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放射線影響、政府広報 1億円で「安全」強調
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2014年9月22日 東京新聞:こちら特報部 俺的メモあれこれ
放射線についての正しい知識を」。そんな大見出しの政府広報が先月中旬、全国紙に一斉に掲載された。福島原発事故の健康影響を正しく伝え、風評を打ち消す狙いだという。ただ「安心神話」に偏ったような内容になっており、登場する学者も放射線の影響を軽く見る人物だ。投じた費用は1億円超。被災者の怒りの声が聞こえてくる。(榊原崇仁)
◆リスク議論 本格化しないのに…
15日に東京都内であった原発問題の市民集会。「政府広報の内容は問題がある。政府こそ正しい知識を持つべきだ」。原爆症認定訴訟で原告側の証人を務めるなど、放射線被ばくに精通する旭川北医院(北海道旭川市)の院長、松崎道幸医師はこう訴えた。
やり玉に挙がったのは8月17日付朝刊に掲載された政府広報だ。朝日、毎日、読売、産経、日経の全国5紙と福島県の地元紙の福島民報、福島民友の2紙に掲載された。翌日は夕刊フジにも出た。
1ページを全面使い、8月3日に都内で開かれた講演会の内容を伝える体裁をとっている。
講師は国際原子力機関(IAEA)のレティ・キース・チェム保健部長(当時)と東京大病院放射線科の中川恵一准教授だ。
チェム氏は「放射線は医療やエネルギーなどの分野で活用され、大きなメリットをもたらす」と語り、放射線の効用を強調する内容が目立つ。
首をかしげたくなるのは中川氏の言葉だ。
放射線の健康影響で特に強い関心が集まるのは小児甲状腺がん。その原因となるのが放射性ヨウ素の内部被ばくだ。福島原発事故によるこの被ばく線量について、中川氏は「最大でも約35ミリシーベルト未満」と語っている。しかし、測定できた子どもは1000人程度にすぎない。限られたデータで最大値を語るのは難しい。
がんの発症についても、中川氏は「福島で増えないと考えられる」と語るが、うのみにはできない。
被ばく線量に応じてどの病気がどう増えるかは不明な部分が少なくなく、特に100ミリシーベルト以下の影響は、専門家の間でも意見が分かれている。このことは、文部科学省が作成した放射線教育の副読本にさえ明記されている。
しかし政府広報では「100ミリシーベルト以下でがんの増加は確認されていない」「福島では最大でも約35ミリシーベルト未満。甲状腺がんは増えない」という中川氏の持論だがけが載る。「放射線について慎重になりすぎることで、生活習慣を悪化させ、発がんリスクを高める」という同氏の発言も掲載されている。
しかし「福島でがんは増えない」は、現段階で政府の正式見解にはなり得ない。国や福島県の専門家らの会合では、原発事故後の放射線の健康影響について議論がまだ本格化してないのだ。
先の松崎医師も15日の集会で楽観論を戒めた。
小児甲状腺がんについて「自然発生の場合、男女比は1対5前後だが、今の福島では年齢によって異なるが1対1.1〜1.6となっている。これはチェルノブイリ原発事故のケースに近い」と指摘する。
中川氏は遺伝的な健康影響は「広島や長崎でさえなかった」と語り、「福島も問題なし」と印象づけている。だが、原爆被害者の健康状況を調べる公益財団法人「放射線影響研究所」のホームページでは、原爆による遺伝的影響は「今後の追跡調査が必要」と記されている。
◆健康被害 過小評価の恐れ
中川氏は、避難指示が遅れた福島県飯舘村で放射線との向き合い方を話し合うリスクコミュニケーションに関わってきたが、自らの著書では健康影響について楽観論を展開する。
例えば、近著「放射線医が語る福島で起こっている本当のこと」では、福島ではがんが増えない以上、県が子ども向けに行う甲状腺検査は、摘出の必要がないがんまで見つけるとして「即刻やめるべきだ」と説く。汚染水問題にも触れるが、可能な限り放射性物質を取り除いた上で薄めれば「過度な心配は不要」として「海に流すべきだ」と訴える。
政府広報に登場するIAEAも放射線のリスクを楽観視しがちだ。チェルノブイリでは小児甲状腺がんが多発したが、1991年の事故報告書では「被ばくに直接起因する健康の変調はない」と判断している。
ところで、今回の政府広報はどういう経緯で掲載されたのだろうか。
政府広報に問い合わせ先として記されていた復興庁によると、中川氏らの講演会は、復興庁が外務省や環境省などの協力を得て準備したという。正式には「放射線についての理解促進のための勉強会」という名称で、8月3日の初開催と、同月17、18日の政府広報の掲載、そして講演の動画配信がワンセットになっている。
講師の人選について、復興庁の担当者は「放射線の健康影響に非常に詳しい方にお願いした。政府広報に掲載した内容は(原発事故による健康管理を担当する)環境省のチェックを受けており、間違いはないはずだ」と語る。
これに対し、放射線研究が専門で広島の被爆者でもある名古屋大の沢田昭二名誉教授は「政府の思い通りに話す人間だけを選んだように思えてならない」と人選の偏りを批判する。
経緯をめぐっては不自然に思える点がある。
講演会は非公開で、報道機関の取材も不可だった。復興庁は「参加者のプライバシーを守るため」などと釈明するが、いまだに会場名すら明らかにされていないのだ。
「福島の風評被害を抑えるために正しい情報を全国に発信する」ことが趣旨というが、長い時間をかけて念入りに準備したのではなく、夏前になって急に実施が決まったという。漫画「美味しんぼ」の騒動があった少し後のようだ。
さらにこの企画自体、復興庁の内部的な議論だけで実施が決まったわけではないらしい。
復興庁のある関係者は「こちら特報部」の取材に対し、「上の方の意向もあった」と明かす。「上」というのが誰なのかという点も尋ねたが、明確な答えは返ってこなかった。
この企画には1億円超の税金が投じられた。福島市の主婦(53)は「一方的な意見ばかり強調しているのは誰の目からも明らか。そんなに『事故の影響は大したことがない』と言いたいなら、政治家なり、官僚なりが自腹を切って広報すればいいことだ」と憤る。
市民団体「内部被ばくを考える市民研究会」(埼玉県川口市)の川根真也代表(52)は、政府広報に込められた位置をこうみる。
「政府は『国民は権威に弱いはず』という見立てで、東大やIAEAといった肩書を持つ専門家、さらには全国紙までも使い始めたのだろう。政府の本音がにじみ出ている。ただ事故の影響を過小評価すれば、しわ寄せが及ぶのは住民たちだ。今のやり方を許していいはずがない」
[デスクメモ]
政府広報では、生活習慣による発がんリスクも紹介している。放射線を怖がり外に出なくなることで、糖尿病などによるがんのリスクも高まるとする。最下部には、なぜか、放射線とは関係のない「危険ドラッグ」の相談窓口も併せて載っている。こっちの方が、よっぽど危ないと強調したいのだろうか。(国)
2014年9月22日 東京新聞:こちら特報部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014092202000137.html
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