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相次ぐ食材偽装、透けるホテル業界の厳しい経営環境〜思わぬ飛び火で揺れる関西財界(Business Journal) 
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/130.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 1 月 16 日 06:32:00: igsppGRN/E9PQ
 

相次ぐ食材偽装、透けるホテル業界の厳しい経営環境〜思わぬ飛び火で揺れる関西財界
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140116-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 1月16日(木)4時13分配信


 昨年12月19日、消費者庁は景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、阪急阪神ホテルズ、ザ・リッツ・カールトン大阪を経営する阪神ホテルシステムズと近畿日本鉄道の3社に対し、再発防止を求める措置命令を出した。対象となったのは3社合わせて15施設・55の料理店。近鉄はウェスティン都ホテル京都や奈良万葉若草の宿三笠を運営している子会社の近鉄旅館システムズが対象だ。若草の宿三笠は旅行サイトで「奈良独自の地鶏、大和肉鶏」の料理を提供するかのように宣伝したが、実際は仕入れていなかったことを消費者庁が確認し、景表法が禁じる「おとり広告」と認定した。

 メニューの偽装発覚は、阪急阪神ホテルズを皮切りに、有名ホテルや百貨店に広がり、連日のように謝罪会見が開かれた。一連の騒動で発覚した偽装表示は数十種類に上った。このうち消費者庁は、バナメイエビを「芝エビ」、一般的なネギを「九条ねぎ」、スパークリングワインを「シャンパン」、通常の野菜を「有機野菜」、サメやタラの卵を「からすみ」などと表示して提供したことについて、著しく良いものだと誤解を与える優良誤認に当たると認定した。

 これほどまでに食材偽装が広がった背景には、ホテルや百貨店内部における強いコスト削減圧力があったためといわれている。阪急阪神ホテルズの偽装が始まったのは、リーマン・ショックがあった2008年頃であり、まさにホテル業界が急激に厳しい環境下に突入した時期と重なる。

●ホテル業界の苦悩

 ホテル業界の売り上げは、06年まで増加傾向にあった。07年は横ばいだったが、リーマン・ショックを境に08年から東日本大震災が起こった11年まで減少が続いた。しかし、12年に入り東京地区のホテル稼働率は回復。さらに12年末からの円安が寄与し、外国人観光客が増加して上向きに転じた。昨年には国内の景気回復や富士山が世界遺産に登録されるなど追い風が吹き、ホテル業界はようやく息を吹き返した。

 この間にホテル業界の競争は激化した。外資系ホテルの新規参入が相次いだためだ。03年以来、フォーシーズンズ(カナダ)、グランドハイアット(米)、コンラッド(ベルギー)、マンダリン・オリエンタル(香港)、ザ・リッツ・カールトン(米)、ザ・ペニンシュラ(香港)、シャングリ・ラ(香港)、セントレジス(米)など高級ホテルが次々と開業した。

 外資系高級ホテルの進出がピークを迎えた07年には、東京のホテル業界は「2007年問題」といわれ、その直後にリーマン・ショックが重なり、氷河期に突入した。ホテルは利益が出ない業種の典型になった。例えば、阪急阪神ホテルズ、阪神ホテルシステムズを傘下に置く阪急阪神ホールディングス(HD)を見てみよう。同社のホテル事業は、国内のホテル業界のランキングでは西武グループのプリンスホテル、JALホテルズ、会員制リゾートホテルのリゾートトラスト、東急ホテルズに次ぐ第5位の規模だ。

 阪急阪神HDの13年上半期(13年4〜9月)の連結決算によると、ホテル事業の営業収益(売上高に当たる)は前年同期比0.7%減の312億円、営業利益は2億3300万円の黒字(前年同期は2億4200万円の赤字)に転換した。不採算のホテルから撤退するなどのリストラ効果と外国人宿泊客の増加で増益に転じた。12年通期のホテル事業は、阪急阪神HDの事業部門の中で唯一赤字だった。関西圏のホテルの値下げ競争が影響したためとみられている。

 ホテルが赤字から脱却する一般的な対策は、客を呼び込み稼働率を高めるべく客室の宿泊料金を下げる、利益を確保するためにコストを削減する、その手始めに人件費と食材費を削るというものだ。

 阪急阪神ホテルズ系のホテルでは、料理の原価は提供価格の10%が上限だという。営業サイドからは、客を呼べるメニューの要望が強い。コストを削減するために芝エビをバナメイエビで代用していながら、メニューでは芝エビと表示したままにする。ブランド価値を毀損しないよう対策を取ったわけだが、結果として大きくブランド価値を下げる結果となった。ごまかしの事実を公表したホテルは全国で180に達し、日本百貨店協会の調査によると、全国の百貨店の6割、132店で偽装が行われていたことが明らかとなった。

●関西財界の首脳人事に飛び火

 一連のメニュー虚偽発覚は、関西財界の首脳人事に飛び火した。阪急阪神ホテルズの出崎弘社長が記者会見で「偽装ではなく誤表示」という発言があだとなり、昨年11月1日、辞任に追い込まれたのが発端だ。親会社の阪急阪神HDの角和夫社長は昨年10月30日、関西経済連合会(関経連)を訪れ、関経連副会長としての活動自粛の意向を伝え、謝罪した。これで次期関経連会長の最有力候補と目されていた角氏の目は消えたといわれている。

 関経連会長は関西電力、住友金属工業、東洋紡績という“御三家”の指定席だった。初代から現在の14代まで、関電4人、住金3人、東洋紡4人、住友電気工業1人が務めてきた。90年代半ばからは関電と住友グループから交互に就いていた。13代が住金の下妻博氏、14代は関電の森詳介氏だ。

 だが、住金は新日鐵と合併して新日鐵住金となり、関電は原発再稼動問題で揺れる。両社から関経連会長を出すのが難しくなったため浮上していたのが、関西屈指の名門ブランドである「阪急」だった。

 阪急阪神HDは、電鉄を核に、流通の阪急百貨店、レビューの宝塚歌劇、映画の東宝でグループを形成。阪神電気鉄道との経営統合を経てプロ野球球団・阪神タイガースも傘下に収め、「阪急王国」と呼ばれる巨大企業グループとなった。

 その阪急阪神HDは、今回のメニュー偽装表示で企業イメージを大きく毀損した。阪急初の関経連会長のポストが、角社長の手をすり抜けてしまった。これにより、次期会長は住友グループの松本正義・住友電気工業社長が濃厚とみられている。

 阪急電鉄は昨年12月3日、角社長が今年3月に代表権のある会長に退き、中川喜博専務が新社長に昇格すると発表した。角氏は阪急阪神HDの社長は続投するが、同社は今回の人事と食材の虚偽表示問題は関係ないとしている。

 一連のメニュー偽装発覚は、関西財界にも大きな影響を与える格好となった。

編集部


 

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