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辞任を発表したみずほ銀行の佐藤康博頭取。奥は後任の林信秀副頭取=23日、東京都中央区
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140129/ecn1401290720005-n1.htm
2014.01.29 森岡英樹の金融スクープ
唐突な辞任劇だった。みずほ銀行は23日、佐藤康博頭取(61)が4月1日付で退任し、後任に林信秀副頭取(56)が昇格する人事を発表した。佐藤氏は、みずほ銀では代表権のない取締役に退くが、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)の社長は続ける。
「社会を騒がせたけじめという部分もある」
記者会見で、こう退任の理由を語った佐藤氏。だが、わずか6日前の会見では、記者から「4月、もしくは6月の委員会設置会社の骨格ができた段階で、みずほ銀行頭取、FG社長のどちらか、あるいは両方を辞めるのではないか」と問われ、「委員会設置会社というかなりハードルの高いものにチャレンジすることを私自身が決めた。決めた本人がほうり出すということはありえない」と強い調子で否定していた。
1週間弱の間に何があったのか。一説には経営と執行を分離するため、昨年末には、みずほ銀の頭取を退くことを決め、通常国会が開く前に発表する決断をしたとも伝えられる。が、唐突な印象は拭えない。
佐藤氏の頭取退任と後任人事の背景には、いろいろな要素が複雑に絡みあっている。
その1つが会社法改正の一環として導入が国会で審議される「多重株主代表訴訟制度」との関係だ。
同制度は、親会社だけでなく、傘下の子会社役員にも株主代表訴訟の対象を広げる内容で、持ち株会社制度の下で、数多くの子会社群を持つコングロマリット型の大企業やメガバンクなどの経営に与える影響は大きい。
日本の企業経営では、1997年に独占禁止法が改正され、純粋持ち株会社が解禁されて以降、グループの中核会社が持ち株会社の子会社となるケースが数多く登場した。
かつての都市銀行等が持ち株会社形式(ホールディング・カンパニー)で統合し、メガバンクとなったのはその典型と言える。だが、企業統治に関する現行法では、株主代表訴訟を提起して役員等の責任を追及できるのは、親会社(持ち株会社)の株主に限られている。このため、実質的に事業を行う子会社が問題を起こしても、株主は親会社を通じて訴訟を起こす形になり、責任を十分追及できないとの問題点が指摘されていた。
諸外国では、判例によって親会社株主が子会社の役員等に対して株主代表訴訟を行うことが認められているケースがあり、日本においても導入が俎上にあがっている。
しかし、財界からは「主要な子会社の役員は多くの場合に親会社の役員を兼務しているので、多重株主代表訴訟がない場合でも、親会社株主は子会社の任務懈怠(けたい)責任を問うことができる。一方、多重株主代表訴訟を認めた場合、実質的に使用人と同じレベルの者を株主代表訴訟の対象とすることになり、株主に過大な責任追及の方法を与えることになる」との懸念が出されていた。
みずほ銀は、親密信販会社を通じた提携ローンで暴力団向け融資が発覚し、金融庁から業務改善命令を受けた。これに対し、FGの株主が株主代表訴訟の準備を進めているとされるが、多重株主代表訴訟では、みずほ銀の役員も株主代表訴訟の対象になり得る。その圧力は無視できない。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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