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http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140127/frn1401271201004-n1.htm
2014.01.27
■「3カ年計画」宣言、実効性を疑問視
就任からまもなく1年を迎える朴槿恵(パク・クネ)大統領。国民の個人負債が1000兆ウォン(94兆4000億円)を超えるなど課題が重くのしかかっているが、「創造経済」に象徴される経済政策「クネノミクス」は笛吹けど踊らず、不透明感が漂う。こうした中で今月6日、就任後国内で初の記者会見で朴氏は今後「国民所得4万ドル、雇用率70%、潜在成長率4%」を達成するとする「経済3カ年計画」を宣言したが、その実現には悲観的な見通しが強い。2年目の朴政権は経済で正念場を迎える。
(フジサンケイビジネスアイ/ソウル 加藤達也)
◆「非正常な慣行」蔓延
記者会見の冒頭演説で、朴氏は「社会に蔓延(まんえん)した非正常な慣行を正常化する改革によって、基礎が強固な経済を作る」と述べた。
ここで言う「非正常な慣行」とは、朴氏の演説から列挙すると、原発部品の性能試験成績証の偽造▽政府補助金の不正受給による血税浪費▽国の借金より多い公共機関の借金▽公共事業体の放漫経営−などだ。
昨年11月、古里原発1号機が不具合で停止。国内23基のうち6基が停止する事態になった。制御ケーブルの性能の偽装が発覚したほか、公正性が安全に直結する原発運営でも「韓国水力原子力」の元社長が取引先の設備業者から数億ウォンを受け取った収賄の疑いで逮捕されている。
こうした韓国の経済・社会の構造的欠陥はいまに始まったことではない。朴氏自身、「歴代政権が改革を推進しては失敗してきた」と認めている。
指導者としては国民に具体的な対応策を示して謝罪すべきところだが、朴氏は会見で「謝罪」の代わりに「不足した点も多かったにもかかわらず、信頼を寄せてくれた国民に感謝する」と述べた。
そして「国民所得4万ドル、雇用率70%、潜在成長率4%」という「経済3カ年計画」を示したのだが、経済見通しは厳しく実効性も疑問視されている。
演説を受け、韓国紙の中央日報(1月13日付)は「クネノミクスが『経済民主化』から『経済活性化』に方向転換した」と指摘する一方、「実現は容易ではない」と明言している。
まず成長率4%だ。企画財政省などは16日、海外の投資銀行が分析した韓国の昨年の実質成長率をアジア11カ国中で下から3番目の2.8%とした。
韓国開発研究院も2020年に2%台、30年には1%台に落ち込み、中長期の低成長に入ると予測している。
中央日報は、雇用率70%についても厳しい見方だ。
「64.2%(12年ベース)を70%に引き上げるには雇用238万件の創出が必要だが、12年に創出された雇用は38万件」だったと指摘。14年の韓国政府の創出目標は45万件だが、70%を実現するには「来年以降、毎年52万件の創出が必要だ」としている。
同紙は経済専門家10人へのアンケートも実施した。3カ年計画について「可能」としたのは4人。しかも多くの条件をクリアしたと仮定してのことだ。
◆公共事業体“足かせ”
そして、多くの経済専門家やジャーナリストが強調する目標達成の最大の足かせが、公共事業体の改革である。
水道や住宅、鉄道といった韓国の公共事業体は昨年末現在、総額負債で520兆ウォンを超したとみられている。
公共事業体の改革について、朴氏は政府機関からの天下りを3年以内に10分の1に減らすと表明した程度だ。
演説で朴氏は、公共事業体の従業員が勤務先に自分の子弟を優先採用させる「雇用世襲」が慣行化していることも問題視したが、「労働貴族となった公共事業体の労働者が既得権を手放すことはない。剥奪すれば深刻な反発を招くだろう。朴政権は2年目にして重大な内政危機に至る」(韓国の経済ジャーナリスト)とみられている。
「創造経済」という、韓国の高級官僚ですら理解に苦しむ概念で始まったクネノミクスは2年目にして大きな試練を迎えそうだ。(ソウル 加藤達也)
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