01. 2014年1月21日 14:16:58
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13年中国石油需要は1.6%増にとどまる、景気減速が背景 2014年 01月 21日 10:56 JST 1月20日、2013年の中国の石油需要は、景気減速を背景に前年比1.6%の伸びにとどまった。四川省遂寧で2010年8月撮影(2014年 ロイター) [北京 20日 ロイター] -20日公表のデータによると、2013年の中国の石油需要は、景気減速を背景に前年比1.6%の伸びにとどまった。
伸びの鈍化は予想はされていたが、世界の原油価格の圧迫要因となる可能性がある。 2013年の中国の石油需要は前年比1.6%(15万バレル)増の日量978万バレル。ロイターが政府発表の暫定データと未改定の2012年の数字から算出した。 1.6%の増加は国際エネルギー機関(IEA)の予測の3.8%を下回っている。一方中国石油天然ガス集団(CNPC)は先週、2013年の石油需要の伸びは1.7%としていた。 12月の石油需要は日量1006万バレル。過去最高だった前年同月の1088万バレルから7.5%減少したものの、11月の994万バレルからは1.2%増加した。 ロイター算出の石油需要は、国内製油所での精製量に主要石油製品の純輸入量を加えたもので、中国政府がほとんど公表しない在庫変動データは除外している。
投資家が世界経済に5年間で最も楽観的、59%が「改善」-調査
1月21日(ブルームバーグ):投資家が世界経済に対してこの約5年間で最も楽観的な見方を示していることが、世論調査「ブルームバーグ・グローバル・ポール」で明らかになった。米国が主導する先進国の回復が追い風になっている。 調査はスイスのダボスで今週開かれる世界経済フォーラム(WEF)年次総会を前に先週実施。調査対象となったブルームバーグの契約者の59%が景気見通しが改善していると回答。昨年11月の33%から上昇し、2009年7月に調査を開始して以降最も楽観的な結果となった。 世界経済の見通しに対して1年前よりも前向きになったと答えた66%の回答者のうち、約3分の2が先進国経済の力強さを主な理由に挙げた。また、S&P500種株価指数はこの1年ですでに約24%上昇しているものの、資産バブルの懸念が後退しているため、半分以上の回答者が資産の中で株式を選好していると答えた。 米経済が改善しているとの回答の割合は72%と、1年前の53%から上昇。ユーロ圏が改善しているとの回答は49%と、昨年1月から3倍に増え、11年9月にこの設問が始まってから最大となった。日本が改善しているとの回答は48%だった。中国経済については、改善しているが13%だったのに対して、悪化しているは36%。約半数は安定しているとの回答だった。 調査はブルームバーグの契約者である477人の投資家、アナリスト、トレーダーを対象に米調査会社セルザーが今月16−17日に実施。誤差はプラスマイナス4.5ポイント。 原題:Investors Most Upbeat in 5 Years With Record 59% Bullishin Poll(抜粋) 更新日時: 2014/01/21 09:41 JST デフレ脱却、逆戻りのリスク残る=甘利経済再生相 2014年 01月 21日 12:21 JST [東京 21日 ロイター] -甘利明経済再生担当相は21日、足もとの経済状況に関し「まだデフレの状況に戻るリスクは残っている」と述べ、政府としてデフレ脱却を宣言するには時期尚早との認識を示した。同日午前の記者会見で語った。 政府は、12月の月例経済報告で2009年11月から使ってきた「デフレ状況」との表現を4年ぶりに削除したが、デフレ脱却を宣言するには将来にわたりデフレに逆戻りしないかなどの見極めが必要になる。 甘利氏はこの日の会見の中で「きょうの時点で言えば、デフレの状況からは脱した」とする一方、「ふたたびその状況に戻らないか、デフレ状況を完全に脱却できたかと言えば、まだ戻るリスクが残っている」と述べ、政府としてデフレ脱却を宣言するにはまだ時間がかかるとの認識を示した。 また、甘利再生相は、物価上昇を超える賃金上昇が鮮明になれば「(経済全般の)好循環が自動的に回りだす」と強調。3月の春闘を見極める考えも示した。 (山口 貴也)
アングル:賃上げは名目総報酬が焦点、物価上昇下回るリスク 2014年 01月 21日 11:10 JST [東京 21日 ロイター] -アベノミクスの動向を大きく左右する今年の賃上げについて、政府は名目総報酬の前年比増額に焦点を当てる方針だ。今年4月からの消費増税後の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の前年比上昇率が3%前後となる可能性が高いため、出来る限り名目総報酬の増加額が前年比3%に近づくことを期待している。
ただ、民間試算では1.5%増にとどまると予想されており、物価上昇分を補い切れない公算が大きい。このため21013年度補正予算案に計上された公共事業やその他の対策、株高などの資産効果で下支えができなければ、4─6月期だけでなく7─9月の国内総生産(GDP)も前期比マイナスとなり、来年10月の消費税10%への引き上げが困難になるシナリオの可能性が高まることになる。 <物価は3%上昇、名目総報酬増は1.5%程度> 安倍晋三首相の強い働きかけを受け、大企業・製造業を中心にこの春の賃金改定でベースアップを容認するところも出てきた。政府関係者の中には「今年はベアを実施する企業も増えてきたので、定期昇給と合わせて3%程度は上がる可能性もありそうだ」と楽観的な声も出ている。 第一生命経済研究所・主席エコノミストの新家義貴氏の集計では、春闘の賃上げ率は概ね2%程度となっている。同研究所によれば2%台に乗るのは13年ぶり。ほぼ定期昇給分のみだった昨年までとは異なり、一部企業でベースアップが実施される動きが、上昇率を押し上げる勢いとなっている。 ただ、中小企業や業績に余裕のない企業はベアが難しく、実際にベアの恩恵を受ける雇用者は全体から見ればごく一部に過ぎない。政府関係者の中では「ベアを中心に評価するのはちょっと厳しすぎる」として、「ボーナスや時間外手当、雇用者増加も含めて、名目総報酬の増加で物価上昇分にできるだけ近づけばよしとする」との声が広がりを見せている。 目安となるのは、4月の消費税率引き上げ後に想定される14年度3%台の物価上昇に見合う所得アップだ。 足元の物価上昇率が1%台、消費増税分の価格転嫁が2%程度との想定されている。所定外給与が足元では大きく伸びているほか、常用雇用者数が1%程度増えている。夏のボーナスも増えそうだ。 こうした近年にない所得環境の好転から、国民全体の名目総報酬で1─2%程度増加してもおかしくないと見られている。3%の物価高の影響をある程度緩和できるというのが政府の読みだ。 それでも物価上昇分には及ばない。JPモルガン証券の試算では、雇用・所得環境の好転を見込んでも名目総報酬は1.5%程度の増加となりそうだ。「従来と比較すれば相当大きな増加幅だが、物価上昇分には及ばず、実質的には所得は目減りする。あとは株高やマインド効果でどこまで消費を支えられるか」(シニアエコノミスト・足立正道氏)と、4月以降の景気を展望する。 <政労使共同文書でボールは企業サイドに> 政府の目論見の実現に向け、企業経営者に責任を自覚させる仕掛けも設けた。年の瀬を迎えた昨年12月20日、賃金アップを目指す政労使会議が賃上げに向けた取り組みについて合意文書を公表した。政労使の3者が一致協力して賃上げに取り組むとしているが、その内容をよく読めば、復興特別法人税の前倒し廃止や所得拡大促進税制(賃金総額を増やした企業を対象とした減税実施の仕組み)の拡充、賃上げ状況のフォローアップ・公表など政府ができることを約束し、あとは労使、特に企業の賃上げの取り組みにかかっていることを示す内容となっている。 「政府は義務を果たしているので、あとは労使にボールを投げたということ」──。政府関係者はこの共同文書の意味をこう語る。 もっとも賃上げの対象となるのは、基本的に正規雇用者に限られる。全体の4割近くを占めるといわれる非正規雇用者にはその恩恵は及ばない。足元では派遣もアルバイトも時給が上昇傾向にあるとはいえ、所得水準が正規起用者と比べ格段に低いことや、景気の波を受けやすい雇用形態という点を勘案すると、消費増税の影響はより大きくなるとみるべきだろう。このため政労使の共同文書でも、非正規雇用者の処遇改善は、これからの課題として明記し、取り組みを約束している。 <次の消費増税が念頭、7─9月プラス成長の行方が分岐点に> ここまで念入りに政府が企業に賃上げを迫るのは、デフレ脱却へ道半ばという状況で消費増税を原因に景気を腰折れさせる訳にはいかないことに加え、次の消費増税が控えているという事情もある。 安倍首相は昨年末、「消費税の引き上げによっていったん景気が落ち込んでも、来年7─9月には今の景気の勢いに戻れるようにする」と発言。「次の増税は、7─9月の景気が回復するかどうか、経済指標などの数字を確認してから判断する」と述べており、1四半期での回復回復を目標にしている。 今のところ、民間エコノミストの見通しでも7─9月の成長率は年率2%近くまで回復しそうだ。5兆円の経済対策が打たれ、即効性のある公共工事が支えるほか、春闘での賃上げも消費の落ち込みを緩和する。何よりも株高が続き、マインドが悪化しないとしていることも強気の背景となっている。 ただ、公共工事は契約から実施に至るまでに時間がかかることが多く、現在は建設業の人手不足や資材値上がりが目立ち、政府内には「予定通りに即効性が出るかどうか不安もある」という見方も出てきた。 加えて内需の落ち込みをカバーすべき外需の回復もはかばかしくない。「増税後の落ち込みは1四半期で回復するというのがメーンシナリオ」とする政府の読み通りにいくかのかどうか、高いハードルがいくつもアベノミクスの前方に待ち受けている。 (中川泉 編集:田巻一彦)
日銀サーベイ:2%物価目標の「可能性」高まる−追加緩和時期も後退 1月21日(ブルームバーグ):日本銀行の2%物価目標について、足元で物価が着実に上昇していることからエコノミストの間でも実現の可能性が高まっているとの声が出始めている。そうした見方に呼応するように、4−6月に追加緩和が行われるとの見方も後退しつつある。 エコノミスト36人を対象にブルームバーグ・ニュースが行った調査で、全員が21、22日の金融政策決定会合で政策の現状維持が決まると予想した。追加緩和の予想時期としては、消費税率引き上げ後の4−6月が12人(33%)と依然として最多の回答となった。もっとも、昨年10月2回目の会合前は56%、11月会合前51%、12月会合前37%と、回を重ねるごとに水準を切り下げているのが実情だ。 昨年11月の消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)は前年同月比1.2%上昇と6カ月連続で上昇。事前予想を上回り、伸び率は2008年10月以来の水準となった。景気回復は地方にも波及しており、日銀が16日発表した地域経済報告では全国9地域が「回復」を宣言。会見した櫛田誠希・大阪支店長は「消費税率引き上げ前の駆け込みの反動を乗り越えていくモメンタムが着実に強まる方向にある」と述べた。 調査では、コアCPIが「2015年度までの見通し期間の後半にかけて2%程度に達する」という日銀の見通しが実現するか、という質問に対しては「はい」という回答が引き続き2人にとどまった。一方で、2%実現の時期は「見通せない」との回答は15人(42%)と、ここでも前々回(49%)、前回(46%)から徐々に水準を切り下げている。 メーンではないが「可能性」高まっている バークレイズ証券の森田京平チーフエコノミストは、2%実現は「メーンシナリオにはなっていない」としながらも、「昨年見ていたよりも2%が達成される可能性自体は高まっている」と指摘する。キャピタル・エコノミクスのマルセル・シーリアント氏も「メーンシナリオは変わっていない」としながらも、「サービス価格が03年以来の高水準に達しており、もはや円安に反応して財価格が上昇しているだけではない」と指摘。物価目標が実現する「可能性が高まっている」とみる。 シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「日本の輸入浸透度が円高の下で急激に高まった結果、CPIの円安に対する感応度は従来に比べて格段に高まっている」と指摘。「明確な円安基調が続く場合、コアCPIが前年比2%に接近する事態も想定される」という。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長やみずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストも、2年で2%の物価安定目標が実現する可能性が「高まっている」と指摘。大和総研の熊谷亮丸チーフエコノミストは「物価安定目標実現の可能性が次第に高まっている点には留意が必要だ」という。 「2年」の期限を先送りも もっとも、懐疑的な見方も根強い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは「2%物価目標は1年前と比べれば、円安・株高が進行した分、『可能性』は高まっている」としながらも、「安定的な2%達成の鍵を握る賃金上昇については、その持続的な上昇の可能性はあまり高まっていない」と指摘する。 物価目標の実現可能性が高まっているとの見方が増えつつある一方で、達成期限である「2年」を先送りするとの見方も引き続き根強い。白井さゆり審議委員は7日にシンガポールで行った講演で「2%程度の達成期間については現段階では不確実性が高い」と指摘。その上で「2年程度よりもやや緩やかなペースでの2%実現を目指した緩和が望ましいと判断されることもあり得る」と述べた。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「『2年程度で』の部分は実態としては達成困難であり、達成のめどとなる時期は7月の中間評価か10月末の展望リポートで先送りされるだろう」とみる。モルガン・スタンレーMUFG証券の山口毅エコノミストも、7月もしくは10月の決定会合で「達成時期を後ずれさせる」と予想する。 執行部は「2年程度」にこだわり 日銀審議委員には、白井氏のほかにも2年程度での実現は難しいという見方が複数存在している。木内登英審議委員は昨年11月26日の講演で「2年程度という短い期間で2%の物価安定の目標を達成することは容易でないだけでなく、適当でもない」と述べた。 しかし、日銀執行部はあくまで「2年程度」へのこだわりを捨てていない。黒田東彦総裁は昨年12月3日、名古屋市で会見し、2年程度で2%に達しない場合の対応について問われ、「上方あるいは下方のそれぞれのリスクが顕在化しようとする、あるいは顕在化する事態になれば、それに対応した適切かつ十分な措置は取る」と言明。2%の実現が大きく後ずれする場合、追加緩和を辞さない姿勢を示している。 日銀ウオッチャーを対象にしたアンケート調査の回答期限は15日午前8時。調査項目は、@今会合での金融政策予想A追加緩和時期と手段や量的・質的金融緩和の縮小時期、「2年で2%物価目標」実現の可能性、目標修正の可能性B日銀当座預金の超過準備に対する付利金利(現在0.1%)予想Cコメント。 更新日時: 2014/01/21 06:00 JST
債券は反落、国内株高や5年債入札で売り優勢−日銀会合の見極めも 1月21日(ブルームバーグ):債券相場は反落。国内株式相場が上昇していることやきょう実施の5年債の入札に伴い、売りが優勢となっている。 東京先物市場で中心限月の3月物は前日比横ばいの144円30銭で開始。直後から下げに転じ、株式市場でTOPIX が上げ幅を拡大すると水準を切り下げ、144円15銭まで下落。午前終値は12銭安の144円18銭だった。現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の332回債利回りは同0.5ベーシスポイント(bp)高い0.665%で開始し、午前10時半すぎに0.67%を付けた。5年物の116回債利回りは0.5bp高い0.21%。 この日午前実施の5年利付国債の入札では、表面利率(クーポン)は前回債と同じ0.2%となった。前回入札の5年物116回債と銘柄統合するリオープン発行となり、発行予定額は2兆7000億円程度。 日本銀行は21、22日の2日間の日程で金融政策決定会合を開催する。国内景気は回復基調にあり、今回の会合で金融政策の据え置きが決まる見込み。エコノミスト36人を対象にブルームバーグ・ニュースが行った調査では全員が現状維持が決まると予想した。 野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「このまま価格調整なく臨めば、5年債入札としてはやや慎重な結果になるかも知れない」と指摘していた。「ディーリング余地が乏しいことやあすの日銀会合の最終日では、物価見通し上方修正や総裁会見での景気強気論など追加緩和を否定するようなメッセージを警戒しなければならない。結果発表日には買いオペを実施しない慣例があることも、短期ディーリングを行う向きにとっては躊躇(ちゅうちょ)する材料になる」と説明した。 今回の同入札について、JPモルガン証券の山下悠也債券ストラテジストは、「5年債利回りは0.18−0.22%の推移が続く見込み。年末は市場の流動性が薄い中で0.245%を付けたが、0.2%付近では投資家から一定の需要が期待される」としている。
更新日時: 2014/01/21 11:10 JST 財務省:5年利付国債入札、最低落札価格99円96銭(表) 1月21日(ブルームバーグ):財務省が21日に実施した表面利率0.2%の5年利付国債(116回債券、1月債)の価格競争入札の結果は、最低落札価格が99円96銭(最高利回り0.208%)、平均落札価格は99円97銭(平均利回り0.206%)となった。(金額の単位は10億円)
PIMCO:物価連動債もはや投資妙味薄い、流動性プレミアム不足(2)
1月21日(ブルームバーグ):債券ファンド世界最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は、日本の物価連動国債はもはや投資妙味が薄れたと評価している。インフレ予想が相応の水準まで織り込まれる一方、流動性リスクプレミアム(金利上乗せ幅)は不十分だとみているためだ。 ピムコジャパンのポートフォリオマネジメント責任者、正直知哉氏は「2012年暮れから昨年中は非常に妙味があると思っていた」が、今や「流動性リスクプレミアムを考慮すると、必ずしもそれほど安くない」と分析。投資家は同プレミアムを「もっと求めるべきだ」と述べた。逆に同プレミアムが乗っていると考えると、市場が織り込む予想インフレ率は「むしろ安くない水準だ」とも語った。 消費者物価が約5年ぶりの上昇率となる中、10年物の固定利付国債と物価連動債の利回り格差(ブレークイーブンレート、BEI)が示す市場の予想インフレ率は、17日に1.12%と昨年10月以降で最高を記録した。正直氏は16日のインタビューで、消費税率を予定通り10%に引き上げた場合、増税の影響を除くBEIは約0.7%になると試算。予想を超える円安進行などがない限り、今後2−3年間のインフレ率は年平均0.7−1%程度との見通しを示した。 正直氏は昨年1月のインタビューでは、発足直後だった安倍晋三内閣のリフレ政策を考慮すると「物価連動国債にはポジティブだ」と発言。今年4月の消費増税を前提にすれば割安だと評価していた。米バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチの指数によると、日本の物価連動債は足元までの約1年間で年率4.5%の収益をもたらした。通常の固定利付債は同0.8%にとどまった。 強烈なリフレ政策 消費者物価が上昇すると元本・利払いが増える物価連動債は、財務省が04年3月に発行を開始。デフレの進行による市場低迷を受けて08年8月を最後に休止した。昨年10月に再開し、今月9日に今年度2回目の同入札を実施した。政府の14年度国債発行計画では1.6兆円に増額し、年度中に需要増が確認できれば追加発行も検討する。厚生労働省は先月20日、世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が4月以降に物価連動債を購入する方針だと発表した。 日銀は2%の物価目標を2年程度で達成するため、月7兆円強の長期国債を買い入れる「量的・質的金融緩和」を4月に導入。円の対ドル相場は昨年の下落率が約18%と1979年以来の大きさを記録し、今月2日には08年10月以来、初めて1ドル=105円44銭まで下げた。日経平均株価は昨年57%高と、田中角栄内閣の誕生で日本列島改造論に沸いた72年以来の上昇。全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は昨年11月に前年比1.2%と08年10月以来の上昇率となった。 正直氏は世界経済の実質成長率が今年2.75%と昨年より高まると予測。連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始めた米国は2.5%、「強烈なリフレ政策」の日本は1.25%とみる。15年10月に予定される10%への消費税率引き上げを何としても実施するため、4月の消費増税で景気が予想以上に減速すれば追加金融緩和に加えて、財政出動の可能性も「十分にある」と読む。 円安で日米金利の相関復活 米量的緩和の縮小は新興国を巡る投資資金の流れなどに動揺をもたらす恐れがある一方、金融政策の方向性の違いを背景に円相場は今年10%程度下落すると、正直氏は予想。「円安に引きずられる形でインフレ率が1%程度に上昇する」と読む。日本国債は日銀による巨額の買い入れが「極めて強力な相場支援要因であり続ける」としながらも、昨年崩れていた日米国債利回りの相関関係が今年は復活に向かうとみる。 長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは足元で0.67%程度と世界最低。市場の見通しが当たれば「債券価格の値上がり益は期待薄で、金利収入もわずかだ」と正直氏は指摘し、1%程度の持続的なインフレを想定するなら「投資家はインフレに対するリスクプレミアムを徐々に求めていく」と予想した。 アベノミクスの終着点 正直氏は金融緩和と財政出動、成長戦略を掲げる「アベノミクスの終着点」として望ましいのは「実質2%・名目3−4%の持続可能な経済成長」であり、「悪いシナリオはインフレ進行か財政リスクの顕在化だ」と指摘。日銀が前例のない金融緩和からの出口を迎える局面で「名目金利を無理やり抑え込む一方でインフレ加速を招くか、インフレ抑制の優先で金利が大幅に上昇するかの二者択一を迫られると相当厳しい」と読む。政策対応として「金融抑圧」の採用もあり得ると言う。 ただ、こうした「終着点は14年には訪れない。今年は終着点に賭けた取引をすべきではない」と指摘。デフレに逆戻りする確率は、少なくとも黒田東彦総裁の任期中は低いとみる。また、デフレ回帰以外の全てのシナリオで円は売りだと予想する。 正直氏は米量的緩和縮小の観測と実施で、世界的な「株高・債券高には終止符が打たれた。株と債券の逆相関が戻ってくる」と分析。デュレーション(平均残存年限)リスクを取る環境ではないとし、「特に短期セクターでクレジット物を含め、キャリーを取っていきたい」と語った。日本国債についてもデュレーションリスクを抑え、日銀による巨額の国債買い入れオペで歪んでいる利回り曲線上で「相対価値を取りに行く」手法などを推奨した。 20年債割安、12−15年は割高 年金や保険会社など契約者から長期の円資金を預かる国内投資家は「外貨建てやリスク資産の保有には限度があり、国内債をある程度は持つ必要がある」とも正直氏は指摘。超長期債では「20年債が割安で12−15年は割高、30年債と40年債も20年債と比べると割高だ」と述べた。10年債は「周辺に対して極めて割高だ」と語った。 正直氏は、成長戦略は「構造改革や規制改革などで潜在成長率を引き上げていく政策だが、短期的にはデフレ的な影響を持つ」と指摘。需要不足でデフレに悩む日本経済には金融緩和と財政出動による景気刺激を先行させるのが「政策発動の順番として極めて適切だ」と言う。ただ「外国人投資家が抱く期待と既得権益による政治的な制約という現実のギャップ」が株式の失望売りなどを招いた場合、改革遂行に必要な安倍内閣の政治的資源が損なわれる恐れがあると懸念を示した。 円安・株高の反転や消費増税後の予想を超えた景気悪化、世界的な投資資金の動揺などのリスクが現実化した場合、日銀が追加緩和に動こうとしても実施できないなら「真のリスク」になるとも指摘。賃上げが進まないうちに輸入インフレという円安の弊害に批判が高まったり、さらなる円安進行に海外からの懸念が相次ぐ可能性もあると述べた。 更新日時: 2014/01/21 12:21 JST
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