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「貿易赤字の恒常化」前提にしない政策の無意味 【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
http://gendai.net/articles/view/news/147626
2014年1月31日 日刊ゲンダイ
安倍首相の歴史認識、時代認識は、やはり狂っているようだ。2013年に過去最大となった貿易赤字について、参院の代表質問で「この状態が恒常化するとの見通しは持っていない」と強調した。「一時的なショック」と捉えているらしいのだ。
本気でそう捉えているのだとしたら、恐ろしい。経済政策にタッチする資格はないだろう。
貿易赤字は、何も昨年に始まったことではない。3年間も継続している。むしろ恒常化する流れに乗っているのだ。
歴史を振り返れば、先進国はみな同じ道をたどっている。日本だけが例外ではない。経済が発展すれば、物価も賃金も上昇する。それに伴って生産コストも膨らむ。同じように利益を上げるのは難しくなるのだ。そのため企業は、地価や賃金の安い地方を目指すようになる。それでも間に合わなければ海外移転だ。その結果、輸出は減り、輸入は増えていく。貿易赤字の拡大は、避けて通れない道である。
しかも今は、人、モノ、カネが自由に行き交うグローバル時代だ。国内産業が空洞化するスピードは、英国や米国が経験したころよりも速いだろう。「貿易赤字の恒常化」は否定できない事実である。
トヨタ自動車の連結営業利益は今期、6年ぶりに最高益を更新する見込みと報じられた。生産台数も昨年は1000万台を突破している。だが、伸びているのは海外だ。国内生産は2.9%減の429万台。一方の海外生産は6.1%増の582万台である。
トヨタに限ったことではない。乗用車メーカー8社の生産台数は合計で2500万台超と過去最高となっているが、国内生産は減っている。異次元の緩和で為替を円安にしたところで、企業の動きは止められない。法人税を安くしても、設備投資減税を実施しても同じだ。
グローバル化が進み、貿易赤字が膨らむ中でも、国民の暮らしを守り、豊かにする方策を考える。それが政治の使命だろう。間違った現状認識に基づいて策を講じれば、効果が見込めないどころか、国を危うくする。現実を直視しなければ、正しい判断はできないのだ。
はたして安倍首相にそれができているのか。大いに疑問である。
【高橋乗宣】
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