03. 2014年1月25日 00:14:15
: vHAvyYfkIo
アルゼンチン・ショックが日本にも波及、世界経済への自信は堅持 2014年 01月 24日 15:59 JST[東京 24日 ロイター] -アルゼンチンに端を発した新興国通貨安が日本にも波及している。リスクオフムードが強まり、株安・円高が進行。日経平均は節目を割り込んだ。 米金利上昇を警戒し新興国から資金が流出した昨年5月と違い、今回は米金利は低下しており、昨年と異なる様相もみせている。ただ、今年を通じてみれば、先進国を中心にグローバル経済は堅調とみられており、大規模な信用収縮には至らないとの見方も依然強い。 <13年ぶりの衝撃> 材料にされたのは下振れした1月の中国PMI(中国製造業購買担当者景気指数)だったが、世界的なリスクオフの引き金を引いたのはアルゼンチンだ。同国中銀がペソ支援の介入を止める姿勢を支援したことで、ペソが急落。下落率は11%と1日としては2002年の金融危機以来最大の下げとなった。 中銀がペソ介入を断念したのは、これまでの相次ぐ介入で同国の外貨準備が294億ドルと小さくなっており、介入を今後も続けることは難しいという台所事情のためだ。同国のインフレ率は公式には10%程度だが、民間の推定では25%を超えるとの指摘もある。ペソの急落でハイパーインフレへの懸念も強まってきた。 アルゼンチンは、2001年に債務不履行(デフォルト)宣言をし、世界の投資家に深いダメージを与えた。その後、一時的に経済は回復したが、最近は高いインフレ率などにより内需が疲弊。経済が一段と悪化している。 ペソの急落は、トルコリラなどもともと弱い通貨だけでなく、南アフリカのランドなど多くの新興国通貨の売りに波及。マーケット全体のリスクオフにつながり、米ダウ.DJIは175ドル安、ドル/円も一時102円台まで円高が進行した。日経平均.N225の下げは一時400円を超え、節目の1万5500円を割り込んだ。「日本株にもマクロ系のグローバルファンドからの売りが出ている」(米系証券)という。 <昨年と違う米金利低下での資金流出> 新興国からの資金流出は昨年5月にもあった。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和策の縮小を示唆したことで米金利が急上昇。過剰流動性の縮小懸念から、投資家が新興国から資金を引き揚げたためだ。 だが今回、米金利は低下している。米10年債は23日の市場で一時2.759%と6週間ぶりの低水準をつけた。昨年5月と異なり、今回は実際にテーパリング(米量的緩和縮小)が始まっており、その影響への警戒感はあるが、金利高予想が高まっているわけではない。むしろリスクオフによる米株下落で、安全資産である米国債に資金が流れ込んでいる形だ。 このため「今回の方が心配」(三菱東京UFJ銀行・金融市場部戦略トレーディンググループ次長の今井健一氏)との声もある。前回は、米利上げは当分先との見方が広がるに従い資金流出も止まったが、今回は一部の新興国への懸念が強い。アルゼンチンの国内総生産は約4700億ドルと日本の九州よりやや大きい程度。同国の経済減速自体が世界経済全体に与える影響は限定的だが、13年前のように、金融マーケットを通じて悪影響が及ぶおそれがある。 <米経済への自信は揺るがず> 一方で、実体経済が悪くなっているわけではない。国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済の成長率予想を10月時点の3.6%から3.7%に引き上げた。見通しの上方修正は約2年ぶり。15年は3.9%を見込む。新興国経済は低調だが、先進国が成長のバトンを引き継ぐとの見方を示している。 前日の米市場でも「パニック的な動きはみられなかった。マクロ的なリスクを落とす動きが中心だった」(国内証券の米支局)という。23日の米株市場で下落率が大きかったのは景気敏感株よりも金融株だ。「1─3月期は在庫調整で米経済は鈍化する見込みだが、今年は財政面からの圧迫要因が消えるため、米経済は順調に成長する」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)と、米経済への信頼は揺らいでいない。 製造業PMIの下振れが懸念された中国だが、24日の上海総合指数.SSECはプラスで推移。構造改革を進める同国の成長率が今年低くなるかもしれないという懸念は、今に始まったことではない。中所得層に消費は順調に拡大しており、中国需要を反映させやすいベースメタルの価格も上昇している。 世界的な株安は、昨年末に広がった過剰な楽観をベースにしたリスクオン・ポジションの巻き戻しの範囲内を出ていないとの強気な見方は依然多い。 また、BNPパリバ証券・債券調査部EMKストラテジストの前島英彦氏は、「昨年5月のときも、経常赤字や財政赤字、外貨準備などが悪い国とそれ以外の国で影響は二極化した。投資家はそれを覚えており、すべての新興国から資金を引き揚げることはないだろう」との見方を示している。 (伊賀大記 編集:田中志保) http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA0N05020140124?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0 |