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外国人の技能実習に頼らざるを得ない産業政策の矛盾
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140118-00031732/
2014年1月18日 11時40分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
政府の産業競争力会議の雇用・人材分野に関する分科会が中間報告をまとめ、途上国の外国人労働者を最長3年間受け入れられる技能実習制度について、期間の延長や業種の拡大を提言したと報じられています。
どう思いますか?
そうですよね、一般の方だったら、どう思うかと聞かれても、どう答えていいものやら、と。
しかし、外国人労働者を受け入れる業界にとっては、それは有難いと思うのではないのでしょうか?
何故外国人労働者の受け入れ制度が拡充されると、業界にとっては有難いのか?
例えばよく挙げられる例として、今がシーズンの牡蠣打ち作業などは、どんなに募集をかけても、仕事がきついためになかなか作業員が確保できないのだとか。
だから、そうなれば外国人に頼るしかない、と。
それに外国人ならば安い賃金でよく働いてくれますよね。だって、母国ではそのような賃金を得ることなど夢みたいなことだからです。
しかし、そうして外国人がどんどん日本に入ってくると、一般論としては日本の労働者の仕事場が奪われることも事実。もっとも仕事場が奪われると言っても、そんな仕事は嫌だと言っているのは日本の労働者たちなのですが。
それに、そうして安い労働力が入ってくるので、なかなか最低賃金も上がりにくい状況になるのです。
そのようなことを考えると、外国人技能実習という制度は、日本の雇用環境の改善に反するものではないのか、という疑問が湧いてきます。安倍総理や安倍内閣の経済閣僚の面々は、賃金の引き上げを何が何でも実現しようと躍起なのに、です。
政府がこのように賃上げに積極的になってくれて、労働者にとってみたら何と嬉しいことか!
しかし、仮に外国人技能実習の制度が拡充され、どんどん外国人労働者が日本に入ってくるようになれば、それだけ安い賃金でも満足する労働者が増えるので、賃金は益々上がりにくくなるのです。
特に単純労働の賃金は上がりにくくなる、と。
だったら、政府は、何故外国人労働者の流入を促進するようなことをするのでしょうか?
政府が賃上げを望むと言っているのは嘘なのでしょうか?
結局、彼らは全然物事を体系的に考えていないということなのです。その場その場の状況で耳触りの良いことだけを言う、と。
繰り返しになりますが、農業や漁業、或いは一部の製造業などでは、労働者の確保が難しくなっているので、外国人労働者の助けがなければなかなか産業として成り立たなくなろうとしているのです。
だから止む無く外国人労働者を受け入れざるを得ない、と。
しかし、そうして外国人労働者によって支えられる産業というのは、言ってみれば、工場を海外に移転したようなものではないのでしょうか。
確かに、日本の農業や漁業が海外に移転することはない。しかし、海外の安い労働力に頼らざるを得なくなれば、結局、農業や漁業の従事者の多くは外国人労働者になってしまうのです。
それで日本の農業や漁業が生き延びたと言えるのか? それでいいのか? そのようなことで産業の競争力が付いたと言えるのか?
いずれにしても、業界の実態としては、少しでも安い労働力に頼ろうとする力が絶えず働いていることがこれでお分かりになると思うのです。
賃金の引き上げなどそう簡単なことではないのです。
今、経済界は少しでも賃上げに協力しようというムードが高まってきていることは事実ですが、しかし、実際には賃上げどころか安い賃金でないと経営が成り立たないから、こうして外国人をもっと利用したいという声が大きくなっているのです。
以上
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