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被ばく被害と日本の行方
福島第一原発事故で相当に被ばく被害を受けているはずですが、それを否定する動きがかなり活発です。11月11日に福島県の県民健康調査検討委員会第4回甲状腺検査評価部会が開かれましたが、多分、全国ネットのテレビではどこもこれを報じてはいないはずです。この部会の資料は、http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-b4.html に載っていますが、福島県のホームページのトップページから直接見つけるのは難しく、「甲状腺」というキーワードで検索をする必要があります。福島県のサイトのトップページを見ると、まるで全く被曝被害などないかのように見えます。
現実は、しかし、正反対の様子で、被曝影響はかなり表面化しつつある様子です。何よりも、今回の会議では、資料3として、「手術の適応症例について」という甲状腺手術例の詳細が発表されていたからです。この詳細については後半で触れますが、まずは、全体的に今回の資料から分かる点を幾つか述べたいと思います。
1.平成23年度、24年度、25年度に渡っての検査の結果がまとめられているが、23年度は福島第一原発に最も近い地域であり、24年度はその周り、25年度は福島県内では原発から最も遠い地域となっている。ところが、甲状腺の1次検査結果であるA1、A2、B、C判定の割合を見ると、年度が進むごとに悪化している。異常なしのA1判定は23年度は63%、24年度は54%、25年度は43%と減少していて、反対に2次検査対象になるB判定は23年度0.5%、24年度0.7%、25年度0.9%と増加している。被ばく程度は基本的に原発からの距離に反比例するはずで、遠いところの方が被曝していないはず。ところが、遠隔地の方が甲状腺異常が多く見つかるというのは、二つのことを示唆しているはず。まず、発見されている甲状腺がんが単にスクリーニング効果によるものではないということ。もし、スクリーニング効果であれば、同じ福島県下で特に条件的に異なるはずがないので同じ割合でA1判定もB判定も出てこないといけないから。二番目に言えることは、時間が経つにつれて状況が悪化していること。多分、今23年度の地域で再検査すれば25年度の結果よりもより深刻な結果がでるはずであり、被曝影響がどんどんと深刻化しつつあるということ。これは、もともと、内部被ばくには当然のことであり、甲状腺に取り込んだヨウ素やセシウムなどが連続して放射線を出し続け、その結果、遺伝子が影響を受けて発がんに至ることを考えれば、事故直後にはあまり症状が出ていず、数年後から本格化するということを意味している。
2.1次検査結果がB、C判定であった人数は23年度から25年度までの合計で2237人であり、その内、1848人が二次検査の結果が確定している。この1848人の内、2次検査でA1判定(結節やのう胞を認めなかった場合)になった割合は23年度6.3%、24年度6.0%、25年度5.7%というように顕著に低下している。このことも、内部被ばくの影響が時間経過とともに表面化していることを意味している。代わりに増加しているのがA2判定(5.0ミリ以下の結節や20.0ミリ以下ののう胞を認めた場合)であり、21.5%、26.9%、30.4%と言うように変化している。
3.2次検査でA1、A2判定になった人は33%で623名いる。それ以外の66%である1225名については通常診療(保険診療)で検査をしてもらっているが、この1225名の内39%の485名が細胞診検査を受けている。その結果、104名が悪性ないし悪性疑いとなった。この内58名に手術を行い、1名が良性結節、57名が甲状腺がんと判明。細胞診の結果で悪性または悪性疑いとなった104名中男が36名、女が68名。
ここまでが前半です。2次検査で異常ありになった場合はそれ以降の医療費が保険診療での患者負担になるということ自体が本来おかしなことのはずです。
ここからは後半で、「手術の適応症例について」というA4一枚の紙についてです。
4.手術の結果甲状腺がんと判明した57名中、3例は福島医大ではない施設での手術であり、福島医大で手術した54名について検討すると、52例が乳頭がん、2例が低分化がんだった。資料には書かれていませんが、ここでいう低分化がんは、まだ若い分化途中の細胞が癌化したものであり、悪化速度が速かったり、転移の可能性が高いもの。多分、小児甲状腺がんで低分化がんが見つかること自体が珍しく、事態の深刻さを示している。
5.この「手術の適応症例について」という文書の書き方はとても分かりにくい。故意に内容がはっきりしないように書かれている。たとえば、54例中に遠隔転移が何例あったかは分からない。ただ多発性肺転移はその可能性が2例で疑われると書かれている。
6.甲状腺がんで一番問題になるのが転移であり、その最初の段階は普通リンパ節転移になる。つまり、甲状腺のすぐ周りにあるリンパ節にガンが転移していること。そして、このリンパ節転移について、「リンパ節転移は17例(31%)が陽性」とか「リンパ節転移は74%が陽性」と書かれている。完全に矛盾する書き方で、どうやら、前者が術前診断の結果であり、後者が術後診断の結果ということらしい。
7.術後診断では「腫瘍径10ミリ以下は15例(28%)かつリンパ節転移、遠隔転移のないものは3例(6%)」と述べられているが、「かつ」と書かれていることから解釈すると、腫瘍径10ミリ以下の方が15人いたが、その内リンパ節転移や遠隔転移が無かった人は3人だけで、12人にはリンパ節転移または遠隔転移があったということになる。腫瘍径10ミリ以下という意味は症状が軽いという意味であり、腫瘍径10ミリ超の42例ではどうなっているかが明確ではない。しかし、上の文章の続きには「甲状腺外浸潤は37%に認め、リンパ節転移は74%が陽性」とある。この文章には人数の記載がない。
8.甲状腺全摘が5例(9%)、片葉切除49例(91%)、リンパ節廓清は全例に実施ということで、被曝原因の甲状腺がんの転移が早いと言われていることに合致している。つまり、転移が早いからリンパ節廓清を全例で実施ているはず。
9.2次検査で異常ありになった人の内、実際に細胞診をしているのは39%しかいない。そして、この39%から104名の悪性または悪性疑いが出ているので、2次検査で異常ありの人全体では、266名が悪性または悪性疑いとなるはず。受診者全体が29万6千人なので、1万人あたり9人が悪性または悪性疑いとなる。実際に58人に手術をして1名は良性結節であったが57名は甲状腺がんということなので、1万人あたり9名の小児甲状腺がん発生という確率はほぼ正しいことになる。多分、この確率は通常の1000倍程度になるはず。通常は100万人に1名程度のはず。
次に「手術の適応症例について」の文書を http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/90997.pdf からそのまま引用しておきます。
(*以下引用開始)
手術の適応症例について
震災後 3 年を経過し、2014 年 6 月 30 日現在までの二次検査者 1,848 名からの細胞診実施者 485 名中、悪性ないし悪性疑いは 104 例であり、うち 58 例がすでに外科手術を施行されている。
58例中55例が福島医大甲状腺内分泌外科で実施され、3例は他施設であった。
また、55 例中1例は術後良性結節と判明したため甲状腺癌 54 例につき検討した。
病理結果は 52 例が乳頭癌、2例が低分化癌であった。
術前診断では、腫瘍径 10 o超は 42 例(78%)、10 o以下は 12 例(22%)であった。また、10 o以下 12 例のうちリンパ節転移、遠隔転移が疑われるも
のは 3 例(5%)、疑われないもの(cT1acN0cM0)は 9 例(17%)であった。
この9例のうち7例は気管や反回神経に近接もしくは甲状腺被膜外への進展が疑われ、残りの2例は非手術経過観察も勧めたが本人の希望で手術となった。
なお、リンパ節転移は 17 例(31%)が陽性であり、遠隔転移は 2 例(4%)に多発性肺転移を疑った。
術式は、甲状腺全摘 5 例(9%)、片葉切除 49 例(91%)、リンパ節郭清は全例に実施し、中央領域のみ実施が 67%、外側領域まで実施が 33%であった。出
来る限り 3cm の小切開創にて行った。
術後病理診断では、腫瘍径 10 o以下は 15 例(28%)かつリンパ節転移、遠隔転移のないもの(pT1a pN0 M0)は 3 例(6%)であった。甲状腺外浸潤 pEX1
は 37%に認め、リンパ節転移は 74%が陽性であった。術後合併症(術後出血、永続的反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症、片葉切除後の甲状腺機能低下)は
認めていない。
(*以上引用終わり)
小児甲状腺がんはあくまで被曝被害の一例でしかありません。そもそも、原発事故で放出された核種には自然環境中にはほとんど存在しないものがあり、放射能毒性だけでなく重金属毒性、または単に金属毒性を示すものもあります。また、放射性キセノンのように被曝被害があると確認され、研究もされているにも関わらず、その毒性が全く公開されていないものもあります。
脳血管障害や心筋梗塞、知能障害や視覚障害など広範囲での被害が出るはずですし、既に白内障などはかなりの増加が観察されている様子です。こういったことについて公的にある程度認めて、関東や東北地方から西日本への移転を促す必要があると思います。このことは、ある意味、首都直下地震や富士山噴火に対する備えともなります。
被曝被害をきちんと認めると言ってももともと判定には困難が付きまといます。ですから、まずは予防原則に立ち、若い人たちの避難を促すべきなのです。50歳や60歳以上の大人についてはどこまでが被ばく被害かは線引きが難しいのですから。
ともかく、被曝被害があるということを公的に認めていかないと、福島での被害が疫学的に特別なものではないという状況を作り出す必要が出てくるわけで、日本では大規模な震災などをきっかけにしてそういったことが行われてしまう可能性があります。そうなれば、それこそ、日本全体が壊滅になるわけで、沖縄独立という形で、日本本土は放射能汚染などで壊滅状態にされてしまう可能性もあります。福島県の被曝被害が日本全国で実現されるというようなことがないようにする必要があります。
2014年11月16日00時35分 武田信弘
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