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中国、理財商品の不履行回避 金融不安和らぐ
2014/1/29 2:00
【上海＝土居倫之】中国で債務不履行（デフォルト）に陥りかねなかった「理財商品」の元本が返済されることになり、28日の国際金融市場ではひとまず不安心理が収まった。高利回りだがリスクが高い理財商品は新興国不安の震源地のひとつ。中国当局が市場混乱を避けるため、元本返済を決めたもようだが、損失をどう処理するのか、ほかの理財商品でも元本が保証されるのかといった疑問は残る。
元本返済の対象になったのは大手信託会社の中誠信託（北京市）が運用していた理財商品「誠至金開１号」。2011年に設定され、販売会社の中国工商銀行が約700人から30億元（約500億円）を集めた。だが投資先だった山西省の採炭会社が資金繰りに行き詰まり、今月末の償還が危ぶまれていた。
この理財商品がデフォルトに陥るという懸念から、20日には中国の短期金利が急上昇。市場の不安を抑えるため、中国人民銀行（中央銀行）は21日の公開市場操作（オペ）を予告する異例の措置を取ったほどだった。
事態が大きく動いたのは27日。中誠信託が唐突にこの理財商品を「第三者の投資家が買い取る」と発表した。未払いだった利子は支払われないが、第三者の投資家が簿価で理財商品を購入する形で、顧客には期日である31日までに元本が返済されるという。
金融市場はデフォルト回避を好感。28日は上海総合指数をはじめ、アジア各国・地域の多くの株価がいったん落ち着きを取り戻した。
もっとも、理財商品の元本返済の枠組みには謎が多い。採炭会社は実質破綻しており、無価値とみられる理財商品を簿価で買い取る投資家の正体や意図は依然としてわからない。28日付の中国紙、上海証券報は「山西省政府が全体案を設計した」と伝えた。市場混乱を恐れる中央政府の意向をくんで、地方政府が救済に深くかかわった可能性がある。
理財商品をめぐっては、昨年８月に陝西省国際信託が投資先の元利払いが滞ったにもかかわらず、個人に元本を返済して損失をかぶったケースがある。だが、元本返済がほかの理財商品にも適用されるかは不透明。その場しのぎの措置がかえって「中国経済の不均衡を助長する」（米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ＝Ｓ＆Ｐの廖強氏）恐れもある。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2800J_Y4A120C1EA2000/?dg=1
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理財商品 高利回り、不透明さにリスク
2014/1/29 2:00
中国で流通している高利回りの資産運用商品。銀行や信託会社などの金融機関が主に個人向けに販売している。集めた資金の運用先はさまざまだが、銀行からの融資を受けにくい不動産会社や地方政府系の企業への投・融資が多く、なかには利回りが年10％を超える商品も登場している。債務不履行（デフォルト）が懸念された理財商品は年9.5〜11％の予想利回りを投資家に提示し、販売していた。銀行間市場で運用する比較的低利回りの商品もある。
中国は預金金利の上限が規制されており、たとえば１年物定期預金の金利は現行で最高3.3％となっている。物価や住宅価格の上昇率に比べた預金金利の低さに不満を持つ国民が多く、これが高利回りの金融商品に対するニーズになっている。銀行は理財商品を預金類似商品として販売しており、元本保証と誤解している投資家も多い。
アルゼンチンの通貨安をきっかけとする新興国不安の根底には、米量的金融緩和の縮小と並んで中国の金融不安がある。とりわけ理財商品はその不透明な商品性と規模の大きさから、中国発の市場混乱を招きかねない。中国銀行業協会によると、昨年９月末の理財商品の残高は銀行販売分のみで約９兆９千億元（約170兆円）だった。英金融大手スタンダードチャータードは「数字が過小評価されている」と指摘。2015年には残高が30兆元に達する可能性があるとみている。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2800L_Y4A120C1EA2000/
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