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アクリ事件「製造現場では10円の賃金格差が軋轢生む」と識者
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140128-00000004-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 1月28日(火)7時6分配信
アクリフーズ群馬工場で起きた冷凍食品への農薬混入事件。逮捕された契約社員、阿部利樹容疑者(49)の犯行動機として取りざたされているのが、会社に対する待遇面の不満だ。
報じられている内容では、同容疑者は2005年入社の契約社員。半年ごとに継続雇用の更新が繰り返され、勤務歴は8年に及ぶベテランだった。
給与・賞与の水準は時給をベースに「年功序列型」になっていたが、2012年4月から業績評価に応じて時給単価やボーナス額が上下する「成果型」の給与体系に改められた。
生産目標の達成なども加味される成果主義により、同容疑者のボーナスや手当ては大幅に減額されたという。現在の年収は推定で約200万円。ボーナスが自分より勤務年数の浅い同僚の半分以下だったことを知り、「やってられない」と周囲に不満を爆発させていたとの証言もある。
アクリ社は会見で、「給与の減額は大きくない」「職場に不満があるとは認識していない」と言及したが、「賃金体系を含めて会社側が労務管理の失態を問われても仕方ない」と話すのは、人事ジャーナリストの溝上憲文氏だ、
「年収200万円といえば高卒の初任給と同じレベルで、容疑者の49歳という年齢を考えれば、ワーキングプアに等しい。しかも、いつクビを切られるか分からない不安定な精神状態のまま8年も働いて給料が上がらないとなれば、日頃の不満がマグマ的に蓄積されていたとしても不思議はありません」
そもそも、細かく生産工程が分かれ、ルーティンワークも多いモノづくりの現場において、成果給の導入は「やってはならないことだった」と、溝上氏は指摘する。
「会社にとっては、成果給の導入は人件費や生産コストの削減につながりますが、生産現場にそれを適用すれば、わずか10円の賃金格差によって従業員の志気が低下してチームワークが乱れることがあります。また、何よりも生産目標を厳しく課すことで不良品の発生率が高くなります」
アクリ社の工場には、阿部容疑者のほかにも待遇面の悪さや正社員との身分格差に嫌気が差していた従業員もいるという。
もちろん、同容疑者が犯した罪に同情の余地はまったくないが、果たして個人的な問題で終わらせてしまっていいのだろうか。
「製造現場におけるマネジメントの劣化はアクリ社に限った話ではありません。いまや正社員だけの職場はなく、契約社員や派遣社員、業務請負などいろんな雇用形態の人が入り混じっている会社がほとんどで、一人ひとりの勤務状況を把握する機会が少なくなっているのは確かです。
会社側は身分に関係なく、それぞれの働き方や職場環境に対する声を吸い上げて改善するなど、常に従業員に寄りそった労務管理をしなければ、またいつ同じような事件が起こらないとも限りません。
マネジメントの最適化は、おざなりな成果主義の導入では何の解決にもなりません。もっと従業員の熟練度合いに則した手当てを細かく設定するなど、客観的に平等になるような賃金体系に見直すことも必要です」(溝上氏)
日本経済の中核をなす製造業。その生産現場のあちこちで従業員の顔が見えない状況になっているのだとしたら、危機管理や安全性の問題以前に由々しき事態だろう。
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