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円安相場に変調、今週はFOMCなどリスク要因山積
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0P01I20140126
2014年 01月 27日 08:16 JST
[東京 27日 ロイター] -円安相場が変調をきたし始めた。週明け早々のマーケットではドル/円が102円を割り込んだ。市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのテーパリング見送り待望論すら出始め、ドル/円は今週も波乱含みの展開が予想される。
円安頼みの日本の成長戦略に不快感を表明し始めた米国や、ヤマ場を迎え政治的駆け引きが先鋭化する環太平洋連携協定(TPP)交渉、不安定化する中南米市場など、リスク要因は多い。
予想レンジは、ドル/円が100.50―104.00円、ユーロ/ドルが1.3500―1.3800ドル。
<FOMCで波乱含み>
市場の関心はFOMCに向かっている。大手邦銀の関係者は、債券買い入れ規模が100億ドル減額されることは織り込み済みだと話す。「米連邦準備理事会(FRB)はテーパリングに踏み出したばかりだ。このタイミングですぐに縮小を見送るようなことは考えにくい」という。
一方で、不安定さを増す米国株、2月の米債務上限問題、中国の景気低迷、アルゼンチンペソなど中南米通貨の急落などを考慮すれば、「FOMCが今回は現状維持で、テーパリングを見送る可能性もあるとみている」とFPG証券・代表取締役の深谷幸司氏は指摘、テーパリングを見送ればリスクセンチメントにはプラス作用すると予想する。
ファンド勢など、これまで円安戦略で収益を得てきた短期筋の間では、予想通りにテーパリングが決定されればリスクセンチメントが一段と委縮し、ドル/円の下値リスクが高まるとの見方もあり、「テーパリング見送り待望論も出始めている」(外銀)という。
<ルー米財務長官発言>
国際政治の現場では、引き続き円安進行を実質上の景気対策として利用する日本に対して、米国の苛立ちの表明とも受け取れる発言が米政府高官から発せられた。
ルー米財務長官は16日、日銀の異次元緩和と円安傾向に関連し「日本は為替レートの利点だけに依存した戦略で長期成長を目指すべきではなく、(為替政策を)注視し続ける」と発言。
昨年10月の為替報告書で言及された範囲内で特段のサプライズはないとの見方もあり、為替市場の反応は当初限定的だった。しかし「あのような形(ルー長官発言)で米国の意向が伝わったということは、裏では既に日本政府に対して相当注文が付けられているということだろう」(機関投資家)との指摘も出ており、米政府高官の今後の発言にも留意が必要だ。
「円安推進の前提は日米関係の安定であり、日米関係が蜜月でないことを考えれば、今後円安政策を追求するのは厳しくなるかもしれない」とFPG証券の深谷氏は言う。
為替報告書は、消費増税に伴う内需減速に不安を表明したうえで、経済対策を安易に金融緩和とそれに伴う円安に頼るべきではなく、まずは乗数効果の高い財政政策での対応を求めるなど、踏み込んだ内容となっている。
<TPP交渉>
米国では中間選挙も近づいており、TPP交渉をめぐって議会からの圧力も強まっている。
米与野党の有力議員が9日に提出した法案には、米政府に強力な交渉権限を与える条項と、為替について政府に対応を求める項目が盛り込まれた。TPPの参加国が輸出を伸ばすために自国の通貨を安く誘導する為替操作をしないよう監視するなどの対応を求めている。
TPP交渉で米国は2013年中の合意を目指していたが、農産品の市場開放、知的財産権保護、環境保全水準等は引き続き懸案事項。米通商代表部(USTR)は、交渉は大詰めの段階にあり2月には閣僚会合が開かれるとしているものの、20日にフロマンUSTR代表と電話会談した甘利明TPP担当相は、日本が関税維持を求めるコメなどの重要5項目の扱いで踏み込んだやり取りは行われなかったと明らかにしている。
<変調きたす円安>
ドル/円は23日以降、下げ基調を強めている。週明けのマーケットでは101.77円まで下落して2013年12月6日以来の安値をつけた。足元で変調をきたしている円安相場については、統計的に円が売られ過ぎとのシグナルも点滅している。
国際決済銀行(BIS)が公表した昨年12月時点の実質実効為替レートによれば、昨年12月時点で円相場は長期平均から21.2%マイナスかい離しており、2007年7月以来の大幅な割安感を示している。このため、円高方向への「調整が意識されやすい水準にある」とみずほ銀行、国際為替部・マーケット・エコノミスト唐鎌大輔氏は言う。
ただし、平均算出の対象期間(1980―2012年)においては日本がほぼ貿易黒字であり、現在のように、貿易赤字が慢性化し断続的な経常赤字転落まで珍しくなくなっている状況の下では、「長期平均は均衡水準として適当なのかという議論もある」と唐鎌氏は指摘している。
<経常収支構造の変化とリパトリ>
日本の経常収支の構造変化により、「需給面でコンスタントに実需筋による円売りが出ていることは確か」(邦銀)だが、例年3月にかけてはリパトリによる円買い需要も顕著で、実需の円売り需要を相殺する規模に達する可能性もある。
昨年11月の経常赤字は月次で過去最大の5928億円(事前予想の中央値3804億円程度の赤字)。貿易・サービス収支は1兆3643億円の赤字だった。一方、所得収支は9002億円の黒字となり、前年比0.8%増えた。
<米景気好調の割に強くなれないドル>
主要6通貨に対する米ドルの強さを示すドル指数.DXYは現在80台半ば付近と、昨年9月と2月に観測された水準であり、昨年7月に付けた84台後半の2年ぶり高水準を下回り、方向感を欠く動きを見せている。
「米経済がそれほどいいのであれば、株価がスパークするなりドル高が一段と進行するなりしてもよさそうだが、そうなれないところに今の相場の限界が潜んでいる」(ファンド・マネージャー)という。
同ファンド・マネージャーは、米国が政治的にも外交的にも内向きになっていることや基軸通貨としてのドルの弱まりが、ドル高相場が持久力を欠く要因とみている。
(森佳子)
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