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最安値を更新したトルコリラ(NEVADAブログ)
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/360.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 1 月 28 日 11:43:00: igsppGRN/E9PQ
 

最安値を更新したトルコリラ
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4614624.html
2014年01月28日 NEVADAブログ


トルコリラが再度売られ、最安値を更新してきています。


新興国のスターとも言われたトルコ経済ですが、今や崩壊の危機に直面しており、社会不安も高まりつつあり、トルコ中銀は緊急会合を召集して事態への対応を協議していますが、問題はトルコにあるのではなく、世界中の金融市場に有り有効な対応策はありません。


また、今は平穏となっていますインドですが、タタ自動車の最高幹部がタイで自殺したことは、闇に隠された債務等暗部が表面化する前兆かも知れず、もしタタ問題が表面化すれば、インドは大激震に見舞われます。


アジアや中近東は確かに高成長するのでしょうが、同時に闇も深く、日本企業がただ儲かるからとして進出すれば、とんでもないことになるかも知れません。

世界中に警報が鳴り響いていますが、果たして誰が収拾させることができるでしょうか?
また再度の金融緩和を打ち出して先送りするのでしょうか?


 

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01. 2014年1月28日 13:07:48 : niiL5nr8dQ
焦点:苦境続くトルコの銀行、金利上昇や融資低迷が重しに
2014年 01月 28日 12:15 JST
[イスタンブール 27日 ロイター] -トルコの銀行は今年も苦境が続きそうだ。クレジットカードの利用制限に伴う融資の伸び悩みに加え、政局の混乱、金利の上昇、インフレ進行が業績の重しになるとの見方が出ている。

トルコでは、銀行の急成長を支えてきたクレジットカードの利用が規制され、ガランティ銀行(GARAN.IS)、アクバンク(AKBNK.IS)などの収益が悪化している。

クレディ・スイスのアナリスト、AtesBuldur氏は、今年の銀行決算が5%の減益になる可能性があると指摘。「国内政治や金利の見通しが不透明なため、来年の利益回復の可能性に基づいて投資を推奨することはできない」と述べた。

トルコでは、政府高官の汚職疑惑の影響が政府・官公庁・司法に広がっている。国内の混乱に加え、米量的緩和縮小の影響もあり、通貨リラは最安値を更新、中銀に利上げ圧力がかかっている。

同国では3月に地方選、8月に大統領選があり、中銀はこれまで景気減速に対する懸念から利上げを見送ってきた。

金利が上昇すれば、融資需要が鈍り、銀行の収益が一段と圧迫される恐れがある。

ロイターがアナリスト31人を対象に実施した調査では、中銀は28日に開く緊急の金融政策決定会合で政策金利を225ベーシスポイント(bp)引き上げ、10%にすると予想されている。

<相次ぐ減益予想>

トルコ政府は昨年、個人のクレジットカード利用を抑制する規制を導入した。国内の貯蓄率を上げ、経常赤字を抑えることが狙いだが、こうした景気抑制策は銀行決算の重しとなる公算が大きい。

スペインのBBVA(BBVA.MC)が出資するガランティ銀行の第4・四半期決算は、クレジットカードの利用規制などが響き、18%の減益になる見通しだ。

アクバンクの第4・四半期決算もトレーディング損失の計上で34%の減益が見込まれている。

資産規模で国内最大の上場銀行イスバンク(ISCTR.IS)も、トレーディング利益の縮小や引当金の積み増しで42%の減益となる見通し。

国営のハルク銀行(HALKB.IS)は6%の減益、ヤピ・クレディ(YKBNK.IS)は11%の減益、バキフ銀行(VAKBN.IS)も10%の減益が見込まれている。

(Birsen Altayli and SedaSezer記者;翻訳 深滝壱哉 編集 :宮崎亜巳)



ドル・円は102円台後半、リスク回避の動き一服−トルコ中銀臨時会合
  1月28日(ブルームバーグ):東京外国為替市場でドル・円相場は1ドル=102円台後半で推移している。新興市場への懸念は引き続きくすぶっているものの、日米株価が落ち着きを取り戻したほか、トルコ中央銀行が臨時決定会合を開くと発表したことを受けて、リスク回避の動きに一服感が出ている。
午前11時54分現在のドル・円は102円65銭前後。一時は102円75銭まで円売り・ドル買いが進んだ。前日の日本時間早朝に付けたドル安・円高水準101円77銭から1円近く戻している。
あおぞら銀行市場商品部の諸我晃為替マーケットメイク課長は、ドル・円について、「昨日の朝方は悲観的な見方で、トルコやアルゼンチンの話を受けて、大きく動いた。しかしトルコ中央銀行がきょう臨時決定会合を開くと発表し、リスクオフ(回避)の動きが収まってきた」と指摘。ただ、ここでリスクオフの動きが止まるかは不透明と言い、「中国の指標が良くなかったことを発端にして、理財商品のデフォルトは回避されたものの、春節を前に今後の状況を注視している」とも語った。
前日の新興市場通貨は、インド・ルピーが11月以来の安値に下落。トルコ・リラは過去最安値を付けた後、中央銀行が物価安定に向けた必要な措置を取るため、28日に臨時会合を開くと発表したことを受けて、反発した。
三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループの村尾典昭マネジングディレクター(ニューヨーク在勤)は、「先週のトルコ、アルゼンチンといったショックから市場はまだ完全には収まりきっていない」と指摘した上で、「嵐が始まったあとの一時小休止、踊り場というのがきょうの状況だと思う」と述べていた。
トルコ中銀は、「最近の展開を協議し物価安定のために必要な措置を取る」ため、28日夕に臨時会合を開き、結果を29日午前零時に発表する予定だ。最大3ポイントの利上げや資本規制導入の観測が浮上しており、トルコ・リラは値を戻している。
国内株式市場でTOPIX は4営業日ぶりに反発し、前営業日比0.3%高の1232.35で午前の取引を終えた。一方、前日のS&P500種株価指数 は同0.5%安の1781.56で終了した。
FOMC
同時刻現在のユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3673ドル前後、ユーロ・円相場は1ユーロ=140円36銭前後で推移している。
米連邦準備制度理事会(FRB)は28、29日に、連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。
あおぞら銀の諸我氏は、FOMCに関して、「米量的緩和を100億ドル減額するという市場大勢予想通りに決まるとみている。米国自体の景気は、雇用統計は悪かったが、それ以外は大きく振れているわけではない。100億ドル減額をたんたんと行うのではないか」と予想している。
ブルームバーグが10日に実施したエコノミスト調査によると、金融当局は今後6回の会合で100億ドルずつ債券購入額 を縮小し、12月までに終了を宣言すると予想されている。
更新日時: 2014/01/28 12:02 JST



韓国ウォンとトルコ・リラ主導で新興国通貨が反発、日本株も持ち直す

  1月28日(ブルームバーグ):28日の外国為替市場では韓国ウォンとトルコ・リラが新興国通貨の反発を主導。この日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に円相場は下落し、日本株の上昇を支えている。
ウォンはソウル時間午前10時35分(日本時間同)時点で0.5%高の1ドル=1078.65ウォン。前日に一時、昨年9月以来の安値を付けていた。リラは前日2.3%上昇した後、この日は1.1%高の1ドル=2.2575リラ。円安を受けてTOPIXは0.5%上昇。S&P500種株価指数の先物は0.1%高。
先月に月間100億ドルの債券購入縮小を決めたFOMCは28日から2日間の日程で、追加の緩和縮小を検討する。トルコの中央銀行は臨時会合を開催すると発表しており、市場の乱高下阻止を目的に利上げを実施するとの観測が広がっている。
原題:Won to Lira Lead Emerging Currency Gains as Japan StocksRebound(抜粋)
更新日時: 2014/01/28 11:09 JST


日本株4日ぶり反発、新興国収束見込み機械や素材、小型買い

  1月28日(ブルームバーグ):午前の東京株式相場は4営業日ぶりに反発。新興国懸念を背景とした世界の株式、通貨市場の混乱が徐々に収束に向かうとみられ、見直し買いの動きから機械株のほか、非鉄金属や鉄鋼など素材関連株が上げた。保険や証券など金融株も堅調。
TOPIX の午前終値は前日比3.12ポイント(0.3%)高の1232.35、日経平均株価 は14円79銭(0.1%)高の1万5020円52銭。
ちばぎんアセットマネジメントの斉藤秀一運用部長は、先週後半から新興国で悪材料が重なり、市場が動揺したが、「世界的な景気回復基調に変わりはない」と指摘。日経平均がひとまず1万5000円の節目で下げ止まり、「自律反発狙いの買いが入り始めた」と言う。
トルコ中央銀行は28日夕に臨時会合を開き、29日午前0時に結果を公表するとの声明を発表した。中銀が利上げに動くとの観測を背景に、27日の取引でトルコ・リラは11営業日ぶりに上昇。また、アルゼンチンではドル建て国債が一時4カ月ぶり安値となったが、その後は買いが入り、先週のアルゼンチン・ペソ下落容認後、初めて反発に転じた。
一方、午前のドル・円相場は1ドル=102円50-70銭付近と、前日の日本株終了時の102円45銭から小動きで安定していた。27日の取引で昨年8月30日以来の水準に下げたMSCI新興市場指数 は、28日のアジア時間では小高く推移する。市場の落ち着きに加え、日経平均は前日までの3営業日で815円下落、一時節目の1万5000円を割り込んだ直後で、短期的な反発を狙った買いも入りやすい状況だった。
戻り鈍い、FOMC見極め
SBI証券投資調査部の藤本誠之シニアマーケットアナリストは、日経平均の予想1株利益は足元1000円程度で、「株価収益率(PER)15倍に当たる現状の1万5000円前後に割高感はない。下値では買い注文が増える」と話している。
ただ、28、29両日に開かれる米国の連邦公開市場委員会(FOMC)の結果次第では再び新興国、通貨への投資資金の出入りに変化が生じる可能性もあり、TOPIX、日経平均ともに上値は限られた。SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは、「政策判断と、それを受けたマーケットの反応を見極めるまで、投資家は積極的に動けず、相場全般に方向感が出にくい」としていた。
こうした中で、「大型主力株は敬遠され、外部環境の影響を受けにくい中小型株に資金が向かい始めている」とSBI証の藤本氏。きょう午前のTOPIX規模別指数を見ると、コア30指数 は小幅に下落。スモール指数 の上昇率が最も大きかった。国内新興市場ではジャスダック、マザーズ指数 がともに高く、マザーズの上昇率は2%に達した。
東証1部33業種は機械や非鉄、保険、ゴム製品、鉄鋼、証券・商品先物取引、医薬品、小売、繊維など23業種が上昇。半面、鉱業、空運、水産・農林、建設、陸運など10業種は安い。
売買代金上位ではスクウェア・エニックス・ホールディングスが連日の大幅高、エイチームやマツダ、パナソニック、新日鉄住金、三菱重工業、コマツ、第一生命保険、北興化学工業が高い。日立製作所や任天堂、KDDI、三菱製紙、TDK、信越化学工業は下げた。
東証1部の午前売買高は13億3353万株、売買代金は1兆2441億円。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野敏 skawano1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Sarah McDonald smcdonald23@bloomberg.net
更新日時: 2014/01/28 12:05 JST


訂正:新興国からの資金流出止まらず、問題の根源は各国に内在
2014年 01月 28日 10:17 JST
[ニューヨーク 27日 ロイター] -27日の外国為替市場でトルコリラが対米ドルで最安値を再び更新するなど、新興国からの資金流出が止まらない。新興国からの資金流出は米緩和規模縮小懸念から前年5月にも見られたが、今回は問題の根源が各新興国に内在しているという意味で前回と異なるとの指摘もある。

中国の景気減速懸念に加え、米連邦準備理事会(FRB)が今週の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和縮小を決定するとの観測を背景に、海外資金への依存度が高い新興国に対する圧力が強まっている。

さらに、ウクライナやタイの政情緊迫や、アルゼンチンが財政危機に陥る懸念など、新興国不安が高まっている。

こうしたなか、トルコリラは1ドル=2.39リラまで下落し、最安値を更新。ただその後、トルコ中央銀行が緊急の金融政策決定会合を28日に開催すると発表。リラは相場は持ち直した。

中銀は会合後の2200GMT(日本時間29日午前7時)(訂正)に声明を発表する。ロイター調査では、中銀は政策金利を225ベーシスポイント(bp)引き上げ10%とするとの見通しが示された。

通貨安が続くアルゼンチンでは、前週末に政府が為替管理の緩和を発表。27日から実施されたが、政府は国民が購入できるドルの上限を1カ月当たり2000ドルに設定。より開かれた為替相場への政府のコミットメントに早くも疑問符が付く格好となった。

アルゼンチンではドル需要が過度に高まっており、闇レートは公式レートから40%超のディスカウント水準で取引されている。ペソはこの日、闇市場で4%安の1ドル=12ペソで取引される一方、公式レートはほぼ横ばいの8ペソと、闇レートと公式レートの格差はさらに拡大した。

市場では、闇市場で引き続きペソ安圧力がかかり続けるとの見方も出ている。

南アフリカランドは一時1ドル=11.2550ランドと、2008年終盤以来の水準に下落。

南アフリカでは、アングロ・アメリカン・プラチナム(アンプラッツ)(AMSJ.J)、インパラ・プラチナム(インプラッツ)(IMPJ.J)、ロンミン(LMI.L)の鉱山労働組合が賃上げを要求してストを実施。最大10万人の労働者が絡むストが決着の兆しを見せていないことに加え、世界的にリスク選好度が低下していることで、ランド売りが加速した。

ランド相場の急激な下落でインフレのリスクが増大することから、アナリストの間では、中銀が成長低迷にもかかわらず、年内にも利上げに踏み切るのではないかとの見方が出ている。

前年5月にはFRBが初めて資産買い入れ規模の縮小を示唆したことを受けて新興国から資金が流出したが、今回は各国の個別の問題がより大きな要因となっていることが前回と異なる。

HSBCの外為戦略部門責任者、デビッド・ブルーム氏は「問題の根源は外部にあるのではなく、新興国に内在している。市場はこれを懸念している」と述べた。

*本文中の「日本時間28日午前7時」を「日本時間29日午前7時」に訂正します。


コラム:ドル100円割れあるか、押し目の目安と円安余地=竹中正治氏
2014年 01月 28日 12:31 JST
竹中正治 龍谷大学経済学部教授(2014年1月28日)

経常収支の赤字が大きいなどファンダメンタルな脆弱性を抱える新興国の経済・金融面の動揺で、為替相場と株価は再び波乱局面に入る雲行きだ。これら新興国は「フラジャイル5」(インド、インドネシア、ブラジル、トルコ、南アフリカ)と呼ばれているが、直近ではアルゼンチンも加わって「フラジャイル6」となっている。

米国の量的金融緩和縮小が新興国から投資資金の引き揚げを起こし、それが動揺の原因となっているとの解説が一般には流布しているが、やや近視眼的な見方だろう。昨年7月30日掲載の本コラム「新興国襲ったドルキャリー巻き戻しの残存リスク」で指摘した通り、経済協力開発機構(OECD)の景気動向指数を見れば、これら新興国の景気動向は2011年から波打ちながらもスローダウンする局面に入っていることが明らかだ。投資資金の対外的な流出・引き揚げ、株価の低迷も当該諸国のファンダメンタルな変化を反映しているに過ぎない。

一方、同景気動向指数は12年後半以降、日本、米国、英国、ユーロ圏で穏やかながらも景気回復が持続していることを示している。つまり、世界経済は回復基調をたどる先進国と相対的に停滞する新興国に2極化しているのだ。

これは株価指数の動向にも明確に現れている。新興国の合成株価指数であるMSCIエマージング(ドル建て)は11年4月に高値をつけてから、以後一度もその高値を更新することなく低迷している。一方、米国株価は高値を更新し、日本株も日経平均でリーマンショック前の07年末の水準を超えた。

アンチ・アベノミクスの論者らは、現在の日本の景気回復は蜃気楼の様なもので、4月の消費税率引き上げを契機にアベノミクスは幻想だったことが明らかになるだろうと、陰鬱な見通しを呪詛のように繰り返している。筆者は現在の景気回復は実体を伴うものであり、消費税率引き上げ後、駆け込み需要の反動減による一時的な後退はあるものの景気の腰折れはないと考えている。

いずれにせよ、今年第2四半期以降も景気回復が持続するかどうかは、これまでの経済政策論争のひとつの決着点になると同時に日本経済の長期的な分岐点にすらなるだろう。

<当面はリスクオフ局面へシフトか>

このように筆者の見通しは基本的には楽観的であるが、目先は日本を含む先進国の株価、円相場ともに既存ポジション(株買い、円売り)の巻き戻しで株価反落、円高の波乱相場になる可能性が高そうだ。鍵を握るのはグローバルな投資家のリスク許容度の変化だ

相場の不安定化(変動性の上昇)と投資家のリスク許容度の低下は相互に依存しているが、いずれもVIX指数(米国株価指数S&P500の株式オプション取引のボラティリティ)の上昇や、米国社債市場のリスクプレミアム(低格付け債券と高格付け債券の利回り格差)の拡大を伴う。

今回も日米の株価や上記のMSCIエマージング指数の下落と同時に、これらリスク指標が跳ね上がっている。これは投資家のリスク許容度の低下、いわゆる「リスクオフ局面」へのシフトを意味している。米国株価については、S&P500で見ると今月24日の時点ではまだ高値から3.1%の下落でしかないが、昨年秋頃から割高感が強まっており、直近の高値から5―10%程度の反落はいつ起こっても不思議ではない。

ドル円については、リスク指標の上昇が円高、低下が円安をもたらすという相関関係が05年以降見られ、13年に入ってからこの傾向はますます強まっている。ヘッジファンドなど海外投資家が日本株買いと同時に先物取引などを使った円売りをセットで行う投資スタイルに傾斜している結果だ。

<実質金利格差は中期的な円安持続を示唆>

一方、中期的(1年から3年程度の期間)には円安基調の持続を示唆する重要な変化も生じている。日本の企業物価と米国の生産者物価の変化(前年同月比)で見ると、米国物価上昇率が日本より高い従来の状態から、日本の物価上昇率の方が高い状態に逆転しているのだ。13年12月時点で日本の企業物価は前年同月比2.5%、米国の生産者物価は同1.2%となり、1.3%の物価上昇率逆転となっている。

この逆転を起こしている要因は、米国ではシェールガス・オイルの増産でエネルギー価格が抑制されている一方で、日本では円安と原発停止によるエネルギー・電力価格の上昇が企業物価を押し上げていることだ。経済理論的にはエネルギー価格の変化が引き起こすものは「相対価格の変化」であって物価全般の変化ではないはずだ。しかし、現実に少なくとも短期・中期のタイムスパンでは物価水準の変化を起こしており、これは中期的に持続しそうな事情であると言えよう。

このことは二重の意味で円安基調の持続を示唆している。第一に長期的には二国間の為替相場の変化は物価上昇率の格差を反映した相対的購買力平価(PPP)で最も良く説明できるが、日米物価上昇率の逆転はPPP水準自体の円安・ドル高方向への変化をもたらす。1ドル=100円をベースにラフに言うと、上記の1.3%のインフレ率格差は、企業物価・生産者物価で計測したPPPを1年に1円30銭ほど円安・ドル高にシフトさせる。

第二に市場の為替相場は短期的・中期的にはPPPから乖離と回帰を繰り返すが、その要因として名目金利からインフレ率を引いた実質金利の格差が重要であり、とりわけ05年以降の局面では実質金利差がドル円相場の変動に強く影響している。

掲載グラフは、ドル円の市場相場(名目相場)、実質相場指数(=名目相場/PPP、1973年=100)、そして実質相場指数の推計値を示したものだ。推計値は、リスク指標(米国社債のリスクプレミアム)と日米実質金利差の2つの変数で実質相場指数の変化を筆者が回帰分析して得た推計式に基づく。実質相場指数が長期の平均値から乖離と回帰を繰り返していること、また推計値が現実の実質相場指数を概ねなぞっていることに気づいて頂きたい(統計的な説明度は63%)。

短期の政策金利は日米ともに依然ゼロ近傍なので、実質金利は両国ともマイナスである。ところが、日米の物価上昇率の逆転は、米国の実質金利が日本のそれを上回る(マイナス幅が米国の方が小さい)ことを意味する。これは中期的なタイムスパンでドル円相場をPPPから円安・ドル高方向に乖離させる、すなわち実質相場指数を円安・ドル高方向へ変化させる力として働いている。

以上総合して考えると、目先は既存の円売り持高の巻き戻しで円高方向への波乱相場となりそうだが、中期的な円安基調は継続する可能性が高く、ドル円相場の円高局面を利用して円売り・ドル買いに動くことに分がありそうだ。

ただし、より長期で考えるならば、「この先のドル買いはハイリスク・ローリターン」(13年5月22日掲載)で述べた通り、名目相場で1ドル=100円超えの円安・ドル高は、円割安・ドル割高圏であり、ドル建て投資を増やすのではなく、ドル売りヘッジを行う方に分があると筆者は判断している。

この判断がひっくり返るような超円安シナリオ(中期的に1ドル=120円やそれ以上)は現実的だろうか。最後にこの点を考えてみよう。

<超円安シナリオの蓋然性は低い>

超円安シナリオが現実味を帯びるケースは2つ考えられる。まず上記の企業物価、生産者物価で見た日米のインフレ率の逆転が経済全体に及び、消費者物価やGDPデフレーターなどでも日米逆転となり、しかも持続的なものになる場合だ。しかし、現状では日本経済のリスクは、インフレ率の趨勢的な上昇よりも、依然としてデフレに引き戻されてしまう方向に傾斜している。経済全般のインフレ率の日米逆転とその恒常化を想定するのは極端な円安論者のシナリオではあるが、現状では蓋然性は低い。

現時点で筆者がよりあり得そうなシナリオとして考えているのは、既述の通りエネルギー価格の変化の違いから、日米の消費者物価指数を含むインフレ率が年率1%から2%程度でほぼ同じ水準になることだ。その場合は、80年以降継続してきたPPPの円高トレンドは消え、PPPは横ばい推移に転じるが、一段の円安の必然性を意味するわけではない。

もうひとつの超円安シナリオは、リスク指標に対する円相場の反応が逆転する場合である。投資家のリスク許容度が低下するリスクオフ局面で円買いの動きが強まり、円高になるのは05年以降の特徴に過ぎない。

実際、銀行の不良債権問題から日本での金融危機が懸念されていた90年代末から2000年代前半の円相場は、リスク指標に対して今と反対の反応を見せていた。すなわち当時はリスク指標の上昇(リスクオフ)は円安、低下(リスクオン)は円高だった。このようにリスク指標と為替相場の関係は、グローバルな投資家がその時期の主要なリスクを何として認識するかによって異なるのだ。

たとえば将来、日本の膨張した政府債務リスクがいよいよ顕現化し、日本国債の急落(利回り急騰)を起こすような局面が到来すれば、リスク指標の上昇が円安を引き起こす方向に逆転する可能性はある。ただし、この危機シナリオも1年から3年程度の中期ではやはり蓋然性のかなり低いシナリオにとどまるだろう。

*竹中正治氏は龍谷大学経済学部教授。1979年東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、為替資金部次長、調査部次長、ワシントンDC駐在員事務所長、国際通貨研究所チーフエコノミストを経て、2009年4月より現職、経済学博士(京都大学)。最新著作「稼ぐ経済学 黄金の波に乗る知の技法」(光文社)



貿易赤字の最大の理由は燃料調達費=甘利経済再生相
2014年 01月 28日 12:00 JST
[東京 28日 ロイター] -甘利明経済再生担当相は28日、閣議後の会見で、27日発表された2013年貿易収支が過去最大の11.4兆円の赤字となったことについて、最大の理由は燃料調達費であるとし、為替動向を勘案すると調達費はさらに拡大する懸念があるとの認識を示した。輸出に力強さが欠けているとも述べ、貿易赤字が容易に解消しない構図に懸念を示した。

甘利担当相は「貿易赤字の最大の理由は燃料調達費の増大だ。年間で3兆6000億円、4兆円近くになる」と分析。「為替動向を勘案すると、さらに(燃料調達費が)上がっていくのではないかと懸念される」と警戒した。一方で「輸出がいまひとつドライブがかからないことも要因としてある。自動車は回復しているが、家電の足腰がまだ弱い」とも語り、貿易赤字は容易に解消しないと指摘した。

<電力会社によるパーティー券購入報道、「法令に則り適切に対処」>

原子力発電所を持つ電力各社が2006年以降、原発再稼働を訴える同相のパーティー券を水面下で分担購入してきたと一部で報じられたことについては「法令に則り適正に対処している」と語った。

<原発再稼働、投資・成長のマイナス要因軽減に>

その上で、原発再稼働の是非について、安全基準を満たした原発の活用は、投資・経済成長のマイナス要因を軽減することになると述べ、あらためて再稼働の必要性を認めた。

甘利担当相は貿易赤字で明らかになった燃料調達費拡大状況を指摘した後、現在の電力供給態勢について「旧型の火力をフル稼働させてなんとか保っている。これが複数単位で停止すると不測の事態が発生する」とし、綱渡り状態だと説明。エネルギーの低廉安定供給が対日投資拡大の重要な要素になっているなどと述べ、「安全基準をクリアーしたものを活用していくことは日本経済にとってプラスになる。活用することが、投資・経済成長に対するマイナス要因をなくしていくことになる」と語った。

<ソニー格下げ「衝撃的」>

米格付け会社のムーディーズ・ジャパンが27日、ソニー(6758.T)の発行体格付および長期シニア無担保債務格付けを「Baa3」から「Ba1」に格下げしたことについては「元OBとしても、衝撃的だった」と述べた。

格下げの詳細は承知していないとしながらも、「業界のパイオニアと言われ、イノベーションはソニーから発信されると言われた。原点に返ることが大事だ」と指摘。政府が成長戦略で科学技術の司令塔を作り、官民共同の研究開発・技術開発を推進する背景には、日本からイノベーションを発せらる態勢作りがあるとし、「これはそういう危機感からも出ている」と語った。

(吉川裕子 編集:山川薫)



世界経済に与える影響「注視」=新興国通貨安で麻生財務相
2014年 01月 28日 11:25 JST
[東京 28日 ロイター] -麻生太郎財務相は28日、アルゼンチンなど新興国の通貨安が世界経済に与える影響を注視する、との認識を示した。同日午前、閣議後の記者会見で述べた。

新興国の通貨安を背景に東京市場で円高、株安の流れが強まっている。これについて、麻生財務相は、過去にアジアの通貨危機が金融混乱を招いた当時に比べて「(新興国の)外貨準備は増えており、ショックに耐えられる力をためている」と指摘。そのうえで「(通貨安が世界経済に与える影響について)注視はするが、各国の通貨下落にコメントすることはない」と述べた。

一方、法人実効税率の引き下げに関しては「メリットとデメリットを考える必要がある」と述べ、産業政策全体として議論すべき課題、との認識を示した。

(山口貴也)


コラム:円安が招く物価高の波紋、黒田日銀に世論の壁=唐鎌大輔氏
2014年 01月 27日 16:48 JST
唐鎌大輔 みずほ銀行 マーケット・エコノミスト(2014年1月27日)

2014年の円相場見通しは、金利や需給などを踏まえる限り、「放って置けば円安」という基本認識で大きな問題はないと思われるが、かく乱要因は物価だろう。

短期・中期の為替変動要因としてとらえられる金利・需給とは違い、物価は通常、5―10年程度の長期ないし超長期の時間軸で為替相場への影響が語られることが多い。だが、昨年4月4日に黒田日銀が「量的・質的金融緩和(QQE)」を導入したのを契機として、総合ベース、生鮮食品を除くコアベースともに日本の消費者物価指数(CPI)に対する市場の注目度は増している。

円安が加速した昨年12月には、11月CPIの前年比上昇(1.5%)を指摘する向きもあった。過去1年を振り返っても、ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)など期待インフレ率の上下動を円相場の値動きと結び付けようとする論調が目立った。このように物価関連の計数が円相場で材料視される傾向はこれまであまり見られなかった。

折しも昨年来、米国やユーロ圏のCPIが落ち込む一方で、日本のCPIは相対的に高い水準を維持しており、購買力平価の上では円の下落が支持されるような状況が続いている。過去数カ月の猛烈な円安や株高も「これから日本はインフレになる」という前提を踏まえれば、首肯(しゅこう)できる部分がある。

ただ問題は、果たしてインフレが前提通りに進むかという点だ。

まず仮にQQEを背景とする円安主導のコストプッシュ・インフレ効果が4―6月期ないし7―9月期に一巡し、CPIのピークアウトが鮮明になった場合、市場がこれをどうとらえるかである。「CPIのピークアウトはQQEとアベノミクスの頓挫につながる」と海外勢は連想するかもしれない。その時、これまでのような円安・株高相場は持続できるだろうか。

実際、海外勢の中には、国内では信じる人が少ない「2年でインフレ2%」を真に受けている向きも多そうだ。「アベノミクスでインフレになるから」と期待して、トレードを進めてきた部分もあっただろう。CPIのピークアウトが事件性をもって材料視される可能性はゼロとは言えない。14年の日本国内に関し、最も不安視されるのは、このCPIピークアウトに付随する市場の動揺だろう。

すでに1月21―22日の日銀金融政策決定会合の声明文で、CPIの前年比に関する表現が、従前の「当面、プラス幅を拡大するとみられる」から「消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて、暫くの間、1%台前半で推移するとみられる」に変更されている。この変更を、来るべきCPIピークアウトへの布石だととらえる向きは多い。「CPIピークアウトを事件にしない」ことは日銀にとって当面、重要な課題である。

<QQE継続には世論の支持が重要>

ただ一方で、筆者は、CPIピークアウトとは逆のリスクシナリオも十分に想定しておく必要があると考えている。つまり、4―6月期ないし7―9月期を通して、円安が予想以上に進行するなどしてコストプッシュ経由のCPI上昇が続くシナリオだ。これは安倍政権と黒田日銀にとって、ある意味狙い通りだが、今後は世論がそれを許すのかという問題が出てくるだろう。

そもそもQQE導入以来、CPIは上昇しているものの、賃金が追随して上昇する兆しはない。厚生労働省発表の「毎月勤労統計調査」によると、11月の現金給与総額(事業所規模5人以上)は前年比0.6%増と5カ月ぶりに増加したが、問題はCPI対比での伸びである。たとえば、11月単月だけを取り上げれば、CPI(前年比プラス1.5%)は賃金(同プラス0.6%)の約3倍のペースで伸びており、個人消費の説明変数たる実質賃金は減少している(ちなみに、11月の実質賃金指数は同マイナス1.4%と、5カ月連続で低下)。

過去のデータを振り返ると、現金給与総額とコアCPIは安定的な関係にあったが、2000年代に入ってから戦後最長の景気回復と呼ばれた時代(02年2月―08年2月)を含めても、賃金の伸びがコアCPIの伸びを上回ることは稀だった。安倍政権はこうした状況を打開しようとしているのであり、それは決して簡単なことではない。つまり、14年の日本国内に関し、市場が十分織り込んでいないリスクシナリオを挙げるとすれば、実質賃金が圧迫される状況に至った場合、それをいつまで政治(安倍政権)が放置できるかということではないだろうか。

さらに重要なことは、実質所得の目減りから景気が停滞したとしても、その原因が円安による物価高だとすれば、もはや追加緩和で円安・株高を煽るという行為自体が難しくなる可能性があるということだ。要するに、これまでは援軍だった世論が黒田日銀の行く手を阻む可能性である。断言しても良いが、今の世論がアベノミクスを支持しているのは円安・株高になっているからであり、CPIが上がっているからではない。

QQEはアベノミクスそのものであり、政治の産物でもあることを踏まえれば、世論から支持が得られなくなった時点で日銀の金融政策運営は壁にぶつかるだろう。その場合、アベノミクス一点買いで円を売って、株を買っていた海外勢はとりあえずポジションを巻き戻し、円安・株高相場にはいったん調整が入らざるを得ない(その後、需給や金利差という真っ当な理由を有する円安基調は戻るかもしれないが、果たして株高も戻るのかは定かではない)。

<通貨政策に近づく金融政策>

むろん、これまでの日本の状況を考えると、「CPIが意に反して上がりすぎてしまう」などというのは杞憂であり、今でも決して可能性が高いシナリオとは言えない(当の日銀すらピークアウトを予見している節がある)。ただ、以下のような理由から、CPIが想定以上に上振れてしまうリスクは考えておいたほうがよい。

まず、原子力発電所を再稼働させれば鉱物性燃料の輸入数量が減少することから、輸入インフレが落ち着くとの声もあるが、現実はもっと複雑だ。というのも、現下の輸入インフレは必ずしも燃料によるものばかりとは言えないからである。

円安による輸入価格押し上げと言うと、鉱物性燃料がクローズアップされやすいが、近年ではそれ以外の財でも円安の影響が無視できないものになりつつある。たとえば、経済産業省発表の「鉱工業生産統計」から財別ないし業種別についての輸入浸透度(国内出荷に占める輸入比率)を算出してみると、これまでは国産品で供給されていた財・業種でも輸入品が浸透している状況が読み取れる。

図示すると一目瞭然だが、2000年1月と本稿執筆時点での最新データ(13年11月)を比較すると、全ての財で輸入浸透度が上昇している。特に大きな上昇を示しているのが耐久消費財で、5%から19%へと約4倍に跳ね上がっている。業種別で言えば、これは電気機械工業や情報通信機械工業そして輸送機械工業などを含む項目である。それら業種の輸入浸透度を見ると、情報通信機械工業で12%から46%へ4倍弱、電気機械工業で9%から19%へ倍以上に上昇している。

なお、情報通信機械工業には通信機械(携帯電話や固定電話など)や民生用電子機械(薄型テレビ、ビデオ、デジタルカメラなど)、電子計算機(タブレット型を含むパソコン機器全般)が含まれる。輸入浸透度の上昇は、海外製のスマートフォンやタブレットが広く普及している現状を反映しているのだろう。また、電気機械工業は民生用電気機械を含む業種であり、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなど典型的な耐久消費財項目だが、これは海外生産拠点からの逆輸入増加などが手伝って、輸入品の存在感が増している状況を映していそうだ。

これまで「円安で値上がりする」と言うと、ガソリン代や食料品など、商品市況色の強い財に限られていた(それ以外では競争力の高い海外ブランド品など)。だが、上述した輸入浸透度の議論を見ても分かるように、我々の身の回りでは、その供給を国産ではなく輸入に依存する財が増えつつあるのが実情である。

それは過去に比べて円安の影響を受けやすい供給構造に変化しつつあることも意味している。たとえば、昨年5月には、米国製タブレットが円安を理由に販売価格を大幅に引き上げたことが話題となった。これを理由に買い控えを考える向きもあったかもしれない。円安で身の回りの電化製品が値上げされ、消費行動に影響するような事態は過去にはあまりなかった。

こうした環境変化は金融政策にとっても重要である。身の回りの幅広い財に円安の影響が及んでくるとすれば、結局、日銀の「物価安定目標」は「為替安定目標」と読み替えられる。事実、QQEの最大の収穫は貸し出しの増加でも設備投資の増加でもなく、円安(とそれに付随する株高)だ。そして、その円安をもってCPIは上昇した。

要するに、従前よりもパススルー率(為替変動が輸出入価格を通して国内価格に与える変化率)が高くなっているわけで、金融政策は物価をコントロールするために、否応なしに為替のコントロールも求められるようになる。換言すれば、金融政策が通貨政策に近づいていることを意味する。現状、こうした論点がどの程度、日銀の政策運営において意識されているかは定かではないが、パススルー率の高まりとともに「物価における為替色」は明らかに強くなっているというのは重要な論点である。

前述したとおり、こうした現状は安倍政権や黒田日銀からすれば、想定通りの展開だろう。しかし、肝心なことは、パススルー率の上昇に伴い、円安を追求した場合の賃上げの必要性(緊急性)も、これまで以上に大きくなっているということだ。そう考えると、アベノミクスやQQEの鍵は表面的にはCPIなのかもしれないが、その実は賃金であることが明白である。

実際、安倍首相も恒例の伊勢神宮参拝後の年頭記者会見で「この春こそ景気回復の実感を収入アップというかたちで国民に届けたい。そのことが消費の拡大を通じて、さらなる景気回復につながる」と賃金上昇の重要性を説いている。アベノミクスの心臓部が賃金にあることを認識しているがゆえの言葉だろう(ちなみに筆者は、賃上げ問題は裁量的なマクロ経済政策だけで解決できるものではないと考えている。日本の硬直的な雇用規制にメスが入って初めて、賃上げの原資は捻出できる。この点は、今回の本題ではないので議論は控える)。

金利差や需給といったファンダメンタルズは円相場を見通す上でポピュラーな存在であるし、今後もそうであり続けるだろう。だが、今年は長期変動要因たる物価をめぐるヘッドラインが、いつになく相場で注目される年になりそうである。

*唐鎌大輔氏は、みずほ銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト。日本貿易振興機構(ジェトロ)入構後、日本経済研究センター、ベルギーの欧州委員会経済金融総局への出向を経て、2008年10月より現職。欧州委員会出向時には、日本人唯一のエコノミストとしてEU経済見通しの作成などに携わった。2012年J-money第22回東京外国為替市場調査ファンダメンタルズ分析部門では1位。


コラム:中国資金「国外脱出」で高まる銀行規制リスク
2014年 01月 24日 11:12 JST
[香港 22日 ロイターBreakingviews] - By Peter Thal Larsen

欧米の銀行を悩ます次なる規制は、中国発となるかもしれない。金融機関への規制をめぐる最近の動きは、そのほとんどが先進国、特に米国を舞台としていた。しかし、中国の指導者層が海外に資産を保有していることが明らかになる中、銀行が中国当局による規制強化の影響を受けるリスクが高まってきた。

中国では資本規制が厳しいとされているが、近年は多額の現金が国外に流出している。マカオのカジノ急成長、香港やサンフランシスコなどの高級不動産の価格上昇、欧米の一流大学などに通う中国人学生の増加といった現象は、富裕層が多くの資金を国外に持ち出せることを示している。国際調査報道ジャーナリスト連合がまとめた新たな報告でも浮き彫りになったように、中国の指導者層も英領バージン諸島のような海外のタックスヘイブン(租税回避地)を積極的に利用するようになってきたという。

中国政府はこれまで、こうした資本流出の防止にあまり関心を示していない。しかし、その姿勢は急変する可能性がある。中国共産党は現在、多数の高官をめぐる汚職疑惑を調査している。もし汚職に絡む資金が海外に移されていれば、関係する銀行や会計士、法律事務所は、ほどなく矢面に立たされる可能性がある。中国の監督当局にとって、国際的な銀行を見せしめにすることは難しくないだろう。

ただ、タックスヘイブンの仕組みや海外への資金移動が必ずしも違法というわけではない。海外市場で上場する中国企業のほとんどは、海外のタックスヘイブンで登記した企業が保有する。また、中国の多国籍企業が資本を調達したり、国外に資金を移す際も、国際的な銀行に依存している。

それでも、規制に対する当局の姿勢が突如一変する可能性はある。中国当局は昨年来、粉ミルクの価格操作で欧米メーカーに罰金を命じたほか、英製薬グラクソ・スミスクラインによる医師への贈賄疑惑も捜査中だ。2つのケースは目新しい話ではなく、対象企業も限られているという。しかし、取り締まりが強化された場合、「他でも皆やっている」という主張は、防衛策として効果的とは言えないだろう。

円安が招く物価高の波紋=唐鎌大輔氏
世界標準化政策が円安の鍵=植野大作氏
今年はリスクオンの円全面安へ=亀岡裕次氏
新興国通貨は「政治の季節」=村田雅志氏
年前半にドル110円到達も=池田雄之輔氏

[12削除理由]:関連が薄い長文


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