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円安ドル高。喜んでばかりはいられない=東京・東新橋の外為どっとコム
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140122/ecn1401220726003-n1.htm
2014.01.22
「これ以上の円安は望まない」
日本商工会議所の三村明夫会頭(新日鉄住金相談役名誉会長)は、年頭の会見でこう指摘した。
安倍政権発足から1年あまり。円は対ドルで2割ほど安くなり、株価は6割超もの上昇を記録した。
円安と株高がシンクロする相場は企業業績を押し上げ、消費者のマインドにも明るさが戻りつつある。にもかかわらず財界からは早くも過度な円安を警戒する声が聞かれ始めた。それは実体経済の回復を伴わない中で、通貨「円」が安くなり続けることへの漠たる不安からきている。
「安倍政権発足時から約20%の円高是正が進んだにもかかわらず、輸出数量の増加はほとんどみられていない。現下の景気回復を牽引しているのは、もっぱら家計の支出と公共投資である」と慶応大学の池尾和人教授は指摘する。
実際、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は昨年11月に過去最大の1兆2543億円の赤字となった。貿易赤字は17カ月連続で、比較可能な1979年以降で最長を更新した。震災に伴う石油・ガスなどの輸入増が主因だが、期待された輸出は円安にもかかわらず「自動車が伸びたほかは、目に見えた改善品目は見当たらない」と大手商社幹部。市場では「今後も輸出は伸びず、Jカーブ効果も表れない可能性が高い」と危惧されている。
Jカーブ効果とは、円安に伴い輸出代金の減少から貿易収支は一時的に悪化するものの、しばらくすれば円安効果から輸出が増加し、貿易収支も改善するという経済理論だ。
しかし、新興国の成長鈍化や米国の金融緩和縮小もあり、予想通り輸出が伸びていくかは不透明と言わざるを得ない。
貿易収支の悪化に伴い、モノやサービスなど海外との取引状況を示す経常収支は昨年10月、1年9カ月ぶりに1279億円の赤字に転落した。さらに翌11月には5928億円まで赤字幅が拡大し、危機が予感され始めている。
「このまま赤字が定着すれば、通年で経常赤字に転落する日もありえる」(エコノミスト)とみられている。
経常赤字が恒常化するとは、平たく言えば「海外から借金をしなければ日本はやっていけなくなること」を意味する。日本は確実に貧乏になっていっているようなものである。
その時、日本の通貨「円」はどうなるか、円高是正に浮かれているまではいいが、このまま衰退する日本では、いずれ「本当の円安」という怖い状況が出現しかねない。財界から聞かれる「これ以上の円安は望まない」との声は、その不安を嗅ぎ取っているかのようだ。
4月には消費増税を控えている。安倍政権は経済界に賃金の引き上げを働き掛けているが、中小企業の反応は鈍い。賃金の上昇幅が3%の消費増税に追いつかなければ実質賃金は目減りし、消費は落ち込みかねない。
その反動を和らげるためにさらなる追加緩和と財政出動が繰り返されるのか。アベノミクスの第3の矢「成長戦略」が鍵を握る。
■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。
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