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九電原発依存 頼る九州経済 売上高桁違い
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2014年11月7日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
2014年9月中間連結決算は、電力大手10社のうち九州電力だけ純損益が赤字となった。赤字脱却には、川内原発(鹿児島県薩摩川内市)のほか、玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働も必要だという。そんな再稼働を地元企業の多くも待つ。九州で断トツ、約1兆7000億円の売上高を誇る九電が利益を出さないと、経済的に潤わないという地元の事情が、背景にある。(沢田千秋、篠ケ瀬祐司)
◆「優等生」電力唯一の赤字
「原発が4基あってこそ収支は安定する」。中間決算を受け、記者会見した九電の瓜生道明社長はそう語った。4基とは、再稼働申請中の川内原発1、2号機と玄海原発3、4号機。九電の経営は、玄海原発1、2号機を含む計6基のフル稼働で成り立っていた。東京電力福島第一原発事故前の10年9月中間決算は、原発がフル稼働し218億円の純利益を出している。
10年度、九電の供給電力量に占める原発の割合は39%だった。原発設備の故障や事故が少なく、設備利用率は全国平均の約7割を上回る8割を維持し、電力関係者から「原発の優等生」と言われた。
だが、原発の再稼動をできず、昨年の電源別発電量は石炭火力33.6%、液化天然ガス(LNG)火力37.1%、石油火力18.4%。円安や燃料価格高騰で、石炭、石油、LNGなどを合わせた燃料費は、10年度の2800億円から13年度は7500億円に激増した。
さらに、原発を新規制基準に適合させるため、安全対策費3000億円が重くのしかかる。
九電は他の電力会社同様、経営効率化を目指した。設備の定期点検周期を延ばし、規模を縮小し、修繕費を20年前の半分に抑え、広告宣伝費、研究費など諸経費も削った。役員報酬カットやボーナス見送り、新規採用の抑制などで人件費も削った。それでも、九電だけが約360億円の純損益になったのはなぜか。
九電によると、九州は山間部や離島が多く、送電効率が悪い。1キロ当たりの契約口数は57.3口で、10社平均77.9口を大きく下回る。離島も多い。沖縄県を除く全国の離島の62%の電力を九電が供給する。離島は需要密度が低く島ごとに発電設備を設置するため、燃料の輸送費もかかり、発電コストは九州本土の2倍に達する。
台風被害も他の電力会社より多いという。1951〜2013年の都道府県別の台風上陸数ランキングで、ベスト10に1位の鹿児島県を含む九州4県が入る。一度の台風で電柱数百本、電線数千カ所が被害を受けることもある。
しかし、より発電効率が悪く原発依存度が高い他の電力会社が同時期、黒字だったことも事実だ。九電の広報担当者は「値上げの時期と改定額」を赤字の理由に挙げた。昨春、九電は家庭向けを6.23%、企業向けを11.94%値上げした。値上げ幅は、川内原発1、2号機が昨年7月、玄海原発4号機が同12月、同3号機が今年1月に再稼働すると想定して算出した。再稼働時期が延びるほど差額が生じ、多額の赤字に陥るという説明だ。
担当者は「同時期に値上げした関西電力は11基あるうちの4基が再稼働想定時期を過ぎたが、6基中4基を見込んだ弊社より差額は少ない」と話す。再稼働の想定時期について、瓜生社長は記者会見で「当時の判断だったとしか言いようがない。原子力の安全担保のために必要な期間だったと思う」と述べた。
◆関連会社は71
ともかく、原発の再稼動は、九電にとって喫緊の課題だ。瓜生社長は4日、川内原発の周辺4市町の首長と鹿児島市内で会談し、安全対策などを説明した。先月の会談と合わせて、立地自治体の薩摩川内市を除く原発30キロ圏の8市町の首長への説明を終えた。
瓜生社長は説明後、記者団に「一定のご理解はいただけたのではないか」と話した。各首長から大きな反対論は出なかったようだ。
だが、原発事故が起きれば、周辺自治体は大きな被害を受ける。地元紙の南日本新聞が4月に鹿児島県内で行った世論調査では、6割近くが再稼働に反対だった。それでも首長から目立った反対論が出ないのは、なぜか。
鹿児島国際大の八木正准教授(環境経済論)は「九州最大の企業であり、電気事業をほぼ独占する九電の影響力はものすごく大きい。再稼働に反対することで、(国や県による)公共事業など、行政全般に及ぼす悪影響も心配しているのだろう」と分析する。
確かに、九電は九州の企業の中で突出した存在だ。
東京商工リサーチの資料によると、14年3月期決算の九電の売上高は1兆6829億円で、九州でトップ。福岡県の14年度の一般会計当初予算額とほぼ同じだ。2位のトヨタ自動車九州は7863億円、3位のTOTOが3985億円とは桁が違う。
九電の従業員は約1万3000人。帝国データバンクによると子会社・関連会社は計71社。地元経済界をリードする九州経済連合会の会長は、発足から7代続いて九電出身者が就いた。
財団法人「九州経済調査協会」(福岡市)は3月、九電の原発停止が九州経済に与える影響を試算した。燃料費の大幅増加などのコスト増や人件費・設備投資削減の損失は5272億円。福島第一原発の事故前、10年度の九州の域内総生産(GRP)は約44兆円だったから、試算した損失は1.2%にあたる。
田代雅彦調査研究部長は「低成長時代に1.2%は大きな数字。これは一次的な影響で、他企業の設備投資減少など二次的影響を加えると、負の影響額はさらに増える。東京には多くの大企業が本社を構えているが、九州では九電の存在感は圧倒的だ」と解説した。九電の代わりとなる企業が九州にはないわけだ。
経費削減で、九電が各地のオール電化などのPR施設を閉鎖し、テナントに空きが出るといった影響も出ている。鹿児島市中心部の一等地にある鹿児島商工会議所ビルでは3月末に契約が終了し、約700平方メートルが空いている。
地域への寄付も減った。震災前の3年間は年平均で総額14億円を寄付していたが、12年度は約4億円。13年度は1億円に激減している。
「原発停止でホテル旅館・民宿業はもとより、サービス業、バス・タクシー業など関連業種の売り上げ減少などの影響が拡大する」。約70団体でつくる「薩摩川内市原子力推進期成会」は、早期再稼働を求めて市議会に陳情した。
前出の八木准教授はエネルギー行政への市民の参加や九電だけに頼らない経済の実現が望ましいと説く。
「九電は自然再生エネをどう進めるかなどを、市民の意見も聞きながら進めるべきだ。各地でガス会社が電気事業に参入する動きが出始めた。これらに取り組む事業者が将来、九州全域で相互協力することで変化が生まれるのではないか」
[デスクメモ]
リース会社に勤める友人が札幌支店に赴任した際、「支店全体で出す利益を、東京本社は社員一人で出している」と口にした。東京と地方では、経済の「地力」にそれほどの差があると言う。政府は「地方創生」を最重要課題とし、関連法案が臨時国会で成立する見通しだが、地方経済の活性化は容易ではない。(文)
2014年11月7日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014110702000163.html
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