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老朽原発廃炉の課題
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 12 月 04 日 04:15:45: Mo7ApAlflbQ6s
 


※ 日経新聞連載

老朽原発廃炉の課題


(1)迫られる決断 環境整備は不十分

 原子力発電所の選別が本格化してきた。東京電力福島第1原発の事故後に導入された新しい規制基準の下で、電力会社は古い原発を使い続けるのか、廃炉にするのか、決断を迫られている。
 政府は原子炉等規制法を改正し、原発の運転期間を原則、40年と定めた。条件を満たせば、一度に限り、最長で20年間延長できる。
 国内の原発48基のうち、2016年7月時点で運転期間が40年を超える原発は、関西電力美浜原発1、2号(福井県)、関電高浜1、2号(福井県)、中国電力島根1号(島根県)、九州電力玄海1号(佐賀県)、日本原子力発電敦賀1号(福井県)の7基ある。
 これらが延長を希望する場合、15年7月までに原子力規制委員会に申請しなければならない。申請には事前に原子炉など設備の劣化状況を調べる「特別点検」が必要だ。申請しても新基準を満たすには多額の安全対策費が必要となり、再稼働しても投資を回収できない恐れがある。
 複数の電力会社が同時に廃炉を選ぶケースもあるとみられる。特別点検に必要な手間を考えると決断に残された時間は少ない。しかし、廃炉に踏み出す環境が十分とはいえない。
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構の副理事長を務める山名元・京大教授は「多くの原発での廃炉措置を考えると、会計処理や人材、技術の結集など、従来のビジネスモデルでは簡単にいかないことが起きる」と語る。
 大量廃炉時代を控え、役割を終えた原発を円滑に廃炉にする体制を整えることが欠かせない。
(編集委員 松尾博文)

[日経新聞11月24日朝刊P.19]


(2)会計処理の重荷 多額の損失に懸念

 電力会社に廃炉の決断をためらわせるのが、費用だ。廃炉には出力110万キロワット級の大型炉で、約560億〜約830億円の費用が必要とされる。電力会社は解体に備え、運転開始時点から引当金を積んでいる。
 国内の原発50基(廃炉決定済みの東京電力福島第1原子力発電所5、6号を含む)の解体に必要な引当金は2兆7700億円。6割は引き当て済みだが、残る1兆1千億円は終わっていない。上振れのリスクもある。
 廃炉になれば原発は資産価値を失う。会計制度では減価償却が終わっていない資産は損失として一括処理する決まりだった。2013年度末時点の電力10社の残存簿価は2兆2千億円に達する。
 規制の変更などで当初計画より前に運転を終えると、引当金不足が生じ、多額の損失処理を迫られかねない。政府は昨年、会計ルールを見直し、運転を停止してもその後10年間は引当金を積み、損失を何年かに分けて処理できるようにした。
 だが、分割処理の対象は原子炉などに限られる。発電機や原子燃料は対象外だ。従来通り、一括処理しなければならない。原子燃料の簿価は10社合計で9461億円。財務悪化に直面する電力会社には負担が重い。電力業界は会計制度の一段の見直しを求めている。
 東大政策ビジョン研究センターの遠藤典子客員研究員は「規制変更のリスクに国は何らかの対処をすべきだろう。ただ経営努力の不足や政策の不手際まで電気料金に上乗せされ、国民負担が増えることにならないよう精査が必要だ」と指摘する。
(編集委員 松尾博文)

[日経新聞11月25日朝刊P.13]

(3) 自由化との整合性 「再処理」継続に不安

 原子力発電所の廃炉を円滑に進めるうえで考えなければならないのが、電力改革との整合性だ。
 政府は2016年に電力小売りを全面自由化する。電力会社の地域独占は撤廃され、かかった費用を電気料金に上乗せして回収できる「総括原価方式」もいずれ認められなくなる。原発は巨額の投資を長い時間をかけて回収する。それを総括原価方式が支えてきた。
 政府は昨年、廃炉を決めても10年間は解体引当金を積み、原子炉などの残存簿価を何年かに分けて処理できるように会計ルールを見直した。
 だが、自由化で競争にさらされる電力会社が解体引当金を積み続けることができるのか、総括原価による収入保証がなくなっても廃炉会計のルールは適用されるのかなど、不透明な部分が残る。
 SMBC日興証券の圓尾雅則マネジングディレクターは「自由競争下では原子力事業者も潰れる可能性がある。たとえ会社がなくなっても廃炉のための資金を回収できる制度が必要」と語る。
 使用済み燃料を処理して再び使えるようにする「核燃料サイクル」の位置付けも課題。再処理事業は電力会社の共同事業として進めている。自由化が進み、原発の数が減っても再処理事業のための資金が確保できることが必要だ。
 英国では原発でつくる電気に基準価格を設定、市場価格が基準価格を下回る場合には差額を原発事業者に補填し、事業者の収益を安定させる制度や、老朽原発の廃炉を一元的に手掛ける組織を設けている。円滑な廃炉は自由化と原発を両立させることが前提となる。
(編集委員 松尾博文)

[日経新聞11月26日朝刊P.37]


(4) 行き場なき廃棄物 基準づくりが急務

 原子力発電所を解体、撤去する際に出る放射性廃棄物の処分も課題だ。
 原発の解体で出る廃棄物のうち、98%は通常の処分やリサイクルが可能だが、残る2%の低レベル放射性廃棄物は国の規制基準に従って処分する必要がある。原子炉の中核部分など比較的放射能レベルの高い廃棄物は、管理の必要がなくなる時期まで余裕ある深さでの地中埋設が適当とされている。だが現状は具体的な規制基準がない。原子力規制委員会が基準づくりに着手したところだ。
 使用済み燃料の再処理後に残る高レベル放射性廃棄物の最終処分については、地中深くに埋める最終処分地の選定に国が関与する。廃炉で出る低レベル廃棄物の処分場は電力会社が確保することになっているが、めどは立っていない。
 岡本孝司・東大教授は「低レベル廃棄物の行き先が決まっていないことが廃炉や将来の原発更新の大きなボトルネックになる」と指摘する。
 施設の解体には原発内にある使用済み燃料を搬出しなければならない。青森県に建設する使用済み燃料の再処理施設の稼働が遅れ、各地の原発で貯蔵能力が限界に近づいている。廃炉に伴う燃料搬出には中間貯蔵施設などの整備も必要になる。
 技術開発や人材育成も重要だ。廃炉は従来の原発運転とは異なる技術や経験が求められる。大量廃炉時代に備え、人材を育て、技術を共有する仕組みを整える必要がある。東京電力福島第1原発の事故を受けて発足した国際廃炉研究開発機構などの成果を活用していくことが大切だ。
(編集委員 松尾博文)

[日経新聞11月27日朝刊P.30]

(5) 立地自治体対策 交付金依存 脱却を

 原子力発電所の廃炉は原発が立地する地域に大きな影響をもたらす。大量廃炉時代の到来に備え、立地地域支援のあり方も考える必要がある。
 原発が立地する地域では、原子力産業を中心とする産業構造ができあがっている。電源立地対策を名目とする国からの交付金や、固定資産税収入など、歳入に占める原子力関連の比率が高い自治体も多い。
 経済産業省が原発のある福井県敦賀市、美浜町を対象に実施した調査によると、震災後の原発の長期停止で労働力流入が減り、宿泊、交通分野や飲食などの売り上げは25%減少した。原発の検査・保守関連の業務も28%の減少が見込まれる。
 立地自治体は「廃炉になった場合の影響は長期停止の比ではない」(河瀬一治・敦賀市長)と危機感を強める。原発に依存しない地域づくりは、自治体が取り組むべき課題だが、産業構造を急速に転換させることは難しい。
 廃炉の影響を緩和し、新たな産業の育成や雇用の創出を促す政策支援は必要だろう。焦点となるのは交付金の扱いだ。継続の是非や理由、交付金の代替策などを十分に議論する必要がある。
 原発頼みの産業構造を転換する一つの方向性として期待されるのが、原発の立地地域を研究開発や人材育成の拠点に変えていくことだ。開沼博・福島大特任研究員は「茨城県東海村や福井県では、産業から研究や教育の拠点へ役割を分化させていく動きがある。研究教育拠点にしていくことが地域振興や雇用を創ることにつながる」と語る。
(編集委員 松尾博文)
=この項おわり

[日経新聞11月28日朝刊P.29]


 

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コメント
 
01. 2014年12月04日 06:06:26 : bwFzMVs2eU

>2016年7月時点で運転期間が40年を超える原発は、関西電力美浜原発1、2号(福井県)、関電高浜1、2号(福井県)、中国電力島根1号(島根県)、九州電力玄海1号(佐賀県)、日本原子力発電敦賀1号(福井県)の7基

        >条件を満たせば、一度に限り、最長で20年間延長

     何が1度限り 何処が安全 スポーツの試合中にルールを変える八百長

      正義が勝ち悪い奴が負ける ファンの喜ぶプロレスの興業 なら解る

               ほとんどの奴はどうでもいい

      金を払って見にも行かない興味の無い奴、プロレスも知らない奴

                  原発は違う

    電力会社と政府が 国民から経済、科学技術、正義と言いながら金を巻き上げ

      貧乏な人口減少の原発立地地区に金をバラまきファンを作る少額で済む

           少人数で当選する地元推薦の原発推進議員

         まさに、八百長 穢多の考え出したキチガイシステム



02. 2014年12月04日 09:28:36 : nJF6kGWndY

できるだけ廃炉を先延ばししたいところだろうが

政治的には、かなり厳しいだろう


もちろん、その負担は、当然、国民ということだが

最近のエネルギー価格の下落は、プラス材料

ただし再エネにとっては超逆風だな


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