02. 2014年10月18日 00:21:52
: bbFdgRpAGc
取材記録:泉田裕彦氏(新潟県知事)記者会見@FCCJ(2014年10月15日) 2014年10月15日 17時54分 みわよしこ | フリーランス・ライター新潟県知事・泉田裕彦氏の記者会見(於・日本外国特派員協会)に出席してきました。 賛否いずれの立場からも、原子力行政について考えるにあたって貴重と思われるお話と質疑のメモを、そのまま掲載します。 (これだけ聞き取れたのは、英語ではなかったからです。泉田氏は日本語で話されました(もちろん通訳あり)) ■東日本大震災直後の新潟県での対応 柏崎刈羽原発の内部。2007年に火災発生。知事の立場で事故対応を体験。 2011年、東日本大震災、隣の福島県から多数の避難者受け入れ。スクリーニングもモニタリングも体験。 2011年、日本政府、福島県とならび、新潟県は東電からのヒアリングを直接受けながら対処にあたった自治体。 3.11、地震当日、1630、二次冷却水のポンプが流されて冷却不能になったという報告あり。 ■2007年、柏崎刈羽原発火災にどう対応したか 2007年の中越沖地震の初期対応。3号機の火事。地盤低下で1.5メートルくらい下がったらしい。コミュニケーション取れず、TVで状況を把握しつつ対処。 火災は、地震でパイプがずれて発火。 フィルタベントが安全かどうかは安全にかかわる。この時の経験を活かして欲しい。 地面がずれて発火した現場(資料)。緊急連絡を確保する必要があるため、地震が来てもドアがあくような免震重要棟の建築を当時求めた。規制基準ではないが要請。震度7に耐えられるようなもの。 結果として、作ってもらうことになった。「携帯電話があればいい」という話もあったが、柏崎刈羽原発の安全確保を優先。 同じ東電の施設で、柏崎刈羽原発にだけ免震重要棟ができた。同じものを福島原発にも求めた。完成したのが東日本大震災の8ヶ月前。 もし中越沖地震がなかったら、柏崎刈羽にも福島原発にも免震重要棟がなかったはず。もしそうだったら、東京は人が住めなくなっていたかも。 2007年の柏崎刈羽原発の話に戻る。二次対応。消火隊来たけど現場に近づけずいったん撤退。このときの経験をふまえ、福島原発内に消防車を配備してもらった。それは機能した。 ■新しい原子力規制基準は? 原子力規制委員会、新しい規制基準を検討中。でも安全確保に疑問あり。福島事故の検証総括がされない中での新規制基準。福島では8時間半後、ベントの判断。でも現在提出(?)されている基準、18−25時間はベント必要ないとしている。 また、原子力委員会が、責任範囲を小さくしようとしている感じ。組織目的。田中委員長、規制基準の適法性を調べているだけ。IAEAの防護基準全部見ているわけではない。 規制委員会設立法の抜粋(資料)。深層防護・過酷事故について疑問。既存の法との整合はある。でも、どの組織がどう責任を取るのか。漏れていると思う。事故の際の地域自治体とのコミュニケーションを東電が(? 規制委員会が?)拒んでいる。過去の経験、生かされないと思う。 しかたないので、一般国民と一緒にパブコメ出したりしている。でもまともな回答がもらえてない現状。 欧米では、メルトダウン対策として、コアキャッチャーがついてたり(欧)特殊部隊が対応したり(米)するもの。でも日本、考えられてない。 意思決定をどうやっていくのか。もうちょっと踏み込んだルールが必要だと思う。福島第一原発事故のとき、海水注入をめぐり、東電、かなり時間たっても「できれば真水で」というやりとり。保険、責任関係、もう少し明確にしないと。サラリーマンが、5000億円のプラントを駄目にする判断できるのか。検討が必要。 高い線量のなかでの作業が求められるケースも福島では明らかに。でも民間と民間の契約で、法令違反の作業を命じることができるのか、明確にされていない。 ■次の「自然災害+原子力災害」発生時には? 日本では現在、自然災害と原子力災害で対策本部の設立にかかわる体制がちがう。自然災害+原子力災害、二つ対策本部ができる。福島で問題になったこの点、解決されていない。 たとえば避難命令。市町村長が出す(自然災害)のか、首相が出す(原子力災害)のか。この整合がとられていない。 避難できない災害時要支援者。シェルターを使う必要もあるのではないかと考えている。 安定ヨウ素剤の配布について、規制委員会から指針。でもこの指針に疑問。 規制委員会、5〜30kmは屋内待機。5〜30kmの人、ヨウ素剤配布は事故が起きてから。柏崎刈羽の周囲、44万人がいる。 地元医師会、44万人に8時間以内(ベントされるまで)に配布するのは難しい、と懸念。 NRAの規定、現実的なものにする必要があるのではないかと思う。ご清聴ありがとうございました。 ■質疑 Q (ドイツ)原子力規制委員会が自ら責任範囲を縮小するとは。法律に責任範囲は明記されているはず。なのに勝手に責任範囲縮小できるとは? A 規制委員会、原子力の安全利用に責任を持ったはず。でも人事だと思う。田中委員長、コミュニケーション取ってくれない。最近は電力会社とはコミュニケーション取るように。事故が起きた時にどう対処するかではなく、どう責任を回避するかを中心に動いているのでは。田中委員長、技術系の先生。技術しか見ないという方針を決めたのか? 国民の安全や生命を守るという意識感じられない。 Q (東洋人の方)常識的なことばかり。なぜ他の方々は同じようなことを主張しないわけでしょうか? 泉田さんだけが主張できて他の政治家や他の県知事が言えないのはなぜ? A 2つ理由があると思う。1つ目、自分が地震に伴う原発火災を知っている。3.11、東電本店で専門家の話を聞きながら同時進行で対応。だから自信持って言える。これが違いではないかと思う。原発立地自治体、知事の会議もある。そこでの共通認識でもある。 2つ目。このままで大丈夫かという懸念が皆さんにあると思う(?) 自分自身は2007年柏崎刈羽のときに、問題になったところを直しておいて日本のためになったと思う。問題を感じて何も言わないのは歴史への冒涜。だから声を上げるべきだと思っている。 Q (日本の方)2011年、新潟県・福島県・国の東電へのヒアリング。見当たらなかった。今公開されている? 国との情報や資料の共有は? 1984年の原発テロ対策文書、新潟県は持っていない? そういう資料を公開する場はない? A 2つ目から。レポート、テロ対策等、外務省のレポートを共有する仕組みはない。「このレポートが表に出ると原子力安全神話が壊れる」という意識があって自治体に公開されなかったと認識されている。1つ目。事後のヒアリングしたのではなく、3.11直後から情報を提供されながら対処にあたった。別途ヒアリングしてレポート作ったわけではない。 Q (だれか忘れた)田中委員長、日本の安全基準は世界一安全と言っている。本当ではないのか? 知事の発言は新潟県について? 日本全体について? A 自分、あくまで新潟県知事。新潟県にある柏崎刈羽原発について県としての意見。深層防護、5層が抜けており4層も不十分。 Q (日本)拉致問題について。北朝鮮の動きが鈍い。知事どう考えるのか、真の解決に至るにはどうしたらいいのか。 A 現在の状況については、交渉が停滞。懸念している。過去から北朝鮮との交渉は難しいということだが、特に行動対行動、情報を小出しにしていくことで情報を取るという方法は、日本の外務省は取るべきではないと思う。拉致被害者がいるんだから全部情報を出して欲しい。でもそうなってない。懸念。曽我ひとみさんのお母さん、高齢に。心情を考えるならば、毅然とした対応をすべきだと思う。あと、国際状況が変わった可能性も目配せつつの交渉が必要だと思う。 Q (司会者)原発の話に戻りたい。安全確保、避難計画など懸念があるという話。だから原発再稼働が送れる? 知事として原発再稼働してほしくない? A 知事の最初の任務、住民の生命と安全を守ること。東京電力、メルトダウンを2ヶ月隠した。事実を隠されると対策以前。そもそも運転する資格があるのかという話。再稼働については一切議論していない。 Q (国民新聞・フジタ氏)再稼働の議論しないというのは失言だと思う。現実に、バランスは必要。稼働するかしないのか。メリットとデメリット。稼働する場合のメリットもあると思うが、知事はゼロと思うのか? A 先程から申し上げているとおり、自分は新潟県知事。議論する対象は県内の柏崎刈羽原発。日本全国、議論する立場にない。新潟県内。東電、事故を隠す組織。運転する資格あるのかということ。ここを明確にしない限り、再稼働の議論できない。 Q (ドイツ)吉田所長が亡くなった時、手記が出版された。「原子炉が複数あるもの、6基もあるのは危険」と書いてあった。ドイツ、1つの原子力発言書には1基。柏崎刈羽、7基。うち2基を動かしたいという話。どうよ? A 地元にもその懸念ある。両論ある。数が多いほど生き残る電源が増えるという肯定論、数が増えると対応が難しくなる否定論。技術的に検討して欲しい。どちらがよいかは、技術的専門的な話。新潟県の中に検討委員会。組織のガバナンスも含めて検討してもらわないと結論出せない。 ■まとめ・これから 私は原発に対してずっと「消極的反対」という立場にいます。新規に作ること・増やすことに対しては消極的です。 しかし、「製造や運用は、今すぐ完全にやめられるのか?」という疑問もあります。 今後日本では新規の建造や運用を行わず、既存の原発はすべて今後廃炉する方向であるとしても、技術の継承や人材育成は必要です。それを商業発電の仕組みの中で行おうとするならば、「原発の製造や建造や運用を行わないわけにはいかない」というパラドックスが発生します。 このパラドックスは、どう解決されればよいのでしょうか? ずっと考えていますが、未だに結論は出せません。 ゆっくりじっくり、いろんなことを調べたり学んだりしながら、考えていきたいと思っています。 http://bylines.news.yahoo.co.jp/miwayoshiko/20141015-00039997/ |