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給料が不満で食品テロを引き起こした阿部利樹容疑者。
今後「年収200万円の給料でもありがたい」と思う時代が来る
http://www.bllackz.com/2014/01/200.html
2014年1月30日 Darkness - ダークネス
マルハニチロホールディングスの子会社であるアクリフーズの製造した食品から大量の農薬が混入した事件は、ひとりの契約社員が犯人だった。
49歳になる阿部利樹容疑者は、逮捕された当初、「覚えていない」と犯行を否定していたが、2014年1月29日になってから一転して自分がやったことを認め、その動機として「年収200万円の給料が不満だった」と述べたという。
アクリフーズによると、契約社員の月収は平均で14万円。手取りは12万円。ボーナスは年20万円だったということなので、8年勤続していた阿部利樹容疑者も、ベテランのわりにはほとんど給料が上がっていないことが分かる。
もちろん、この給料が低いというのは本人も自覚していて、たびたび同僚に「やってられない」とこぼしていたという。
では、アクリフーズは低賃金でこの男を搾取していたのだろうか。この給料体系について質問された会社側は、「同種産業と比較しても平均的な水準だった」と説明している。
要するに、阿部利樹容疑者が「安すぎてやってられない」と言ったこの給料は「平均的=普通」になっているのである。
■給料はどんどん下げられ、この流れが続く
動機が「給料に対する不満」であることから、この事件は一気に「格差問題の象徴」となりつつある。
給料がどんどん下がっていった結果、底辺に落とされた人たちの不満が爆発しつつあるという見方が広がりつつある。それは、正しい見解だ。
給料はどんどん下げられており、この流れはこれからも続き、雇われて働く人々は生活できるかできないかのギリギリにまで追い込まれ行く。
2000年に入る頃まで、日本企業は必死で年功序列と終身雇用を維持しようと努力してきた。だから、日本人の多くは、給料が右肩上がりになるのは当たり前だと思い込んでいた。
しかし、多くの企業はグローバル化による激しい競争と長引く不況で、日本経営の特徴であった年功序列と終身雇用が維持できなくなってしまった。
そして、業績が下がるたびに、企業の多くが今まで終身雇用を保障していた社員をリストラするようになったのだ。社員を切り捨てて、代わりに雇い入れたのが、非正規雇用者だった。
企業は、業績が悪ければ、すぐにリストラできる体勢を必要としている。非正規雇用者ならば、企業の業績によって簡単にクビを切れるので、企業は身軽になる。
だから、正社員が激減して、非正規雇用者が増加するのは当然の流れであり、この流れは反転することはない。今後も、その流れがずっと続く。
社員としての採用を絞ったので、割りを食らったのが若年層だ。彼らは正社員になれず、不安定な非正規雇用でしか働き口が見つからなくなってしまった。
■労働環境がもっと悪くなっていくのは確実
「給料が低いからやってられない」という声は、日増しに大きなものになっている。その中で、やってられないから「会社を困らせてやる」という事件が起きた。
普通に考えると、「このような事件が起きたので、経営者は給与体系を見直して、給料は上がっていく機運になるかもしれない」と働く側は思うかもしれない。
しかし、世の中の動きを俯瞰すると、労働環境がもっと悪くなっていくのは確実である。
働く人が激怒してテロを引き起こすような環境になっているが、世界標準で見るとまだ日本人の給料は高い。
途上国では月給3万円で、今の日本人と同じ仕事をこなしており、企業はいつでも途上国に工場を移すことができる。
つまり、日本人が3万円で働きたくないと言うのならば、企業は日本を捨てるという選択が可能なのである。実際にそうやって工場を移転させているから、日本は産業が空洞化して、貿易赤字が定着した。
そんな状況にあるので、給料はどんどん引き下げられる方向に圧力がかかっている。もちろん、実際に給料は下がっている。今までの年収300万円は、今や年収200万円となり、そのうちに150万円、120万円と切り下げられていく。
そして、多くの雇用者は「月収制」ではなくなる。「日給制」になっていく。
月給制と日給制の違いは何か。それは、企業がより簡単に労働者のクビを切れるということだ。
「来月から来なくてもいい」が、「明日から来なくてもいい」と言えるようになるのが、日給制の利点なのである。給料がもっと下がり、月給制は日給制になっていくというのが、大きな流れであり、実際にそうなっていく。
■日本人が貧困化すると、私たちは知っていた
現在、ほとんどすべての国は、グローバル経済に組み入れられており、競争もグローバルで起きている。
企業間で似たような製品を出して競争している場合、消費者が真っ先に着目するのは価格なので、グローバル経済では常に価格競争が起きる。
製品は価格引き下げ圧力にさらされており、この価格競争に打ち勝つには、徹底的なコスト削減が重要になる。企業が抱えるコストの中で、最も大きなものは人件費である。
そうすると、自ずと企業は人件費の削減をすることになる。社員を減らすのも、非正規労働者を増やすのも、社員を死ぬまでこき使うのも、すべてコスト削減のためである。
それでも、日本人の給料は高くて競争力が保てないのだから、日本人の給料はこれからもどんどん下がっていくのは当たり前のことなのだ。
グローバル経済の動きは早いので、「年収200万円の時代は良かった、今では年収100万円台が普通になった」と言われる時代が、すぐ目の前までやって来ていると考えた方がいい。
給料は上がらない。上がらないどころか、もっと下がる。年収100万円台と言えば、「給料12万円、手取り10万円、ボーナスなし」で、いとも簡単に実現する。
アクリフーズで言えば、給料があと2万円下がってボーナスなしの賃金体系になれば、あっという間に年収100万円になっていく。すでに年収100万円時代はやって来ている。
そして、それが普通になっていく。
私たちが生きているのは、そのような貧困化まっしぐらの時代なのである。このような時代になると、もう10年前から言われ続けてきた。
日本人が貧困化すると、私たちは知っていた。
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