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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140117/dms1401170722004-n1.htm
2014.01.17 「日本」の解き方
日本商工会議所の三村明夫会頭(新日鉄住金名誉会長)が年頭会見で「円安になったら日本の株価が上がるのはおかしい」と発言するなど、財界は一段の円安を歓迎していないという趣旨の報道があった。経済同友会の長谷川閑史代表幹事(武田薬品工業社長)も「あまり円安は歓迎できない」と同調したという。
その背景として、円安により「原材料価格が上がる」(三村会頭)、「貿易収支の改善を考えていかないといけない」(長谷川代表幹事)ということがあるようだ。海外投資を考えている経営者にとっては、投資コストの上昇になるので、円安を好まないということもあるのだろう。
だが、実際のところ、日本経済では、円安は経済成長につながる。もちろん輸入関連業者にデメリットがあるが、メリットの方が上回る。10%の円安は0・2〜0・6%の経済成長になるというのがこれまでの実績だ。
その理由は、どこの国でも似たような話であるが、国際市場で競争している輸出関連産業は、輸入関連産業に比べると国内への関連産業への裾野が広く、大きな波及効果があるので、自国通貨安はメリットがデメリットを上回るのである。その結果、自国通貨安は国内経済を活発化し、さらに内需関連産業も潤すのだ。
こうした円安のメリットは株価にも反映する。実際、ここ7年間の日経平均株価を見ると、為替とリンクしており、円安になると株価が上昇し、その相関係数は0・87と高い。ちなみに、三村氏の出身会社である新日鉄住金の株価でも、同じ7年間で見て、円安との相関係数は0・91、長谷川氏の出身会社である武田薬品工業の株価も相関係数は0・91と高く、はっきりいえば株価の帰趨(きすう)は為替次第である。円安を嫌うのは、株主利益に反している。
一般に企業経営者は、自社の業績が為替で決まるのはあまりうれしいことではないようだ。為替は企業にとって外からの与件であって、自分の経営能力を発揮する余地がないからだ。
筆者の独断かもしれないが、戦後の高度成長の大きな要因は、1985年のプラザ合意まで為替レートが人為的に割安に設定されていたことによる輸出主導であると思っている。この観点からみれば、日本経済が為替次第なのは戦後一貫しているので、わかりやすいが、企業経営者のプライドを傷つけるのかもしれない。
円安を歓迎しない発言は経済合理性を欠いているが、むしろ同じ財界の電力会社のことをおもんぱかった政治的なものと考えれば納得がいく。原発再稼働にむけての応援発言が相次いでいるのも、この文脈でみれば理解できる。
こうした政治的な発言は、今年4月の消費税増税について楽観視することも同じだ。財界としては消費税増税の見返りとしての法人税減税を期待しているので、これはわかりやすい。いずれにしても、財界人の発言といっても、政治的なメッセージがあるので経済的なものと考えないほうがいい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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