をテレビに活用。テレビのリモートコントロール機器を使って、洗濯物や冷蔵庫を操作することも考えているのだという。
1月上旬、米ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」の会場で、津賀社長は「タイムリーに投資しなければならない状況が増えてきた。住宅関連や自動車分野でM&A(合併・買収)を検討する」と述べ、巨額赤字が続き大型投資に慎重にならざるを得ない状況から、14年は攻めの経営にギアを切り換え、積極投資に転換する方針を明らかにした。これを好感して同社の株価は12年末の522円から1345円と上昇、約2.6倍になった。4年ぶりの高値である。
●新主力スマホも苦戦
一方、ソニーの平井一夫社長兼CEOはCESの基調講演で、「スマートフォン(スマホ)事業で米国と中国に本格進出し、2年後に世界の年間販売台数を2倍に増やす」と宣言した。現地の携帯電話大手と連携して、世界シェア第3位を目指すという。スマホを原動力に不振のエレクトロニクス事業の収益改善を進める。
平井CEOの発言を受けて1月9日の東京株式市場でソニーの株価は69円高と急伸した。しかし、10日は59円安。投資家はソニーのエレクトロニクス部門の収益改善に、まだ懐疑的なのだ。
具体的には、中国の携帯電話首位の中国移動通信集団(チャイナ・モバイル)に昨年来から専用端末を供給。米携帯電話4位のTモバイルUSに、新型スマホの出荷を始めた。TモバイルUSは、ソフトバンクが2兆円超で今年春にも買収する方針を固めている。ソフトバンクの考え方次第で、スマホの戦略は大きく変わるだろう。
中国市場でのスマホの価格競争は、中国メーカーの値下げ合戦で過熱の一途をたどっている。しかも、中国、米国の両市場への参入は始まったばかりだ。世界のスマホ市場では韓国サムスン電子と米アップルが2強。サムスンの世界シェアは31.4%、アップルは13.1%だ。3位は中国の華為技術(ファーウェイ)だが、3位以下は大きく引き離されており、ファーウェイ4.8%、同じく中国のレノボ・グループ4.7%、韓国のLG電子4.6%(いずれも2013年7〜9月期の実績、IDC調べ)と団子状態。混戦の中でソニーは現在7位で3.5%に過ぎず苦戦中だ。ソニーの上にはもう1社、中国の企業がいるし、3%台にはソニー含め3社がひしめき合っている。平井CEOが掲げる「世界第3位」の実現は、そう簡単ではない。
●相次ぐ人員整理でも出口見えないテレビ事業
ソニーのテレビ部門は依然赤字だ。テレビや不採算のパソコンについては、愛知県などに5つの工場を持つソニーの全額出資会社で製造子会社、ソニーイーエムシーエス(EMCS)が、早期退職優遇制度を使い、あらためて1月から人員整理を始めた。40歳以上で勤続10年以上の中堅社員や管理職を対象に、1月6日から3月末まで希望退職を募集する。同社の社員数は約5000人だが、削減目標値は公表していない。
人員削減を行う5工場は幸田(愛知県幸田町)、長野(長野県安曇野市)、稲沢(愛知県稲沢市)、湖西(静岡県湖西市)、木更津(千葉県木更津市)。ソニー幹部は「エレクトロニクス事業には今の人員規模を支えられるだけの需要がないため、適切な事業規模にする必要がある」と打ち明ける。毎年、エレクトロニクス部門は販売計画の下方修正が続いており、ソニー自身も適切な事業規模を把握しかねているのが実情だ。
ソニーは12年度、エレクトロニクス事業の人員について、早期退職制度を活用して国内で1万人削減した。13年度も同事業の収益の回復が予想より遅れているため、追加削減に踏み切ったわけだ。平井CEOは13年度のエレクトロニクス事業の黒字転換を必達目標に掲げてきたが、テレビ、デジタルカメラ、パソコンなど主力製品の販売が予想以上に苦戦している。ソニーの人員削減は、05年にハワード・ストリンガー氏がCEOに就任以降、累計で3万人を超えたとみられる。
●テレビ事業撤退という選択肢
一時はパナソニックと世界首位の座を争い、稼ぎ頭だったソニーのテレビ事業は、サムスン電子をはじめとする韓国勢の台頭で、13年3月期まで9期連続で営業赤字を続けている。14年同期も赤字から抜け出せないとの見方が強まっている。
平井CEOは13年初頭に「(テレビ事業に)14年から攻めに入る」とテレビ事業の黒字化を宣言したが、13年は年間販売台数の目標を2度下方修正し、14年3月期の黒字化に赤信号がともっている。切り札として期待している4Kテレビも、中国・韓国勢の相次ぐ参入で価格競争の様相を見せ始めているが、テレビのリストラは人員削減を中心に相当進んでおり、かつてのような巨額の赤字は出なくなった。相対的に有利な条件で、テレビ事業の統合・再編に手をつけられる状況になってきたといえる。また、パナソニックがプラズマテレビからの撤退を決断したように、ソニーもテレビ事業からの撤退を決断すべきとの声も強い。そうすれば、利益体質への転換期待が高まることで、株価が上昇する可能性も出てくる。
ソニーは今年、文字通りの正念場を迎えている。
編集部
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