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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140129/ecn1401290611000-n1.htm
2014.01.29
生涯でこれほどまとまった金額を受け取ることはほとんどない。それが退職金だ。
フィデリティ退職・投資教育研究所が退職者8000人に行った退職金アンケートによると、退職金のうち「最も多くを使うのは退職後の生活費」と答えた人が50・4%と過半数を占めた。しかし、いったい何歳までの生活費に充てることができるだろうか。
平均余命という言葉がよく使われる。ある年齢に達した人が、そこから平均して何年生きるかを死亡率を用いて計算した結果で、毎年、厚生労働省が発表している。例えば、60歳の平均余命なら、2011年のデータでは男性が82・7歳、女性が88・1歳だ。
これが平均なら、半数の人はそれ以上生きるという意味でもある。例えば、20%の確率で生き残る年齢を計算してみると、60歳の男性で90歳10カ月、女性で96歳11カ月。60歳の5人に1人は90代まで生きる時代、女性に限っては96歳まで生きる時代になっている。
さて、これはうれしいことなのか。寝たきりになれば喜んでばかりもいられない。生活資金が必要だ。特に最後の5年、10年はお金を稼ぐことはままならず、もっぱら使うだけになるからいかに資産を残せるかが大きな分かれ目になる。
高齢になってからの生活費は、年金、自分の資産、そして家族の支えしかない。年金だけで生活が維持できるとは考えにくい。家族の支えといっても子供にあまり負担はかけられない。いや、子供は既に退職した年齢かもしれない。やはり自分のお金、すなわち自助努力しか頼るものはない。
退職してからの生活を夫婦で考えると、妻が亡くなる95歳まで35年くらいだろうか。それを退職金で賄えるのか、と計算してみると心細いものがある。退職金の金額を35年で割って、さらに12カ月で割ると、1カ月に使える金額が出てくる。例えば、1000万円の退職金でも月に2・4万円にしかならない。意外に小さな金額ではないだろうか。それ以上に使ってしまえば、最も対応力の弱くなる最後の5年、10年を残して退職金が底をつく。頼りの公的年金も将来は安心できない。退職までに退職金以外の資産を作っておくこと、退職してからも収入の道を確保すること、その1つとして資産運用を考えること、こうした対応は必須の時代になっている。
退職金は何もしないとアッという間に消えていってしまう。
■野尻哲史(のじり・さとし) フィデリティ退職・投資教育研究所所長。1959年生まれ。一橋大卒。82年、山一証券入社。山一証券研究所でエコノミスト、ストラテジスト、米ニューヨーク在住アナリストなどを経験した。98年からメリルリンチ証券調査部、2006年にフィデリティ投信へ入り、07年より現職。『老後難民 50代夫婦の生き残り術』(講談社+α新書)など著書多数。
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