http://www.asyura2.com/14/genpatu41/msg/717.html
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関西電力をはじめ加圧水型原発陣営は、沸騰水型原発に比べ、加圧水型ははるかに安全で
事故を起こしにくいと主張しているが、詳細を見ていくと加圧水型の危険性が明らかになってくる。
今回は、燃料交換について考えてみよう。
まず、沸騰水型原発(BWR)の燃料交換についてのおさらいから。東電のこの資料の画が参考になる。
「新潟県中越沖地震の影響について」 (東京電力 2007/8/8)
中越沖地震発生時/発生後の状況等 その2 (3ページ)
www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g70813a03j.pdf
沸騰水型の場合、原子炉と使用済み燃料プールは水路でつながっており、普段は仕切りで区切られている。
燃料を交換するときは、格納・圧力容器の上蓋を開け、水を満たし、燃料プールとの仕切りをはずす。
原子炉から燃料を取り出すには、燃料交換機を移動させ、原子炉から約4メートルの細長い燃料集合体を
引き上げ、水路の中を移動して、燃料プールのラックに挿入する。
新燃料を原子炉に装荷する場合は、逆の作業となる。
燃料は極めて強い放射線を発しており、水で遮蔽する必要があり、燃料交換は常に水中で行なう。
水中から燃料を出したら、作業員が即死してしまう。
慎重を要する作業だが、構造そのものはそう複雑ではない。
燃料集合体を引き上げて、そのまま移動し、挿入するだけである。
加圧水型原発(PWR)は構造が全く違う。
加圧水型の使用済み燃料プールは隣の建屋にあり、格納容器内のピットとは、
小さなトンネル(transfer tube)でつながっており、このトンネルを使って、燃料の出し入れを行なう。
次の資料の図が参考になる。
「福島第一原子力発電所事故に関するセミナー 第3回」
(日本原子力学会・原子力安全部会 2012/6/27)
http://www.asahi-net.or.jp/~pu4i-aok/cooldata1/un/atom3j.htm
「How is nuclear fuel moved from the core to cooling ponds?」 (Quora 2012/8/16)
http://www.quora.com/How-is-nuclear-fuel-moved-from-the-core-to-cooling-ponds
原子炉から引き上げられた燃料集合体は、格納容器内ピットの水の中で、水平に寝かせられ、
輸送装置に乗せられ、トンネルを通って、隣の建屋の使用済み燃料プールに送られる。
そして、燃料集合体は再び垂直にされ、吊り上げられて燃料ラックに挿入される。
燃料を原子炉に装荷する場合は、逆の作業になる。
燃料を垂直に立てたまま移動できるような大きな穴を格納容器に開けることはできないため、
苦肉の策である。
このように、加圧水型原発の燃料交換は、寝かせて小さなトンネルをくぐらせる作業が余計に必要で、
それだけ作業時間も長くかかるし、複雑な分だけ、当然、沸騰水型に比べトラブルは多くなる。
何か事故が起き、燃料溶融は免れたとしても、原子炉から燃料を燃料プールへ迅速に移動することは
まず不可能だろう。
移動中に大地震で激しく揺すられたらどうなるか。
燃料が破損するかも知れないし、トンネルの途中で立ち往生するかも知れない。
川内原発のように地盤が悪い所では、格納容器と燃料プール建屋が不均等な地盤沈下を
起こす可能性が高い。
両者がずれてトンネル部分が壊れ、外へ汚染水が漏れだすかも知れない。
そもそも米国では地震多発地帯には原発を建設しないという前提があり、米国製原発の設計は
地震のことをほとんど想定していない。
以上、燃料交換一つを取ってみても、加圧水型は沸騰水型よりも複雑で、地震に無防備であり、
大きな問題を抱えていることがわかる。
加圧水型のほうがはるかに安全という主張には、簡単にだまされないようにしたい。
(参考資料)
「The Westinghouse Pressurized Water Reactor Nuclear Power Plant」
(Westinghouse Electric Corp. 1984)
www4.ncsu.edu/~doster/NE405/Manuals/PWR_Manual.pdf
(Chapter 13 Fuel Handling System Fig.13-1 and 13-2)
- 加圧水型原発の燃料交換 魑魅魍魎男 2018/9/09 14:32:09
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