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ブラジル・レアル
新興国が追い詰められて、やがて大混乱が起きるのは確実に
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2014年2月1日 Darkness - ダークネス
新興国経済に暗雲が漂うようになったのは、投資家が新興国から資金を引き揚げているからだ。その最も大きな理由は、アメリカが「量的緩和の規模縮小」に入ったからである。
だから、2013年の後半からは新興国が大きく失速するのは分かりきった話だった。中国も、ブラジルも、インドも、インドネシアも、タイも、すべて株式市場が崩壊した。
アルゼンチンは国家そのものが動揺しているが、問題はアルゼンチンだけではない。トルコも、ロシアも、南アフリカも、今まで投資家が何も考えないで投資していた国が、すべて同時に苦境に落ちている。
資金流出は当面続く。つまり、新興国はまだまだ苦しむ。
新興国の連鎖破綻と言えば、1997年に起きたアジア通貨危機が思い出されるが、今後、似たような経済的大崩落が起きる可能性がどんどん高まっている。
もちろん、国家破綻が連鎖したらグローバル経済が阿鼻叫喚に陥る。しかし、アメリカは「量的緩和の規模縮小」を続けると宣言した。
■「新興国がどうなろうと、知ったことではない」
新興国が苦境に落ちているのを見ながら、アメリカのFRB(米連邦準備理事会)は、「量的緩和の規模縮小」をさらに継続すると決めた意味はこうだ。
「新興国がどうなろうと、知ったことではない」
分かりやすく言えば、アメリカは新興国よりも自国の国益を優先したということだ。
これを最も分かりやすく言ったのは米ダラス地区連銀のフィッシャー総裁である。2014年1月31日、このように、はっきりと宣言している。
「アメリカの経済にとって最善の利益は、資産の買い入れをできる限り早期に終了することだ」
「FRBがアメリカの経済にとって最善の行動を取ることを、新興国の混乱によって妨げるられることがあってはならない」
これは、アメリカは新興国を突き放して、「あとは自分たちで何とかしろ。アメリカは面倒を見ない」と、冷徹に言い放ったに等しい。
インド準備銀行のラジャン総裁は、「国際的な金融協調が崩壊」したと批判しているが、それでもアメリカは新興国無視の立場を変えていない。
だから、2014年1月31日の取引でも、ほぼすべての新興国の通貨・株式・債券がさらに売り進められる事態となったのだ。
ロシアのルーブルも5年ぶりの安値をつけているが、通貨安と言えば、トルコ・リラも、南アフリカのランドも、チリ・ペソも、ブラジル・レアルも、インド・ルピーも、通貨安が止まらない。
新興国通貨は2011年のアラブ圏の大混乱からすでに始まっていたが、いよいよ最終段階にまで来ている。
■新興国がちやほやされていた時代は終わった
アメリカのモルガン・スタンレーは、今まで新興国をBRICsと呼んでちやほやしていたのを一転して、フラジャイル5(脆弱な5通貨)と言って、冷たい目で突き放している。
「フラジャイル5」というのは、つまりアメリカの量的緩和縮小によって打撃を受ける新興国通貨を指したものだ。対象になったのは、以下の通貨である。
(1)ブラジル・レアル
(2)インド・ルピー
(3)インドネシア・ルピア
(4)トルコ・リラ
(5)南アフリカ・ランド
意外感を感じるとすれば、モルガン・スタンレーが「たかが5つ」でまとめてしまっていることだ。
ロシアもアルゼンチンも通貨危機に陥っているし、その他の国もまとめて転がり落ちているのだから、5通貨だけの問題ではない。ほぼ、すべての新興国の問題だ。
これからも、新興国からはどんどん資金が逃げていく。これは2013年の後半からずっと続いている流れであり、今ごろ気づいても遅い。
やがてはどこかの新興国が絶えられなくなって、国家破綻寸前になるか、場合によっては、本当に国家破綻を引き起こすことになっていく。
新興国を追い詰めている大きな要因は、アメリカの金融緩和縮小にあるが、もうひとつの理由は中国経済の失速でもある。
中国は、大気汚染、砂漠化、汚職、腐敗、情報封鎖、一党独裁、不動産バブル、周辺国との対立と、ありとあらゆる問題を抱えて迷走状態に入っており、これ以上の高度成長は不可能になってしまっている。
新興国は中国経済に依存度が高いので、中国の失速は、新興国の失速にもつながっていく。それが、今まさに新興国を直撃しているのだ。
■先行きがまったく見えない時代に入った
新興国の苦境はやっと多くの投資家が認識したばかりなので、すでに通貨安・株安に陥っているとは言え、本格的な影響が浸透していくのはこれからだ。
悪夢はこれから始まるのである。新興国は地獄になる。
当然、現在はグローバル化した社会なので、新興国の地獄は先進国にも影響を及ぼすことになる。
新興国が通貨安になるのであれば、逆に言えばドルや円は逃避通貨として選ばれることになるので、今後は日本の円は円高にぶれやすい局面が多くなる。
円高になるのであれば、言うまでもなく株価は下落する。2013年は激しい勢いで上昇していた日経平均だったが、2014年は神経質で読めない展開になる。
2013年は様子見などしないで、思いきり行動しなければならなかったが、2014年は逆に様子見をする方が助かる展開が多くなるのは間違いない。
もちろん、アメリカの株価もまた不透明になる。
金融緩和縮小で、アメリカの財政事情は健全化するので、それ自体は株価を上昇させる可能性はある。
しかし、新興国が破綻危機に陥るのだから、景気上昇は見込めず、企業業績が悪化して株価下落を招く可能性も同時にある。
どちらにも転ぶ可能性があるということは、要するに世の中がどうなるのかは分からないということでもある。
先行きがまったく見えない時代に入ったが、ひとつだけ言えるのは、新興国が追い詰められて、やがて大混乱が起きるということである。
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