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http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140120-00000500-biz_san-nb&ref=rank
SankeiBiz 2014/1/20 06:00
パナソニックは平成20年に松下電器産業から社名を変更したが、中国の現地統括会社の漢字表記社名だけはいまでも「松下電器(中国)有限公司」を使っていることは日本ではあまり知られていない。同社は昭和62年、日中間で初の大規模な合弁企業を北京に設立するなど関係を築いてきたこともあり、現地で知名度の高い松下の名を残した経緯がある。ただ一昨年の反日デモで襲撃され、神通力も揺らぐ。それでも中国での社名変更はないといい、関係者は「松下を明け渡せばパクリ業者が堂々と本家を名乗る」と打ち明ける。
「いまだに標的にされた理由が分からない。松下として狙われたのなら中国に対する態度を考え直さないといけない」。パナソニック関係者は、こう嘆く。昨年9月、中国の反日デモが暴徒化し、山東省や江蘇省のパナソニック工場も襲撃された。戦後いち早く中国に工場進出し、その近代化に協力するなど「特別な関係」を築いてきたとの思いのあった関係者に衝撃を与えた。
そもそも、副首相だったトウ小平氏が昭和53年に大阪府茨木市のテレビ工場を訪ね、パナソニック創業者で当時相談役の松下幸之助氏に「中国の近代化を手伝ってくれませんか」と頼んだのがきっかけだ。幸之助氏は「できる限りお手伝いします」と応じた。
翌54年に北京に駐在員事務所を開設、62年には北京にブラウン管製造の合弁会社を設立するなど日本企業として戦後初めて中国に進出。その後も次々と合弁会社の設立を進め、「世界の工場」と呼ばれる経済大国になることに助力したことで知られる。これらの経緯を知る中国では、松下になじみのある消費者が根強いのだという。
そのような歴史的な背景もあって、パナソニックは「現地での松下の知名度の高さは無視できない」と判断。社名とブランドを統一した平成20年10月以降も、中国の現地統括会社は英文社名のパナソニック・チャイナと並び、漢字表記社名としては松下電器(中国)有限公司と法人登記した。
工場が反日デモの襲撃対象となったことで、中国での“松下の神通力”に疑問符がつき、中国でも社名をパナソニックに統一する動きが加速するかといえば、そうではない。その理由について、パナソニック幹部は「ただでさえ偽ブランドが横行する中国で『松下』を外せば、模倣品メーカーが本家面して松下を名乗り、商品ブランドが混乱する恐れがある」と説明する。
中国での模倣品による企業の被害は深刻だ。中国も世界貿易機関(WTO)に加盟してからは知的所有権の侵害の取り締まりに重い腰を上げ、露骨な模倣品販売は減少している。その一方で、製造業者と印刷業者が別々にノーブランドの製品とラベルを製造し、別の店舗や倉庫で組み合わせて模倣品にするなど手口が巧妙化している。「外観などにより容易に模倣品と識別するのが難しいのが実情」(パナソニック公式ホームページ)という。
中国で製造された模倣品は中国市場だけでなく、世界各地で売られ、本家のブランドをしのぐ勢いをみせることがある。日本家電メーカーの技術をまねたエアコンが中国や欧米だけでなく、オリジナル商品が売られていないアフリカまで輸出されている。パナソニックによると、23(2011)年度に同社が模倣品の対策に乗り出した件数は456件で、そのうちの約7割を中国が占める。被害品は乾電池や固定電話、洗濯機など多岐にわたっているという。
知的所有権の侵害は、商標権や意匠権だけでなく、パナソニックや松下を使った社名を無断で登記する商号にまで及ぶ。松下電器(上海)科技有限公司というパナソニックと無関係の会社は、本家を意識した「Pascmio」ブランドで洗濯機を販売。松下電子(香港)有限公司という模倣業者も、遠目には「Panasonic」に見える「Pariascriio」ブランドを展開している。社名に松下やパナソニックを使った模倣業者は、ブランドは少し変えることで「不正はしていない」と強弁するという。
模倣品や商号侵害などには、大手家電メーカーが対策に乗り出し、中国の調査会社を使って模倣品などが流通していないかを定期的に確認する「定点観測」も続けている。パナソニックでも日常的に模倣品などのチェックを続けており、不正な社名を見つけた場合、裁判所に訴えて1件ずつ抹消させている。「1社を抹消するのに半年間かかる」(担当者)という地道な作業で24(2012)年3月末時点で262社の登録を抹消した。しかし同時点で抹消に向けた作業中の業者も29社に上っており、抹消に抹消を重ねても後を絶たないのが実情だ。
昨年9月に中国全土に広がった反日デモでは、パナソニックの工場も襲撃されたが、簡単に漢字表記社名から松下を外すことができない背景には、商品ブランドを混乱させないという切実な事情があった。関係者は、こう憤りを隠さない。「中国でモラルや恩義などと言ってもはじまらないかもしれないが、工場襲撃だけでなく、模倣品の横行も裏切られた気持ちでいっぱいだ」
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