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内部被ばくの深刻さ
内部被ばくの深刻さについて、国立がんセンター院長の西尾正道先生のメールの要約が転送されてきましたのでその一部を転載させて頂きます。
*以下転載:
(A)確率的影響と確定的影響についても、例えば白内障の発生は臨床でよく経験し、ましたが、ある一定以上の線量(医学的には閾値は明確ではないが10Gy程度と考えられている)であれば、全員が白内障となりますが、線量が低くても長期的な経過で発生します。発生頻度と発生期間には極めて線量依存性の関係があります。私が若い時の日本の4施設の上顎がん治療症例の分析です(1枚目)。
(B)また放射性微粒子の近傍はとんでもなく高線量であり、組織等価線量とか実効線量で表現される線量の5〜7桁程度の線量が当たっていると考えられます。線源から5mm以内は線量勾配が急峻過ぎて正確な測定はできません。したがってやや正確に測定できる線源から5mmの点を100%として相対的な線源近傍の線量を計算したものが2枚目の図です。放射線治療で使っているRALS装置の線量計算装置でも10000%しか計算できず、近似式で計算した場合、0.4mmの点で5mmの線量の100倍となり、0.1mmでは1284倍です。したがって線源に接している細胞は5桁倍の線量となります。
こうした膨大な線量が当たっている細胞ががん化しても不思議ではないのです。したがって全く当たったていない臓器の細胞も均等に当たっているとして線量を均一化して表現する等価線量もあくまでも参考程度の意味しか持たないのです。
ちなみにβ線を遮蔽して、γ線だけを照射して行う舌がんの治療例でも反応が起こっているのは刺入した線源近傍だけです。こうした内部被曝を利用した治療では通常は線源から5mm外側の点で腫瘍を制御するための線量を投与します(スライド3)。線量計算は全身化換算などはしません。ICRPでは空間的線量分布が考慮されていないことが最大の誤魔化しなのです。
(C)スライド4は私が手書きで描いたI-131の深部率曲線です。平均エネルギーが606KeVとしての予想図です。実際には1〜2mm程度の層の細胞にしか当たっておらず、そこに全エネルギーを放出するわけです。従って等価線量も参考程度の意味しかなく、等価線量が低くても発がんはありうるのであり、ロシアンルーレットの世界となります。従って線量と過剰発がんリスクがさほど相関していません(スライド5)。
また、私が経験している放射線誘発がんの症例の多くは均等に照射した外部照射の症例ではなく、小線源治療を行った患者さんです。これは線源近傍の膨大な線量が関与していると考えています。わからないことが多すぎますが、徐々に考えていきたいと思います。
8日月曜日に岩手県議会で線量の比較的高い県南の子どもたちの甲状腺検査の必要性を意見陳述してきましたが、3対5の多数決で否決されました。全員でなくても毎年、小学校の高学年生(例えば6年生)に一度検査を行い100人に1〜2人の結節が見つかったら、そのあとは所見があるので、100%自費とな.検診ではなく、「甲状腺腫瘍」と診断名が付くので、保険診療となり3割負担となりますので、検診後の診療は親の責任で経過観察すれば予算的問題やマンパワーの問題も何とかなるのではと落とし所も提示したのですが、結果は無駄足でした。
*以上転載終わり。
基本的に、体内に放射性微粒子が取り込まれると、その微粒子の周りは非常に強力に被曝します。鼻や肺の粘膜に微粒子が吸着した場合も同じです。
点線源からの放射線の強さは、線源からの半径の2乗に反比例して変動します。外部被ばく、つまり、普通の被曝については平行線源というか、太陽光線と同じように同じ密度の放射線がそこにあると仮定され、全身が同じように被曝していると考えているのですが、内部被ばくが放射性微粒子によって起こる場合は、被曝の様相が全く異なるのです。同じ内部被ばくでもカリウム40の場合は、普通の外部被ばくと同じで、原子としてカリウム40がバラバラにかつ均一に分布している様子なので、微粒子による内部被ばくとは全く異なり、外部被ばくと同じように全身に均一に放射線が当たります。よって一つ一つの細胞ごとに見ると、カリウム40による被曝はかなり少量であり、一日に一階とか数回程度しか放射線が当たらないのです。セシウム微粒子を消化によって体内へ取り込むという話もあり、内部被ばくと外部被ばくを同一基準で評価している現状はとてもおかしなものです。西尾先生が指摘されているように、「組織等価線量とか実効線量で表現される線量の5〜7桁程度の線量が当たっている」は現実であり、特に肺への取り込みは将来数年から十年程度後に肺がんなどの症状を起こすことになるはずです。「5〜7桁程度の線量」とは10万倍とか1000万倍程度の線量ということであり、空間線量が10マイクロシーベルトであっても、その10万倍は1シーベルトですし、1000万倍なら100シーベルトです。シーベルトはキロ当たりの被曝程度なのですが、細胞レベルで見ると放射性微粒子の近傍にある細胞は急性障害、つまり、それだけの放射線を浴びると数時間で死亡するとされるシーベルトの量をはるかに超えた線量を浴びていることになります。普通急性障害が現れるのは4シーベルト程度とされていますから、内部被ばくにより局所的に癌化するのはごく当然のことです。
2014年12月12日16時55分 武田信弘
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