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推進側の主張を完全論破/「日本と原発」(C)Kプロジェクト
“脱原発”弁護士が自らメガホン 映画「日本と原発」の説得力
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/154956
2014年11月15日 日刊ゲンダイ
河合弘之初監督 映画「日本と原発」 予告編
福島第1原発事故後に多数作られてきた“脱原発映画”の、決定版というべきパワフルなドキュメンタリー作品が登場した。
8日から公開されている「日本と原発」がそれで、監督はダグラス・グラマン事件、イトマン事件など数々の経済事件を担当して凄腕の金融弁護士と称された河合弘之。90年代から脱原発運動に関わる彼は、近年は大飯原発差し止め訴訟や、東電の歴代取締役に5兆5045億円という世界最高額の損害賠償を請求した株主代表訴訟など、日本の脱原発シーンをリードするカリスマ弁護士として知られる。
「日本と原発」はそんな河合監督が、原発訴訟に40年間取り組み続ける盟友・海渡雄一弁護士を構成・監修に迎え、「推進側プロパガンダに染まった裁判官や一般国民」の洗脳を解くために作った。インタビューや解説シーンを織り交ぜ、推進派のあらゆる主張を論破する痛快作だ。
ナレーションの語り口などは朴訥としているが、御用学者や関係者を実名で名指しするなどその批判ぶりは容赦ない。まるでじゅうたん爆撃のように「不都合な真実」を次々と突きつける姿は、法廷で相手を完膚なきまで叩きのめすような迫力と説得力に満ちている。
幾多の“脱原発映画”の中で、本作が異彩を放つのは何よりこのケンカ上手にある。一般に、反原発ネタの映画は出演者やスタッフ、資金はもちろん、公開劇場を探すことすら困難とされる。事実、本作でも河合監督は数々の職業監督に断られ、出資予定者には途中で逃げられるなど辛酸をなめたという。確かに今後もあらゆる企業と付き合っていかねばならぬ専業の映画監督では、とてもここまでの“ケンカ”はできまい。数々の原発訴訟でリアルに闘う当事者だからこそ、ここまでやれたわけだ。
劇中音楽は、かつて佐村河内守のゴーストとして世間を騒がせた新垣隆。監督たちの心意気に共感した彼が、映画のラストを渾身のスコアで盛り上げている。
(映画批評家・前田有一)
「日本と原発」Japan and Nuclear Powers
11月8日からシネマート六本木で公開(2014年/日本/カラー/137分
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