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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NE3M3L6JTSED01.html
2014年10月28日
九州電力の川内原子力発電所が立地する鹿児島県薩摩川内市は28日、同原発の再稼働に同意した。福島原発事故を踏まえた新たな規制基準に合格した原発として初の地元同意となったが、原発立地で潤ってきた同市とそれ以外の自治体との溝は深い。
薩摩川内市議会は再稼動に賛成する陳情を採択し、岩切秀雄市長が川内原発の再稼働に同意する最終判断を下した。岩切市長は「再稼働に関し、慎重な立場の市民の思いを考えますと苦渋の決断だが、市民の安全・安心の確保のため最善の努力をしてまいりたい」と述べた。同市では原発に関連する交付金や九州電の寄付によって、橋や公民館、歴史資料館などの施設を整備してきた経緯がある。
一方、薩摩川内市に隣接するいちき串木野市は、人口約3万人のうち、9割以上が川内原発から20キロ圏内に住みながら、再稼働に同意するかしないかの権利がない。薩摩川内市より原発の経済的恩恵は少なく、いちき串木野市では反原発の署名に人口の半分以上が賛同した。
福島原発事故をきっかけに、いちき串木野市議選に出馬し、昨年の11月に市議会議員になった田中和矢氏は、「お金で命、健康、故郷を売ってほしくない」と訴える。つきあげと呼ばれる薩摩揚げや焼酎などの名産品を持ち、「食のまち」を掲げる同市の近くで「原発事故があれば、焼酎1本もつきあげ1枚も売れなくなり、全てが台無しになる」という。
シャッター商店街
薩摩川内市の資料によると、同市が受け取る原発交付金は年間約12億円に上り、原発着工からの累計は270億円超に達した。同市の上大迫修企画政策課長は原発関連の収入はいずれも、「地域に不足していたもの、街にあって当然のようなものに使ってきた」と説明する。
上大迫氏によると、使用済み核燃料に対する課税(年4億円)をはじめ、九州電からの税収も多額に上り、原発建設や定期点検に伴う地元雇用の拡大は、宿泊や飲食店での消費行動に波及。一時は地方交付税交付金を受け取らない時期もあったほど地元は潤っていたという。
同市内の居酒屋で働く前迫浩幸氏は、生まれる前から川内原発があったことから、安い電気料金や税金を享受できる原発稼働を前提に生活をしてきた。原発事故以降、往来の減った薩摩川内市内の商店街はシャッター街に変わり、同氏の親族の経営する居酒屋やその周辺に訪れる顧客も大幅に減ったため、むしろ「今は原発がないと回らない」という。
原発の波及効果なし
いちき串木野市政策課政策係の出水喜三彦主査によると、同市の原発交付金は年に約9000万円で九州電からの寄付金は一切ない。また「立地自治体にあるような経済効果、雇用や宿泊などの波及効果もほとんどない」という。第1次産業中心の同市は、まぐろの遠洋漁業の船籍数として国内1位を誇り、温暖な気候を活用しポンカンなど柑橘系果物を生産。名産の焼酎を生産する6社・8蔵などが存在する。
九州電との安全協定によって再稼働への同意手続きを必要とする立地自治体は薩摩川内市と鹿児島県に限られる。いちき串木野市議会は9月末、地元同意の範囲拡大を求める意見書を採択し、九州電と各自治体との安全協定を総括する立場にある鹿児島県に送付した。
ただ鹿児島県の伊藤祐一郎知事は17日の会見で、地元同意の判断は県と薩摩川内市のみで良いという立場を示した。また九州電広報担当の坂田智光氏は、各自治体と結んでいる安全協定の内容には「濃淡がある」と認めた上で、安全協定の変更を求める要望は九州電に直接提出されておらず、地元同意の拡大について検討する段階にないと述べた。
孤立無援
いちき串木野市で商店を営む女性は、福島原発事故前には原発を意識していなかったものの、現在は川内原発の存在に怖さを感じるという。自身の子供の将来を案じ、原発反対の署名活動にも参加した。ただいくら反対しても国の方針に従い、県と薩摩川内市が再稼働に同意して、再稼働するのではないかと話す。
最大の問題は原発の安全性だ。これに関しては、川内原発の安全性を審査している原子力規制委員長の田中俊一氏だけでなく、エネルギー政策の長である宮沢洋一経済産業相でさえ、原発は100%安全とは言い切れないと述べた。にもかかわらず、経産相は安全性の確認された原発から再稼働を進める政府方針に「一切変わりはない」と繰り返す。
11月上旬に再稼動への同意を審議する鹿児島県議会の池畑憲一議長は24日、自民党を訪れ、国民不安の緩和に向け、「国が前面に立って問題については国が責任を持つと説明してほしい」と要請した。県内は「反原発一色」で、国の定めたエネルギー基本計画にのっとって再稼働を推進する原発推進派は、「孤立無援」な状況にあるという。
地域社会のあり方
一方、全国48基の原発全てが停止している中で、代替燃料の輸入が増え、2013年度の貿易収支は13兆7488億円の赤字と、震災後から3年連続で過去最大を更新。電力会社も厳しい経営状態が続き、北海道電力は東日本大震災以降、2回目となる値上げを来月実施する。
いちき串木野市の山奥にある冠獄山鎮国寺の村井宏彰住職は、隣近所や身内などとの密接なつながりをもつ地域社会の中では、自分の意見が言いにくく、鹿児島ではそうした傾向が強いと話す。政府・行政側は、「それを良く知っているから、反対しにくいのがわかっているから、鹿児島県から再稼働をする」と述べた。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 占部絵美 eurabe@bloomberg.net;東京 Jacob Adelman jadelman1@bloomberg.net
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 占部絵美 eurabe@bloomberg.net;東京 Jacob Adelman jadelman1@bloomberg.net記事についてのエディターへの問い合わせ先:Pratish Narayanan pnarayanan9@bloomberg.net中川寛之, 淡路毅
更新日時: 2014/10/28 17:50 JST
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