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ビーム社の買収を決めたサントリーの佐治信忠会長兼社長。勝算は?
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140126/ecn1401260734000-n1.htm
2014.01.26
サントリーホールディングスが米国の蒸留酒最大手の「ビーム社」(本社・イリノイ州)を総額160億ドル(約1兆6500億円)という過去最大の巨費を投じて買収するという。
世界の蒸留酒メーカーの売上高は、ジョニー・ウォーカーを持つ英国の「ディアジオ」が1位、シーバス・リーガルを抱える仏「ベルノ・リカール」が2位。サントリーは10位だったが、ビーム社買収により、バミューダに本社がある「バカルディ・マルティーニ」を抜いて3位に浮上する。
サントリーの買収の狙いは、少子高齢化によって国内酒類市場が先細る中、ジム・ビームというバーボン・ウイスキーを持つビーム社の強いブランド力を武器に、海外市場の拡販を加速することにある。
しかし、考えてみると、バーボンを愛飲するのはほとんどアメリカ人だ。バーボンは原料にトウモロコシが51%以上含まれていて、スコッチを飲むヨーロッパの人たちはわりと苦手にしている。日本もスコッチが主流だ。バーボンに成長力はあるのだろうか。
今回、サントリーの買収金額はビーム社のEBITDA(支払い利息や税金、減価償却を行う前の利益の総額。買収先の簡易的なキャッシュフローを表す)の20倍を超えている。この倍率は買収金額の妥当性を判断する際に用いられ、業界によって異なるが、酒類業界では10倍前後が妥当といわれる。つまり、想定される2倍で買っていることになる。
ハードリカー(ウイスキーなどの蒸留酒)の需要が世界的に減っている中、果たしてこの買収額は見合うのだろうか、という疑問符が消えない。
たとえば、武田薬品工業は2011年、1兆1000億円という国内製薬会社史上、前例のない巨費を投じて、スイスの製薬会社「ナイコメッド」を買収した。新興国の販売網を手に入れるのが目的だった。しかし、ナイコメッド社では人材が相次いで流出し、新興国向けの売り上げも伸びなかった。
08年には医薬品開発を目的に約7200億円を投じて米「ミレニアム」も買収しているが、こちらもM&Aの効果は上がっていない。世界の壁は崩せなかった。
そして昨年11月、英国の製薬大手からスカウトしたフランス人、クリストフ・ウェバー氏を次期社長に就任させることを発表した。武田薬品の長谷川閑史社長は「経営のグローバル化をリードするには、豊富な海外経験が必要。日本人には難しい」と語っていた。この事例をみると、サントリーは大丈夫なのかと言いたくなってしまう。
01年の佐治信忠社長就任以来、サントリーは海外の大型買収に積極的だ。09年には仏「オランジーナ・シュウェップス」を約3000億円で買収したが、これはうまくいく可能性が高いと思う。ほかは何ともいえないクエスチョンマークがつく案件が多い。
今回の買収費用は三菱東京UFJ銀行から調達したようだが、国内市場で主力のビール、蒸留酒事業とも好調なサントリーに対し、カネが余っている銀行は貸したくてしようがない。銀行というのは、やはり「晴れた日に傘を貸しましょう」というところのようだ。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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