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(画像はLBMAのウェブサイト)
ドイツ銀行が金値決め業務から撤退へ 〜再燃する金価格操作疑惑〜
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kosugetsutomu/20140120-00031806/
2014年1月20日 18時42分 小菅努 | 大起産業(株)情報調査室室長/商品アナリスト
ドイツ銀行(Deutsche Bank)は1月17日、「コモディティ業務の大幅な縮小に続いて、金と銀の指標価格設定プロセスから撤退する」方針を示した。
各種メディアが匿名の関係筋の話として「ドイツ銀行は金と銀の指標価格設定から撤退する方針」と一斉に報じたことを受けての発表である。金・銀の値決めを行う参加者資格の売却に加えて、金フォワード・オファード・レートの申告も止める可能性が指摘されている。
金価格は世界各地の取引所で価格形成が行われており、国内でも東京商品取引所(TOCOM)が1グラム当りの円建て金価格を刻一刻と決定している。ただ、金の国際取引は1オンス当りのドル建てが標準であり、世界の金現物業者や金融機関、中央銀行などの間では、ロンドン地金協会(LBMA)が1日二回発表している「London Gold Fixing」が指標価格として重視されている。
この「London Gold Fixing」は1671年から発表が行われており、かつてはロスチャイルドの黄金の間で各行が注文を出し合い、需給のバランスが取れる金価格を指標として発表していた。現在は、金の場合だとSociete Generale、Scotiabank、HSBC、Deutsche Bank、Barclaysの5行が値決めの参加資格を有しており、それぞれ金価格形成に極めて強い影響力を有している。
■コモディティ事業撤退からの一貫?
では、なぜドイツ銀行はこの業務からの撤退を検討しているのだろうか?
公式な発表では、「コモディティ業務の大幅な縮小」の一貫と説明されている。大手金融機関は伝統的にコモディティ事業も展開してきているが、米政府が自己勘定売買と並んでコモディティ事業に対しても規制を強化するなか、同業務の縮小や売却、撤退といった動きが活発化している。
この問題は、当初は2000年代中盤から後半にかけて原油や穀物価格が急騰した対応策として議論されてきたものだった。特に、08年に石油製品や食糧価格が軒並み過去最高値を更新する展開になると、金融機関がコモディティ市場に過剰な投機資金を流入させているのが「犯人」とされ、規制議論に拍車が掛かった。
こうした投機犯人説は各種研究で否定されることが多いが、その後も金融機関の経営リスクを高めることで金融危機再発につながる、金融機関のコモディティ事業が価格形成をゆがめているといった議論に形を変えながら、最終的には金融制度改革法(ドット・フランク法)という形でコモディティ事業に対する規制強化の動きに至っている。
主要金融機関は貴金属保管業務や石油トレーディング業務などからの撤退を進めており、コモディティ事業そのものを売却する動きも活発化している。ドイツ銀行もその例外ではなく、既に昨年12月5日時点にコモディティ取引事業から全面撤退する方針を示しており、今回の決定もその流れの一貫というのが一般的な見方である。
ロジックとしては、「コモディティ事業の規制強化→コモディティ事業からの撤退→金値決め参加資格の売却」という流れは、特に問題はない。
■隠されたテーマ
しかし、金市場関係者の間では、もう少し穿った見方も根強い。それが、金価格操作疑惑を巡る捜査が本格化していることを受けて、慌てて「London Gold Fixing」関連業務からの撤退を決めたのではないかとの観測である。
指標価格に関しては、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の不正操作が一代スキャンダルに発展したことは記憶に新しい。複数の金融機関が各種利権への見返りとしてLIBORを不正操作して、一部金融機関がローン業務などで不当な利益を計上したことが明らかになっている。これによって巨額の罰金を課せられた金融機関もある。
ここまでは一般にも広く知られているだろうが、実際にはその後も各種指標価格の操作疑惑が調査されており、その一つに「London Gold Fixing」の名前も挙がっている。
例えば、昨年12月にドイツ連邦金融監督局(Bafin)はドイツ銀行に対してこの問題に関して文書提出命令を出したと言われており、英金融監督局もこの問題について調査を開始していることが確認されている。具体的な調査状況は明らかにされていないが、欧州規制当局のみならず米商品先物取引委員会(CFTC)も金価格捜査疑惑の調査に着手したことを明らかにしており、今後の捜査状況によっては第二のLIBOR問題に発展する可能性もある。
技術的なことを言えば、単純な聞き取り調査で決定されていたLIBORとは違い、「London Gold Fixing」は値決め方式で決定されているため、価格操作は容易ではない。一社が実勢と乖離した価格形成を目指しても、それは寧ろ自社の損失になるだけの可能性が高いためだ。
ただ、僅か5行によって「London Gold Fixing」が決定されているのも事実であり、ドイツ銀行の金値決め業務からの撤退報道は、様々な観測を呼び起こしている。
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