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20141122 R/F #098「小出裕章ジャーナル」【廃炉は計画通り進むのか?】
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廃炉は計画通り進むのか?「とにかく楽観的な見通しのもとで事故に対処しようとしたわけで、ことごとく失敗しながら今日まで来てしまいました」〜第98回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no98/
2014年11月22日 ラジオフォーラム
今西憲之:
福島第一原発事故以来、廃炉作業がずっと続いてるわけなんですけれども、また、1号機と2号機、廃炉計画・作業計画を見直すという検討に入っています。1号機は2017年の初めぐらいに、使用済み燃料プールから燃料を取り出すというようなことを計画されてたわけなんですが、それが2年ぐらい遅れて、2019年になるというようなアナウンスがあり、そして、実際にその溶け落ちてしまった燃料は、2020年前半から2025年前半、5年も遅くなるということなんですが、一体何をやってますのんというような気がするんですが、先生、このニュース聞かれていかがだったでしょうか?
小出さん:
残念と言えば残念ですし、当たり前と言えば当たり前のことだと思います。2011年3月11日に福島第一原子力発電所の事故が起きて以降、東京電力も国も、とにかく楽観的な見通しのもとで事故に対処しようとしたわけで、ことごとく失敗しながら今日まで来てしまいました。
廃炉ということに関しても、彼らが実に私から見ると、楽観的な状況というのを想定して、ロードマップを描いたわけですけれども、そんなものは到底できる道理がないと私は思ってきました。その通りになっています。
今西:
それで、使用済み燃料プールからの燃料の取り出し、これについては現在、4号機でも行われている。幸いにして、取り出し作業中に、まだ大事故が起こったりとかそういうことはしていませんが、要するに、溶け落ちた燃料を取り出すということ、これ非常にハードルが高い。小出さんもかねてからそのようにおっしゃられてる。
小出さん:
私はできないと発言しています。
今西:
はい。どうしてできないんでしょうか?
小出さん:
今も聞いて頂きましたように、国や東京電力はとても楽観的な見通しを立てているわけです。例えば、溶け落ちた炉心は、原子炉圧力容器の底を抜いて下に落ちたわけですけれども、落ちたところは、私達がペデスタルと呼んでいる部分で、その床の上に饅頭のように堆積しているというのが、国や東京電力の描いている絵なのです。
しかし、そんなことは到底ないと私は思っています。ペデスタルと呼ばれている部分には、人間が出入りするための出入り口があるのですけれども、どんどんどんどん水を入れてきたわけで、その水はその出入り口から外にどんどんどんどん漏れていってるわけですし、溶け落ちた炉心も、その水の流れと一緒に格納容器の外部に、ペデスタルの外部に流れていってるはずですし、そうなってしまいますと、格納容器の壁と接触してしまって、すでに、その格納容器の壁を貫通しているかもしれないという、そういう状況になってるはずだと私は思います。
ですから、国や東京電力は、いつの時点か圧力容器の上の方から、その下に饅頭のように溜まっている溶け落ちた炉心を上に掴み出そうとしているわけですけれども、その場所には実はない。そこにあったとしても、何割かがあるだけであって、何割かはもう外に出てしまっていると私は思いますので、掴み出すということはできないだろうと思います。
今西:
そうすると、今後もなかなか作業は順調に進まず、さらなる先送りというようなことも十分考えられる状況ではあると。
小出さん:
十分考えられるというか、必ずそうなると私は思います。
今西:
はい、分かりました。それで、今日はメディア批評雑誌の『創』の篠田博之編集長にゲストでお越し頂いておりまして、篠田さんからもぜひ、小出先生に伺いたいということがご質問があるそうなんで、篠田さんお願いします。
篠原博之さん:
どうもどうも。小出さん、今、メディア界で朝日新聞の吉田調書問題というのが大きな問題になってて、小出さんは吉田調書の中身とか、あのタイミングで出てきたこととかについて、どういうふうにお考えでしょうかね?
小出さん:
はい。吉田さんという方は皆さんご承知の通り、福島第一原子力発電所の所長だった人ですね。事故が起きた時に、吉田さんという方があの現場にいてくれたということは、私自身はありがたいことだと思っています。大変豪胆な気質の方であって、よくあの厳しい事故の現場で頑張ってくれたと思います。
ただし、マスコミも含めて何か吉田さんを英雄のように扱っているわけですけれども、私自身はむしろそうではなくて、吉田さんは福島第一原子力発電所の所長という立場にあったわけですから、言ってみれば、事故の重大な責任を負わなければいけない人であった。少し言葉をキツく言えば、犯罪者でもあったと私は思っています。
そういう人がどのように振舞ったかということは、むしろその事件を解明するために、どうしても調べなければいけないし、むしろ積極的に公開して、それを検討するということをやらなければいけなかったのだと思います。
ですから、吉田調書が取られたのは事故の直後だったわけですから、その時点で公開して、事故がどんなふうに進んだかということを広く知らせるべきだったと思いますし、そうしていれば、その後の事故の収束作業についても、なにがしかの重要な役割を果たし得ただろうと私は思います。
篠原さん:
なるほど。あれですね、朝日問題でみんな萎縮してるから、今みたいな小出さんみたいな強い発言っていうのは、たぶん他のマスコミ関係者誰もできないと思いますけども、小出さんならではの発言ですね。でも、今の話はよく分かります。あの話は。
今西:
吉田調書というものが存在するのは事実であって、それにああいう記載もしてあるのは事実。朝日新聞は、その見出しというか、福島第一原発に「撤退せよ」というような部分で間違って、記事全部が取り消されてしまったというようなことなんですけれども、そうすると、なんか吉田調書が全て否定されたような感もありまして、それはちょっと良くないんじゃないかなあというふうに私は感じたりするのですが、小出さんその辺いかがでしょうか?
小出さん:
ちょっとどころじゃなくて大変悪いことだと思います。私自身、特別、朝日新聞という新聞に思い入れがあるわけではありませんけれども、今の安倍さんのやり方というのは大変汚いと私は思いますし、自分の気に入らないことがあると、徹底的にそこを弾圧していく。そして、それに他のマスコミも含めて、今回載ってしまったわけであって、なんでこんなことになるのかなと、私から見ると大変不思議なことが起きています。
何よりも事実というものを大切にしなければいけませんし、その事実を解明するために、吉田調書は大変重要なものですから、キチッとみんなで検証すればいいだけのことであって、その検証作業で若干、ほんと私から見ると、ほんとに些末のことで記事の書き方がまずかったということを取り上げて、あたかも全体が悪いように言うというのは、大変いけないことだと思います。
今西:
そうですね。要するに、本来の直視しなければいけない本質よりも、なんか違う部分で論争になってしまったというような感じがしますよね?
小出さん:
はい。
今西:
分かりました。小出さん、ありがとうございました。
篠原:
ありがとうございました。
小出さん:
ありがとうございました。
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