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原発事故で壊滅した栃木の農家、「一軒でも基準超が出たら終わり」、シイタケ原木、復活を目指す(2/11 東京新聞)
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Wednesday, February 11, 2015 東京江戸川放射線
東京電力福島第一原発事故後、県内の広域で今も出荷制限が続く原木生シイタケ。最大の課題は、原木の供給源だった山林の汚染だ。事故前のような全国有数の生産地を復活させるには、安全な原木を、県内で安定的に調達できるかが鍵となる。県産原木を使ったシイタケ作りの復活を目指し、県は二〇一五年度当初予算案に、原木林の汚染状況調査費など七千四百万円を計上した。
県産の原木生シイタケは一四年十二月十日現在、二十一市町で露地栽培、九市町で施設栽培が出荷制限の対象になっている。一〇年の生産量は一三〇八・三トンで全国二位だったが、事故後の一三年は五七トンに激減。解除には、一キログラム当たり五〇ベクレル以下の原木の使用などを義務付けた県の「生産工程管理基準」に従い、放射性物質検査で国の基準(一キログラム当たり一〇〇ベクレル以下)を満たさなければならない。
特に苦戦しているのが、生産者の八割を占める露地栽培の農家だ。施設栽培では十四の農家が制限解除にこぎつけたが、露地栽培の解除は三農家にとどまる。
大半の露地栽培農家は事故前、県内の山で調達したコナラやクヌギなどの原木に種菌を植え、屋外でシイタケを育ててきた。しかし事故後は原木の安全が保証できなくなり、原木の八割が他県産に置き換わった。
ただ、他県産は安定的に調達するのが難しく、県内の原木数は一〇年の約百八十五万本から、一三年には約四十万本まで減少。多くの農家が生産再開をためらう一因となっている。
県林業振興課の担当者は「農家の多くは、原木林に汚染の心配がある限り、生産再開に歩み出せない」と指摘。そこで県は一五年度、県南部や東部の原木林で原木を採取し、放射性物質濃度を調査する。将来、再び栽培に利用できる可能性がある林を探し、県産の原木を使ったシイタケ生産再開の足掛かりにする。
また、汚染を理由に放置され、樹齢が高くなりすぎた原木林では、木が芽吹く力の低下が心配されている。将来、木の放射性物質濃度が下がったとしても、原木を安定的に調達できなくなる恐れがあるとして、県は今後、比較的線量の高い県北部などの地域で、原木林の間伐も計画している。
「一軒でも基準超が出たら終わり。仮にそれが自分の所だったら、他の農家に顔向けできない」。悲願の出荷制限解除にこぎつけたシイタケ農家の知人が以前、そうつぶやいた時の苦しげな表情が忘れられない。
消費者の信頼を完全に取り戻す日まで、農家が神経を張り詰める日々は続く。私たちの生活と密接に関わっている森林の汚染解明の第一歩としても、この取り組みに注目していきたい。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20150211/CK2015021102000176.html
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