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20141004 R/F #091「小出裕章ジャーナル」【廃炉の抱える問題点について】
廃炉の抱える問題点について「40年で廃炉にするということがよく言われるわけですけれども、それは単にその時点で運転停止するということなのです」〜第91回小出裕章ジャーナル
http://www.rafjp.org/koidejournal/no91/
2014年10月04日 ラジオフォーラム
湯浅誠:
今日は、廃炉の抱える問題点ということなんですけれども、運転開始から40年前後が経過した古い原発は基本的原則的に廃炉にすると。そういう話になっておりますが、それに当たって、そもそも廃炉についてちょっと学びたいという感じなんですけれども。まず、廃炉というのは何なんでしたっけね? 単に原子炉を停止させるだけじゃないんですよね?
小出さん:
そうですね。ですから、皆さん40年で廃炉にするということがよく言われるわけですけれども、それは、単にその時点で運転停止するということであって、それまで動いていた原子力発電所をどうやって始末するかという長い長い年月がその先に待ち構えているのです。
最終的に、放射能のゴミそのものは消すことはできませんけれども、少しでも安心できる状態にするまでに、それこそ50年経つのか100年経つのかという、そういうことが廃炉ということの作業なのです。
湯浅:
ということは、40年経ったところで廃炉にするけども。
小出さん:
運転停止するけれども、それから廃炉の作業が始まるということです。
湯浅:
そうですね。廃炉に着手するのは40年で、完了するのは…
小出さん:
いつになるかわかりません。
湯浅:
なるほど。そうすると、当然ながらその間の工事費・維持管理費、もちろん放射性廃棄物の後処理、いろんなことがかかると思うんですが、電力会社がなかなか廃炉にできないで、この間来ているのは、何が一番の原因なんですかね?
小出さん:
まずは、金儲けに原子力発電所を使いたい。40年経ってまだ動いているなら、それからまた20年使いたいとか、彼らはまずは思うわけですね。それが一つの一番大きな理由だと思いますし、もうひとつは、運転停止したところで、それ以降の廃炉という作業がどうやってできるかが分からないのです、今現在。ですから、彼らとしては少しでも先延ばしにしたいと思っていると思います。
湯浅:
世界的に廃炉の例がない?
小出さん:
はい。大きな原子力発電所を廃炉にした例は一度も、1基もありません。
湯浅:
そうなんですね。そうすると、この間の原発事故と同じとは言いませんが、やったことのないことをやらなければいけなくて、その間いろんなことがまた起こると予想されるということですね。
小出さん:
もちろんです。
湯浅:
この廃炉費用というのは、それでも一応計算上は見積もってるはずじゃないかと、電力会社は思うんですが、いくらぐらいということになってるんですか?
小出さん:
確か、当初は200億とか300億とか言っていたと思いますが、そんなものでは到底済みませんので、何千億円というケタになるはずだと私は思います。多分、それでも済まないんではないかと思っています。
湯浅:
それはやっぱり、放射性廃棄物の地層処分とか、そこにかなり莫大なお金がかかるであろうということですか?
小出さん:
そうです。一番危険な放射性廃物というのは、使用済み燃料そのもの、あるいは、再処理ということをやってしまえば、高レベルガラス固化体という物が 一番恐ろしい物なわけですけれども、その次に恐ろしいものが原子炉本体です。30年なり40年動いて、放射能の塊になってしまったその鋼鉄をどうするかということなのです。
使用済み燃料、あるいはガラス固化体は深地層、深い場所に埋めようと。深さ300メートルから1000メートルの所に埋めようというのが日本政府の方針なのです。では、放射能の塊になった鋼鉄をどうするかということで、それを300メートルや1000メートルの深さに埋めるのは大変なので、「余裕深度」と彼らは言っているのですが、「50メートルとかそれぐらいの穴を掘って埋めてしまいたい」と彼らは言っています。ただし、その場所すらが未だにありません。
湯浅:
地下300メートルって何か現実的なんですか?
小出さん:
私は全然そうは思いません。私は地震学者ではありませんので、正確な判断ではないかもしれませんが、地震というのは深さ何キロ、何十キロという深い所で発生して、岩盤をバリバリ割りながら地表まで断層が現れてくるというような現象ですから、300メートル、1000メートルなんていうのは全然深くないのですね。
例えば、東海地震なんていうのは、100年か150年に一遍ずつ起きてきたということが分かっているわけです。今、次に起きた東海地震で仮に被害がなかったとしても、また100年か150年後にはまた襲ってくるわけですね。
そらから、また100年か150年後にはまた襲ってくるということになるわけで、一度埋めてしまった放射能のゴミが、曲がりなりにも安全になるまでに10万年とか100万年と言ってるわけですから、仮に100年後に来るとすれば、1000回とか10000回とか耐えなければいけないということになります。そんなことはあり得ないと私は思います。
湯浅:
そういうことが表立って言われなくてもわかってる以上は、技術的に可能かどうかの前に、受け入れ自治体の問題ということが大きく出てくると思うんですけど。
小出さん:
そうです。未だに、高レベル放射性廃物を受け入れるという自治体はひとつも日本にはありません。そのため、ある時にはモンゴルに押し付けてしまおうというような案まで出てきて、日本という国は恥ずかしい国だと私は思いました。でも、今後も高レベル放射性廃物を引き受ける自治体は恐らくなかなか出てこないだろうと思います。
湯浅:
ドイツは日本の原発事故を受けて、原子炉から脱却することを決めたと聞いてますが、ドイツの場合は、その廃炉を順次どんどんしていくんでしょうけども、どうするんですか?
小出さん:
ドイツは、カンブリア台地という古い地層にヨーロッパというのはあるわけですけれども、地下に岩塩層というのが広がっていまして、要するに塩の塊が地下に眠っているわけですね。
塩の状態であるということは、そこには水が入ってこなかったという証拠だとドイツの人達は考えたのです。ですから、岩塩層に放射能のゴミを埋めてしまえば、水が浸入してこないから、外に放射能のゴミが漏れていくこともないだろうと考えて、一時期そのテストを始めたのですけれども、人間が岩塩層の中に穴を掘ってしまったら、そこに水が入ってくるようになってしまったのです。
そのため、ドイツも岩塩層に処分するという方策を諦めてしまいました。でも、どうすればいいのかということに関しては、まだドイツも決めかねています。
※関連アーカイブ 第27回「脱原発・ドイツの廃炉事情レポート」(ゲスト:広瀬隆さん)
湯浅:
ということは、世界中どこでも原発事故は起こらなくても、この原発の廃炉問題は私達の少なくても今のところ手に負えない問題としてあるということですね?
小出さん:
「科学がいつかなんか良い方法を見つけてくれるだろう」と思って、これまで原子力をやってしまったわけですけれども、いくら経っていい方法が見つからないというまま、今があるわけです。
湯浅:
どこまで先延ばしを続けるんですかね?
小出さん:
ほんとですね。ちゃんと原子力を進めてきた人達にも、自分達が何をやってきたのか考えてほしいと私は思います。
湯浅:
私達にも十分関心を寄せてこなかった責任がありますね。
小出さん:
そうですね。
湯浅:
小出さん、どうもありがとうございました。
小出さん:
はい、ありがとうございました。
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